夙川の桜

どんより気持ちの晴れぬ一ヶ月経過


ことしの桜はちょっぴり遅れ気味、本格的な春は遅いように感じます。熊本の孫二人、ついでに親父である息子も風邪をひいたそう。自分の洟水、倦怠感は風邪やコロナに非ず花粉症でしょう。ご当地耳鼻科の先生はなかなか良さげな明朗なる中年でした。気持ちが晴れぬのは烏克蘭のことが続いているから。

とうとうサラリーマンの身分から離脱した完全失業者へ、ハローワークに通う身分となりました。今月より小遣いはなくなって、サラリーマン時代に着々と蓄えたへそくりの拠出、減る一方となるのも寂しいもの。市立体育館隔日筋トレ有酸素運動、毎日の料理工夫と買い物兼ウォーキングの日々、それ以外な〜もありません。当面なにもする気もない。43年働いてきたんだからエエじゃないの。音楽を聴いてサイト更新するくらい。せっかく転居時のストレスから体重1kg減らしたのに、またリバウンドしてしまいました。酒はせいぜい週に一回ほど量も知れているけれど、けっこう菓子を喰ったり、自分で仕立てた料理の責任消化の影響もあるのでしょう。転居前はほぼ毎日鍛錬だったから、まだ努力が足りないのかな、健康維持はここ10年が勝負と考えております。

こちらに転居にて気付いたのは毎日4-5kg歩いても平気、それは基本平地だから。前居住地は坂道ばかりでしたもの。ご当地には女房殿の母親弟夫婦家族がご近所に住まうけれど、自分にはまったく知り合いはない。もとよりこちらへの転居の趣旨は女房殿の母親(92歳)のようすを見守ること。以前も職場以外地域のつながりはなかったけれど、居酒屋の大将女将さんとは親しかったし、スポーツクラブ同年代とは顔見知りに会話もありましたよ。こちら完全孤立状態。基本都会と云えば都会、昔みたいな濃密なご近所付き合い人間関係もありません。こんなんじゃ日々ノーミソ衰えること必定、うっかり悪質な詐欺にころりと餌食になっちまうかも。

ネット関係(契約も環境も)ようやく整って、他いくつか判断ミスによるムダな出費有、スマートウォッチは贅沢品でも毎日使って、市立体育館の新しいマシンにも慣れました。最寄りの駅迄2.5kmほど?北新地駅迄はJR一本なので一ヶ月に2-3度激安居酒屋に通いました。けっこうそれなり贅沢しても、基本は慎ましい節約生活を心掛けて、工夫しております。4月には大学の諸先輩と山口旅行、そして二人目の孫のお宮参りに久々の熊本行きとなります。上の孫はお宮参りしてから即コロナ時代入り、今年生まれた下の孫はもちろん初顔合わせ、反応はどんな感じかな?

 いつも変わらず恒例の前月ヴェリ・ベスト振り返り。

Leclair 歌劇「シラとグロキュス」(管弦楽抜粋)/Bach カンタータ第214番「太鼓よ鳴れ ラッパよ響け」/Vivaldi ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品4-4「ラ・ストラヴァガンツァ」〜ルイ・オッターヴォ・サントス/バロック管弦楽団(15o Festival Internacional de Musica Colonial Brasileira e Musica Antiga de Juiz de Fora 2004-Live)・・・これはネットより入手した音源、音質極上リアルに残響も雰囲気も豊か。珍しく.aif形式ファイル(Apple開発)でした。伯剌西爾?の指揮者オーケストラとも馴染みのない(ネット検索でもなかなか出現しない)ライヴ音源だから写真なし、これが声楽含めて絶妙に熟達した古楽器演奏。Jean-Marie Leclair(1697ー1764仏蘭西)は作品名さえ初耳、もちろん筋書きも見知らぬもの。序幕と全5幕からなる叙情悲劇 (1746年初演)とやら、これは歌の入らぬ18分ほどの抜粋。フランス風序曲から典雅にゴージャス、ティンパニ(+杖?なのか)や金管が活躍して優雅に素敵ですよ。Bachは世俗カンタータだけど、クリスマス・オラトリオ第1部(+第3部シンフォニア)とほぼ同じもの、こちらのほうが先らしい。愉悦に充ちた躍動は”南米という先入観”をすっ飛ばす声楽アンサンブルとも充実したもの。ラスト、著名なVivaldiのヴァイオリン協奏曲も磨き上げられた技巧が光りました。こんなヴィヴィッドな演奏を聴くとバロックは古楽器最高!と思ってしまう。

CHAN 9236Stravinsky 交響曲変ホ長調 作品1/ヴァイオリン協奏曲〜ネーメ・ヤルヴィ/スイス・ロマンド管弦楽団/リディア・モルトコヴィチ(v)(1993年)・・・初耳ではないはずの初期作品は保守的、親しみやすい露西亜風旋律横溢、デーハーな金管活躍する親しみやすい交響曲。師匠であるRimsky-Korsakovの影響顕著、1907年完成とか。この数年後にはパリで「火の鳥」とか「春の祭典」でセンセーションを巻き起こすのですね。作曲者自身の録音には少々掴みどころがなかった印象だけど、こちら父ヤルヴィの熟達した表現、露西亜風旋律作品として貫禄のわかりやすさ。アンセルメ時代を思い出すとオーケストラのアンサンブル技量は格段に上がっております。9:42-6:02-9:40-7:37。ハードに絶叫して、かつ剽軽な味わいもあるヴァイオリン協奏曲はお気に入り。Lydia Mordkovitch(1944-2014露西亜)は欧州での活躍が多かったらしくて、録音も多い。文句なしキレのあるソロ、ノリノリでございます。5:28-4:58-5:27-5:52。

Teodor Currentzis(1972-希臘)Shostakovich 交響曲第15番イ長調〜テオドール・クルレンツィス/シュトゥットガルトSWR交響楽団(2016年ライヴ)・・・Teodor Currentzis(1972-希臘)は露西亜に教育を受け、2018年よりSWR交響楽団の音楽監督。ネットより入手したライヴ音源は44:17一本ファイル(楽章間有拍手なし)。このラスト交響曲は著名作品旋律コラージュも入って、第9番と並んで軽妙な作品と思っていたけれど、第1楽章「Allegretto」から緊張感に溢れて厳しい集中力、第2楽章「Adagio - Largo」の暗鬱深刻な風情も重苦しく、圧倒的なキレのある爆発に至ります。露西亜系とは異なって洗練されたパワフルなサウンド。第3楽章「Allegretto」軽妙なスケルツォもたっぷり怪しく、不気味な断片が続きました。第4楽章「Adagio - Allegretto」はWagnerの引用で始まり、静謐に消えゆくように神経質に繊細な音楽でした。

NAXOS 8.555999バレエ音楽「火の鳥」(ピアノ版)〜イディル・ビレット(p)(2002年)・・・所謂2010年オリジナル全曲のピアノ版、作曲者自身によるものらしい。「ペトルーシュカ」は腕の立つピアニストによる録音はたくさんあるけれど、こちら初耳。彼(か)の色彩豊かなオーケストレーションは骨格のみとなっても、ちゃんとメルヘンの風情が残ってなかなか硬派な響きは魅力です。大好きな全曲版の旋律は細部熟知しているから、ノーミソ内で色彩を補っているのかも。細部驚くべき技巧の冴え、この人のChopinはちょいと硬すぎ、Bachは細部流麗さを欠く?そんな印象だったけれど、ここでの八面六臂の活躍は賞賛すべき出来栄えでしょう。メルヘンより20世紀前衛の硬派な響きが前面、ハードな魅力たっぷりでした。とくに一番人気な「魔王カスチェイの凶悪な踊り」辺り、なかなかの迫力でっせ。

Maxime Tortelier仏蘭西Shostakovich 交響曲第14番ト短調「夜の歌」〜マキシム・トルトゥリエ/サウスバンク・シンフォニア/Anush Hovhannisyan (s)/Jihoon Kim (b)(2016年ライヴ)・・・サウスバンク・シンフォニアとは初耳団体、マキシムは著名なヤン・パスカルの息子とのこと、まだ33歳くらいらしい。ネットより拾ったライヴ音源は極めて鮮明リアルな音質、ノイズもまったくなし。弦をベースに浮き立つ打楽器、オーケストラも繊細なアンサンブル。全一本ファイル50:40(楽章間拍手含む)。Anush Hovhannisyanとはアルメニア出身のソプラノ、キム・ジフンは韓国出身英国で活躍しているそう。非露西亜系声楽でもまったく違和感も非力さも感じさせない二人は圧巻の貫禄。男女声楽ソロ+弦+打楽器のみ、例の如く非情、冷徹、憂鬱、絶望的な気持ちはしっかり伝わります。この作品の前にBoulzeのメモリアルが演奏され、Debussyのシランクスを連想させる、日本の能のようなフルートを中心とした静謐神秘な作品、初耳だったけれどちょっと痺れました。(5:53)

DG UCCG1027Shostakovich 交響曲第2番ロ長調「10月革命に捧ぐ」(2000年)/第3番 変ホ長調「メーデー」(1996年)/バレエ組曲「ボルト」(1999年)〜ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団/合唱団・・・Neeme Jarvi(1937ー愛沙尼亞)はムラヴィンスキーの教えを受けたけれど、露西亜に非ずバルト三国の人。歴史的録音にも時に凄みを感じるけれど、基本近現代作品はクリアな録音で聴くに限る!幾十年も苦労して身に付かなかったのは音質問題もあったのでしょう。これは超絶に音質がよろしい。体制の提灯持ちみたいな初期作品も21世紀には歴史的情景として・・・なんて、あながち云えぬ昨今。ごりごり低音も効いてたっぷりパワフルなオーケストラの爆発、サイレンも響いて合唱も充実、恥ずかしい政治的シュプレヒコールさておき、純粋に音楽として愉しめます。「ボルト」は大仰な表情、オーバーアクションな冒険活劇映画音楽みたいにわかりやすくも賑々しい昔風露西亜旋律、ユーモアと色彩感でした。露西亜の活躍は音楽だけにして欲しい。

 KKC6613Bruckner 交響曲第4番 変ホ長調(1874年第1稿Benjamin Korstvedt校訂2021年)ヤクブ・フルシャ/バンベルク交響楽団(2020年)・・・ははは、自分みたいなド・シロウトの耳には結論的に”いつもとぜんぜん違う!”感想になっちまう(以下意味のない戯言)・・・あちこち馴染みの旋律やらエピソードが出現して、知っている旋律だって担当楽器やパートの重ね方、細部もずいぶんと違って、聴き馴染んだものとどちらが良いの?とか一概に云えぬもの。第1楽章「Allegro」は途中からほとんど別世界に至って、第2楽章「Andante」に馴染みの世界から始まってほっとしたのもつかの間、なんか徐々に違和感のある美しい旋律など出現して、やはり見知らぬ世界に連れていかれて最終盤の盛り上がりも強烈、名残惜しいホルンも印象的。第3楽章「Sehr schnell」は冒頭ホルンの旋律からいつもとは似ても似つかぬ別物だけど、カッコ良い金管の響き。終楽章「Allegro」はかなり馴染みに近い感じだけど、やはり違うかな・・なんて、やがてぜんぜん別な疾走が続きました。まったく他の作品風にラストは圧巻の盛り上がりでした。なんせBrucknerに相応しい渋いオーケストラ、たっぷり興味深く拝聴いたしました。20:55-18:47-12:45-19:56。

VBS2672872/CD6Best Adagio Voices 100よりCD6 Gliere コロラトゥーラ・ソプラノと管弦楽のための協奏曲 〜アンダンテ(ナタリー・デセイ(s)/ミヒャエル・シェーンヴァント/ベルリン交響楽団)/Hahn 大気(ラシェル・ヤカール(s)/クロード・ラヴォワ(p))/Ravel「シェヘラザード」〜つれない人(アーリン・オージェ(s)/リボール・ペシェク/フィルハーモニア管弦楽団)/Faure 夢のあとで 作品7-1(ヴェロニク・ジャンス(s)/ロジェール・ヴィニョール(p))/Debussy 「シャルル・ドルレアンの3つの歌」〜神よ、美しき人を見るはよきかな(ジャン・スーリス/アンサンブル・ヴォーカル)/Faure ラシーヌの賛歌(デイヴィッド・ヒル/ウィンチェスター・カセドラル合唱団)/Chausson 夜 作品11-1/目覚め 作品11-2(ジャン・スーリス/アンサンブル・ヴォーカル)/Rave 楽園の3羽の美しい鳥(デルフィーヌ・コロ(s)/ブリギット・ヴァンソン(ms)/ジャン=ルイ・ブーイヤ(t)/ジェラール・ウィークロウ(br)/ジャン・スーリス/アンサンブル・ヴォーカル)/Saint-Sae"ns 夜の静けさ 作品68-1(ジャン・スーリス/アンサンブル・ヴォーカル)/Canteloube「オーヴェルニュの歌」〜バイレロ(アーリン・オージェ(s)/Y-P-トルトゥリエ/イギリス室内管弦楽団)/Ravel ハバネラ形式のヴォカリーズ(ナタリー・デセイ(s)/ミヒャエル・シェーンヴァント/ベルリン交響楽団)/Duparc 旅への誘い(フランソワ・ル・ルー(br)/ジョン・ネルソン/モンテカルロ・フィル)/Delage 4つのインドの詩」〜ラホール(フェリシティ・ロット(s)/アルミン・ジョルダン/パリ室内アンサンブル)/Debussy「ビリティスの歌」〜朝の雨(デルフィーヌ・セイリグ(朗読)/ナッシュ・アンサンブル)・・・知っている旋律は半分に充たず、ほとんど初耳の作品も多い”寄せ集めヒーリング女声中心Adagio Voices”6枚目。試し聴きに結局全部通して心奪われました。じつは演奏者明細を探すのにエラい苦労をして、やはり馴染みのナタリー・デセイ、アーリン・オージェ、フェリシティ・ロット辺り微妙な表情の豊かさ官能性に無条件幸福。ジャン・スーリスと云う人は初耳だけど、彼の合唱団の繊細さも文句なし。一般にオムニバスものは避けているんだけど、これは残りCD5枚分ぜひ聴いてみたい、そう思わせる魅惑の時間でした。

(2022年4月1日)

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written by wabisuke hayashi