2010年4月JR夙川付近

永遠の工事中


   最近疲れてきました・・・人生に(ま、体力的に)。年齢(とし)だな。なんやら異様に寒い春ですし。【♪ KechiKechi Classics ♪】を始めたのは1998年だったはずだから、ずいぶんと長命となりました。やがて”ブログ”が登場し、そのブームも沈静化しつつある今日この頃(こんどは”ツィッター”ですか?)、更新頻繁なる個人サイトは珍しい存在でしょう。クラシック音楽中心、聴き手(書き手)の音楽に対する意欲姿勢努力にすべてが掛かっております。

 CDはデフレスパイラル状態となり、いくらでも安価に入手できるし、ネットで無料音源のダウンロードも可能となりました。音楽を聴く時間、パソコンに費やす時間だって減っていない〜むしろ、増えているくらいだし、マシンの性能やらネット環境も改善されております。ひたすら、聴き手(書き手)の精神的堕落というか、ありがたみが薄れちまったのか・・・あかんなぁ。若く、貧しかった頃がなにもかも懐かしい・・・お仕事引退すれば、また貧しくなるけれど、若い体力と前向きの意欲、集中力、渇望感は二度と戻らない。

 以前はクサるほど存在したサイトだけれど、よく”工事中”というコーナーがありました。「これから作りますよ、準備しております」といった予告なのでしょう。でもね、経験上工事が終了したものをあまり見たことはない。それって、けっこう恥ずかしくないですか?だから”工事中”を使用したことはないんです。サイト内(外)のコーナーは増設するのではなく、むしろ次々と削除省略簡略化する方向で進めております。もとより、完成形のあり得ぬ”継ぎ足し”型(かなりエエ加減なる)サイトですし。

 華麗なる加齢にて記憶力は落ち気味だし、お気楽サラリーマンとはいえ、やはり精神的な疲労はあるのでしょう。営業成績ともかく、職場内外の人間関係は良好でも。いくら古今東西名盤CDが棚中に揃っていても、それだけで幸せな音楽生活が送れるわけでもない。お仕事は基本、趣味でやっていて(=つまり一生懸命愉しんでいる!)、音楽、そしてサイト更新だって同様、もっと工夫しなくっちゃ、いろいろと。楽しい努力をしなくっちゃ。

 工事中じゃなくて、自分なりの”宿題”を決めなくては。このサイトは「音楽日誌」別として、毎週2本ずつ以上の更新を休んだことはないから、おそらくは1,000本以上(再聴コメント含む)になっております。専門的分析研究サイトじゃないので、勝手気ままなんだけど、それはそれとして一定の方向性を考えておかないと。かつては、それなりにあったんですよ、計画性が。例えば、Wagner「ニーベルングの指環」。更に、関連書籍もちゃんと調べておりました。真面目、謙虚であったな、当時は。苦手系Beeやんの交響曲を一日で聴く!といった意欲(体力)だってありました。

 更新が苦しくなった原因は自覚しております。じょじょに謙虚さを失って、ド・シロウトとしての矜持を減らしつつある、要らぬをカッコ付けようしているんだな。どーせ、市井ありきたり音楽ファンにすぎないのに、自分をカンチガイしちゃうから、いつまでも文書が書けない。もっと素直に、自分の縄張りの範囲で(音楽への思いを)書けば良いんでしょう。誰もワタシの蘊蓄など期待していない。ほんの子供の頃より三日坊主を絵に描いたような性格(長じては”浮気性”?)だったのに、ここまで一筋継続できたのは不思議です。

 ネットの世界もじょじょに姿を変え、人間関係は淡くなっているような気がしますね。少なくとも、ここ最近”とんでも!”人間は至近に出現しておりません。生活が辛くなって余裕がなくなっていること+ネット上の”人間関係の距離”みたいなものを理解する風潮になったのでしょうか。反応が薄くなったのは寂しいが、タマに、忘れた頃に、ありがたい励ましのメールも届きます。感謝。

 もとより【♪ KechiKechi Classics ♪】 はすべてが”工事中”が前提、エエ加減原稿でもどんどんサイトにアップして、誤りを指摘されたら、不足を感じたら修正しましょ、的姿勢だったはず。つい数日前も「ロストロポーヴッチ」(誤)→「ロストロポーヴィチ」(正)に5ヶ所ほど修正したところです。5年ほどそのままになっていたんじゃないか、いまでもその類のことはあるんじゃないか、と戦々恐々な毎日(ウソ)、ご指摘ご指導を楽しみに待っている今日この頃であります。

 少々安易な選択だけれど、先月のヴェリ・ベスト。

Dvora'k 交響曲第9番ホ短調「新世界より」〜ヴァーツラフ・ターリヒ/チェコ・フィル(1949年)・・・超人気作品(ワタシも大好き)+定評ある歴史的録音は初耳。数種の録音が存在するらしいですね。かなり良好なる音質、ヴィヴィッドな躍動、颯爽とした旋律表現、チェコ・フィルの自信に溢れたアンサンブル・・・ローカル素朴な味わい深いサウンド、最高。唯一、繰り返しを実施していないのが不満でしょうか。先月だっけ?バーンスタインによる1953年録音の新鮮な演奏に驚かされたが、こちらの説得力も相当なもの。

Brahms 混声合唱、管楽とティンパニのための「埋葬の歌」 作品13/Mendelssohn 3つの教会音楽 作品23より第3曲「われら、人生のただ中にありて」/Brahms 運命の歌 作品54/交響曲第1番ハ短調〜ジョン・エリオット・ガーディナー/革命的浪漫的管弦楽団/モンテヴェルディ合唱団(2007年)・・・おお、これはライヴなのだね。「運命の歌」以外の声楽作品は初耳、先のBach 同様声楽の深遠さ、洗練の説得力に目眩がするほどの感銘有。ワタシは不信心罰当たり無神論者だけれど、宗教的敬虔はたしかに受容可能であります。とくに「埋葬の歌」に於けるトロンボーンとティンパニは声楽を際立たせる説得力抜群。

交響曲は、小編成かつ素朴な味わいを想像していたが、なんのことはない、荘厳壮麗なるスケールを誇って、独墺的伝統がっちり継承して驚かされました。各パートは現代楽器ではないだろうが、Bach 時代のものではない、近代に向かう変遷なのでしょう。近現代高性能オケのキレとはもちろん異なるが、古臭さ皆無。個性あるサウンド(ナチュラル・ホルン最高)として”現役”であります。技術的洗練はここまで極まった!的感想であります。鮮度抜群。

Dvora'k チェロ協奏曲 (カラヤン/ロストロポーヴィチ)KAISER DISKS(DG録音の海賊盤) KC0023Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調〜ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ/ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1968年)・・・これは掛け値なしに凄い完成度の演奏であって、中学生だったワタシはすっかり痺れてしまいました。ロストロポーヴィチ41歳、まさに脂がのりきった乗り切った時期に、60年代後期絶頂期のカラヤン/ベルリン・フィルが完璧に洗練されたバックで支え・・・というか、ほとんど両者火花を散らすように拮抗した緊張感が息詰まるほど。国籍不明駅売海賊盤(当時600円!)でも音質極上であって、爾来なにを聴いてもこれが基準であって、競合するのはロストロポーヴィチの旧録音のみ。彼のチェロは少々お下品に色気がありすぎる、というのも一理ある論評だけれど、こうして久々の拝聴はあまりの説得力に声も出ないほど・・・参りました。降伏。

PHILIPS 426 063-2 購入価格失念 おそらく1280円ほどMozart 交響曲第31番ニ長調K.297「パリ」+アンダンテ/第35番ニ長調K.385「ハフナー」/交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」〜ヨゼフ・クリップス/コンセルトヘボウ管弦楽団(1972〜74年)・・・これは原点だな、自分の。1990年代初頭、交響曲第21番以降CD6枚分を集めたものです。おそらく壱万円は掛かっている・・・なんと柔らかく、暖かいサウンド。節回しにムリムリなクセがなくて、どこにも力みはない。優しく、素直に歌ってコンセルトヘボウとの相性は最高。「パリ」はおそらくヴェリ・ベストでしょう。ちょっと表面的な効果を狙った作品かな?と考えていたが、クリップスの手に掛かるとスッキリと作品の神髄がちゃんと見える・・・けっして慌てない、極上のバランスであり、細部迄楷書の表現、生真面目だけれどデリケートなんです。無条件幸福。

(2010年5月1日)


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written by wabisuke hayashi