2008年5月金沢にて

宿題/未踏峰「ミチョランマ」


 出張続き+遊び過ぎか、風邪気味です。昨年より暖かくて、最近真空管アンプの発熱が気になるので、恒例夏場向けトランジスタ・アンプ(DENON PMA390-U)に交換。気のせいか音が明快に歯切れ良く、そしてやや平板に響くような気もしますね。

 華麗なる加齢街道を疾走する中年サラリーマンとして、お仕事、酒、家族の他に多彩なる価値観を見つけることは、そう遠くない”後期高齢”(なんじゃ?この官僚言語)の準備に必要不可欠です。こどもの頃から愛聴してきた音楽(ジャンル問わず)は、LP→CDと姿を変えても、息長く、世代を超えて語り合える”クラシック音楽”を中心として、ネットで人脈ができました。ナマ演奏こそ重視すべきだけれど、スケジュール、体調、演目問題(これがキモ/通り一遍の著名作品ばかりでは聴く意欲が起きない)で、なかなか通い続けるのが難しい、というのは言い訳です。

 【♪ KechiKechi Classics ♪】と力まんでも、CDはずいぶんとお安くなりました。音楽を幅広く、たくさん聴きたい、という願いは21世紀に叶ったんです。CD収集はそこそこのジョーシキと抑制心があれば「経済的に困窮する」ことなどあり得ぬこととなりました。「演奏が一流かどうか、知名度どうのという前にまず音楽を!」と、1990年代に購入した”怪しげ廉価盤”を処分しつつあるのは(間違いなく)堕落であります。問題は、”音楽を聴くべき時間”であり、”聴き手の集中力”。だから、ここ2年ほど”オークションにて処分”に腐心してきた(けっこう売れるんです/良心価格故/でもけっこう入札もしている)・・・ということは千度サイトに書きました。

 でもね、”音楽を聴く意欲”と”購入する意欲”とは、ほとんどリンクしているみたい。ことしは幸い、お仕事配置替えにより(実際は配置替え前より)、精神的に(久々)前向きだし、体調もよろしい。出張も増えて(以前の状態にやや戻って)音楽を聴く時間(意欲も)が増えました。(出張すると泡銭もちょっとだけ/廉価盤を購うくらいは出るし、オークション処分した軍資金も有)新しい営業担当先から徒歩5分にBOOK・OFFもある・・・(2ヶ月でかなり買い占めました)

 で、結論的にいったんは成功した”CD在庫削減計画”(2007年転居による収納場所不如意対策)完全破綻し、安易に変更した”CD総量抑制計画”も先月(2008年5月)非常事態宣言が出されることに。正確にカウントすることも怖いが、おおよそ何枚購入したんだ?200枚くらいか。処分は40枚くらいか。その差、約160時間くらいの音楽聴取時間をどう捻出するのか。サイト原稿執筆が絡むと、同じCDを何度も聴くこと(関連CDを比較対照すること)も必要だから、いろいろたいへんなんです・・・って、趣味と楽しみでやってますから。

で、今月のお題は”宿題/未踏峰「ミチョランマ」”。この怪しげ造語はHMVのユーザー・レヴューにて発見したもの。”音に出して聴く”こと(だけ)が主たる眼目ではなくて、”その音源の価値を見出す”ことこそ大切なんです。例えば、

BRILLIANT 99671 10枚組古楽器による/2005年7月19日渋谷にて1,270円入手●Haydn 「ピアノ・ソナタ全集」(BRILLIANT 99671 10枚組様々な演奏者による古楽器演奏/2005年7月19日渋谷にて1,270円入手)・・・は、一応”音に出して”いるだろうが、全貌が見えない。その後、現代楽器による単発CD(陰影豊かな響きでずっとわかりやすい)でちょっとずつ様子が見えてくる・・・だから、これは未踏峰「ミチョランマ」に非ず。●Haydn「交響曲全集」〜アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団(1987〜2001年/BRILLIANT 99924大枚33枚組!)も同様。これは宿題となります。●ジエイムズ・レヴァイン/メトロポリタンの「ニーベルングの指環」(DG 471 678-2/14枚組)も似たようなものかな?

で、正真正銘未踏峰「ミチョランマ」状態とは、ほとんど勢いでHMVに注文しちまった
EDWARD Elgar THE COLLECTORS EDITION(30枚)・・・現在、8枚目完了。発見の毎日。(ちゃんと進み具合がわかるように栞を挿んである/以下同様)
ドイツ・ハルモニア・ムンディ設立50周年記念限定BOX(50枚)・・・限定なのに再プレス済。限定ではなかったのだね。現在11枚聴了。感動の嵐。
D.Scarlatti ソナタ全集(ピーター・ヤン・ベルダー(cem)36枚)・・・待望の入手、に間違いないんだけれど、入手すべき時期を間違えた(ポイント期限切れで焦ってしまった)か。未だ3枚目で麓のベースキャンプ付近でした。
Mozart ピアノ協奏曲全集(マルコム・ビルソン(fp)9枚)・・・イェネ・ヤンドー全集を処分し、第22/23番の一枚物を処分して、万全の入手〜だったが、購入後一週間、ロンド ニ長調K.382しか聴いていない・・・

Mahler 交響曲全集(ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル11枚)・・・未開封。絶句。
NAXOS 8.557521 オークションで@480ほど/これもジャケット絵が美しいScho"nberg 作品集7枚分(ロバート・クラフト/NAXOS)・・・オークションで通販購入の約半額で入手したもの。ま、ほとんど他の方の入札はないだろう、との予想的中。2枚拝聴したが、予想以上の感動に驚きつつある毎日・・・

 ネット上にカミング・アウトして自らを励ますとともに、深く反省すべく一文であります。

恒例、先月(2008年5月)の振り返りです。最近、記憶力減退が激しいので、自分にとって大切な作業なんです。

↑上記、●Scho"nberg 「6つの無伴奏混成合唱曲」(ロバート・クラフト/サイモン・ジョリー・シンガーズ2006年)/弦楽四重奏曲第2番(フレッド・シェリー弦楽四重奏団/ウェルチ・バビッジ(s)2005年)/弦楽のための組曲 ト調(ロバート・クラフト/20世紀クラシックス・アンサンブル2004年)・・・合唱作品はどんな難解複雑な作品が聴けるのか、と期待したが、民謡をベースとして声部を複雑に味付けして、平易で明るく、楽しいもの。誰でも好きになっちゃうんじゃないか。弦楽四重奏曲は悲劇的で妖しく、これもけっして難解ではない。最終楽章のソプラノの歌詞はどんな意味合いなんでしょうね。「組曲」も晦渋な旋律ではなく、一件シンプルだけれど、じつは演奏困難とのこと。いずれ肌にフィットする音楽也。

NAXOS 8.557508●Stravinsky ヴァイオリン協奏曲(ジェニファー・フラウチ(v)2006年)/カンタータ「星の王」(グレッグ・スミス・シンガーズ/聖ルカ管弦楽団1992年)/管楽器のためのサンフォニー(20世紀クラシックス・アンサンブル2001年)/バレエ音楽「春の祭典」(1967年版フィルハーモニア管弦楽団2007年)〜ロバート・クラフト指揮の一枚。これはまったく凄い集中力。ジェニファー・フラウチは亜米利加の別嬪はんだけれど、濃厚かつ正確な技巧、神経質な細さはなくて、クールな情熱+骨太さを感じさせるもの。いままで聴いたなかでは最高じゃないか、と。「星の王」はこのCDにて初耳作品だけれど、グレッグ・スミス・シンガーズが驚異のアンサンブルと集中力を誇って圧倒されました・・・「春の祭典」は再録音であって、1997年録音のロンドン交響楽団(1947年版)盤には、いまいち”味”が足りない・・・との感触あった(再聴して確認しなければ!)が、こちらいっそうの洗練と集中力を加えて、充分満足いたしました。「版」の違いはシロウトにはまったくわかりまへんが!

「知られざるスペイン・バロック」 ANTONIO DE LITERES(アントニオ・デ・リテレス1673〜1747年)Seguidillas/Los Elementos/El estrago en la fineza o Jupiter y Semele/ 作者不詳 Ruede la Vola/Discurso de ecos/Cancion Franzesa/Diferencias sobre la gayta/ SEBASTIAN DURON(セバスチャン・ドゥローン)Veneno es de amor la envidia/El impossible mayor en amor le venze Amor 〜エドゥアルト・ロペス・バンゾ(cem)/アル・アイレ・エスパニョール(1994年)・・・作曲者の名前も、もちろん音楽も初耳の古楽器によるバロック。いわゆる(素人考えだけれど)フラメンコ風のリズム、カスタネットも入って楽しいもんですよ。粗野なオーボエ先頭に古楽器の技量も優れていて、生き生きとしたアツい演奏が続きました。(ドイツ・ハルモニア・ムンディ設立50周年記念限定BOXより)

●ほかDebussy 前奏曲集第2巻〜アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)(1988年)、マルセル・メイエ(p)の2枚組もGood!

板東興「心臓外科医」(岩波新書)・・・合理的であり、民主的な外科医育成システムのあるアメリカで学んだ著者の画期的著作。興味深くぐいぐいと読み進んだけれど、どうも記憶がある・・・と思ったら再読でした。こんなダブり買いだったら大歓迎の105円也。専門を極めること、謙虚であり、厳しく学び続けること、人の命を預かる医者の慎重な姿勢に感動。頭が下がります。なんとワタシと同年齢。エラい違いだ。

(2008年6月1日)


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written by wabisuke hayashi