2006年10月広島のお店にて

上質なるCDとは


 一年はあっと言うまですね。年々加速度が付いているみたいだ。体調良好です。少々のお仕事トラブルなど、屁でもないわ!ここ最近、気付いたことを少々・・・近況に替えさせていただきます。

 コレギウム・アウレウム合奏団は1960年代〜70年代、所謂、”古楽器”演奏の嚆矢として人気を呼んだものです。現在の耳で聴いても穏健派の、柔らかい響きは鮮度を失っておりません。フッガー城糸杉の間での残響豊かな録音は、夢見るように瑞々しい〜そのことがBBSで話題となりました。ところが、LPはもっと素晴らしかったらしく、曰く「このシリーズのテイチクのLPの音が素晴らしく良いので見つけ次第購入しています。 このシリーズのカッティング技術者はその道では有名な方だったそうです」とのご示唆有〜なるほど。

 制作者に細部のこだわりが許された時代。廉価盤推進協議会を立ち上げ、「日本のCDは価格が高すぎる!」(LP時代もそうだったが)と強く訴えてきたワタシだけれど、それは21世紀に入って(いとも容易く)実現しました。LPからCDに移行するときに「CDはディジタル・データだから全部同じ音になる」と大真面目に雑誌に載っていたと記憶するが、それはほんの誤解かジョーダンであったことは間違いない。但し、(行き過ぎた)経費節減による”ものづくり”の安易さには閉口気味であります。

 まず、音源のマスタリング問題。ワタシはオーディオに感心薄いので詳細言及不可能だけれど、LP時代のカッティング技術のこだわり、みたいなものは消えつつあるのでしょうか。オーディオ機器そのものが、大多数普及タイプ(バラコンなんていう言葉も死語になりつつある)になってしまった結論かも知れません。ひとまずそのことをさておいても、LP→CDへ収録時間の増加による、新コンピレーションが珍妙であることは気付かれていると思います。

 代表は(我らが)SONY〜もうRCAを吸収しちゃったからオーマンディ旧録音の系統的復活はムリでしょうか。老舗のDGだって、ムラヴィンスキー+カラヤンでTchaikovskyの一枚を作ったり・・・で、この安易な編集方針は経費とは関係ないと思うのだけれど、つまりは音源そのものを粗雑に扱っている、という時代の流れでしょう。

 まともな演奏家クレジット、詳細録音情報(これは揃っていないほうが過半。(ネットで検索するしかない)、独善的なライナー・ノーツは必要ないが、時に(とくに作品解説で)入念な配慮あるものだったら、これはあるに越したことはない。そして、シンプルで洒落たデザイン・・・LP時代の大きさはないから、この辺りも手抜きが目立つ今日この頃です。membranの激安ボックスものには、デザイン的にいただけないものが多いですよね。

 さらにCDの材質、プレス技術(ワタシには理解できないが)、ケースへの配慮もほしいところ。例のプラ・ケースはここ10年で薄く、割れやすくなりました。中古CDで、がっちりの厚みのあるケースを入手して驚くこともあります。スリムな紙パックは、扱いやすいと思いますが。

 ワタシは廉価盤を愛し、なによりもその音源内容に(のみ)感動する毎日だけれど、上記の問題は時に気になります。お気に入り歴史的録音同一音源を、様々なところから発売されたCDで集めている方がいらっしゃるが、それも(きっと)一理有。趣味ですからね。いずれ「安くて、エエもん」というものは、なかなかないもんですよ。湯水の如く安物CDを集めて、やがて寄る年波には勝てず”音楽の大食”はできなくなりつつあります。

 そろそろ物欲は治めて、「質の佳いものを少々」〜そんな生き方ができると良いのですが・・・どうも、「安物CD探し」と「音楽を聴く意欲」はリンクしているみたいで、どちらか、というわけにもいかないのが悩ましいところ。

(2006年11月1日)


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written by wabisuke hayashi