2006年4月東京のスーパー付近にて

春なのに、生活に鮮度感を失う・・・


 三日坊主エエではないか。気分転換が上手ですぐ気分が切り替えられること、さっき泣いていた子供がすぐにニコニコ笑っているのを見たりすると、胸がきゅっ!となります。記憶力はどんどん弱まっているのに、気分転換ができないんです。集中力が維持できない、というべきか。朝、けっこう早く出勤して(朝起きた時点で/場合によっては前の晩より)細かいお仕事消化シュミレーションして(エレベーターで行くか、階段を使うか、パソコンのスイッチをどの時点で入れるか、先に封筒を取り出すか、焼き込むCDROMは起動するまでに揃えておこう・・・)、一気に消化を図ります。

 飛び込みトラブル大歓迎、最優先事項付箋紙をディスプレイに貼り付け、終わったら(乃至は誰かに引き継いだら)次々と剥がして、全部なくなるまで消化していく→これはお仕事ではなく、作業(周りの若い者を見ていると付箋紙乱れ貼り放題)。ほんまのお仕事、宿題(締め切り有)はパソコンを立ち上げると同時に「メモソフト」(書き込んで閉じると自動保存される)で優先順位が出るんです・・・取引先とも蜜月だし、職場内では一番年齢(とし)かさで誰も文句言えん。文句あるか。胡散臭い鬱陶しいオヤジでしょうな、きっと。職場で一番段取りの良いヴェテランは。

 こんな生活に慣れ過ぎました。

 ここ最近、著作隣接権フリー=パブリック・ドメイン音源をネットからダウンロードして(そのまま聴けばエエのに).wav変換して自主CD化して聴いております。とくに1950年代元気な時代の亜米利加録音がヴィヴィッドで最高!シャルル・ミュンシュ、フリッツ・ライナー、若い頃のバーンスタイン、これが全部タダ!持ってけ泥棒!ガンガンCD化して、一方でオークション出品CDは予想外の高値で取引されて泡銭出来、しばらくぶりにCD注文してどんどん届いちゃう(円高だから英国辺りから輸入すると安い)し、結局在庫は減らない・・・結果ちゃんと聴けない。粗雑な姿勢で音楽に対して、震えるような感動を呼ぶ集中力はどこへ行った?

 ここ最近、生演奏にも通っているんだけれど、生活に気分転換ができないんです。ずっと疲れている感じ。春になって、気温は行ったりきたりだけれど、左膝はワリと快復。でも、睡眠不如意継続。例えば床屋に行って、生涯一度たりとも髪型に文句付けたことはないんだけれど、どーも気に喰わない。そんな些細なことも気になります。一ヶ月掛かって本は一冊も読了できない。職場ではいつも「元気そうですね」と言われるが、じつは心身とも、美しいものに感動する感性も弱っているんでしょう。ドーパミン不足。こんなんではアカンがな!

 春なのに。職場メンバーも交代なのに。膝も調子エエし、スポーツクラブ再開するか、本格的に。出張から戻ったら、出勤経路を変更します。コレも気分転換。

 そんなこんなで”ちょろ聴き”ばかりだけど、先月のヴェリ・ベスト。

LPO0041 ●Ireland ロンドン序曲/ピアノ協奏曲 変ホ長調(アイリーン・ジョイス (p))/前奏曲「忘れられた儀式」/「これらのことはきっと」〜エイドリアン・ボウルト/ロンドン・フィル/レドバース・ルウェリン(br)/ルートン・コラール・ソサエティ(1949年ライヴ)・・・英国音楽一般に人気はないが、Ireland(アイアランド)も例外に非ず。これは作曲者70歳記念コンサート・ライヴとのこと。音質は年代相応。「ロンドン序曲」(先日聴いたばかり)以外は初耳作品。どれも端正に背筋が伸びて美しくも穏健なる旋律+巧まざるユーモアも漂います。稀代の別嬪ピアニスト・アイリーン・ジョイス(1908年-1991年)を迎えたピアノ協奏曲も雰囲気豊か、低脂肪Rachmaninov みたいな薄味甘美なテイストであります。

「忘れられた儀式」は神秘的な静謐、「これらのことはきっと」は大いにラスト盛り上げる声楽作品!ボウルトは当時50歳、剛直な指揮ぶりは晩年まで変わらない魅力であります。

●Mahler 交響曲第2番ハ短調「復活」〜小澤征爾/ボストン交響楽団/タングルウッド音楽祭合唱団/キリ・テ・カナワ(s)/マリリン・ホーン(ms)(1986年)・・・緻密で誠実、茫洋たるスケールではなく、やや前のめりの切迫感を以て、集中力と切れ味に充ちた美しい演奏です。そういえばボストン交響楽団をあまり聴いていなかった?これほどクリア精密なアンサンブルを実現していたとは・・・弱音時の洗練も特筆すべきでしょう。PHILIPSの録音技術者も賞賛されるべき自然体の音質。詳細丁寧なトラック分けも所有CD中随一のもの。

剛胆より静謐繊細を旨とした表現、ラスト、ニュアンス溢れた声楽が登場すると万感胸に迫る安寧が広がりました。ソロも合唱も絶好調。かつて味わったことのない繊細な「復活」でした。ラスト圧巻のアッチェランドは、やはり前のめりの勢いでした。

●Mahler 交響曲第4番ト長調〜クラウス・テンシュテット/南西ドイツ放送交響楽団/チャポ(s)(1976年ライヴ)・・・テンシュテットの全集を処分したのは、あまりに切迫感強い悲痛表現(安易に日常聴けないよ!)+音質問題、オーケストラの軽量な響きが要因だったと思います(ちょっと後悔)。全集中、個人的にはこの作品が一番ピン!とこないが、このライヴの集中力、切れ味には脱帽です。穏健田園牧歌的で起伏の少ない旋律連続だけれど、どこをとっても先鋭で厳しい姿勢に貫かれて、名曲の神髄をエグりだすような、胸を突き刺す感銘がありました。エヴァ・チャポのソプラノも、この作品に相応しい清楚+豊かな表情有。音質も極上。かつて聴いてきた中で、おそらくはヴェリ・ベスト。

「魔法の角笛」は3曲しか収録されないが、全部聴きたいものだね。

●Prokofiev 歌劇「三つのオレンジへの恋」〜ボーゴ(ボゴミル)・レスコヴィチ/スロヴェニア・ナショナル・オペラ(1956年)・・・管弦楽部分は例のハードな諧謔が馴染みだけれど、ちゃんとした歌劇は聴く機会が少ないと思います。筋書きは(ありがちの)荒唐無稽なもの。これが、馴染みの旋律が一杯出てくること、管弦楽も声楽もテンション高くてモウレツに楽しい!2時間弱、文句なく堪能して、音質もけっこうよろしい感じでした。

(2010年4月1日)


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written by wabisuke hayashi