2005年4月頃/瀬戸大橋よりバス中の景色

転居して3年目に入ったな/春


 母親は無事元気で北海道に去り、歯の不調は治療出来、左膝不調は継続。体重増(出腹傾向顕著)悩ましいが、体調は悪くないんです。お仕事は(大苦戦)一区切り付いたけれど、年々キツくなるのは時代か、それとも世界的大不況(とやら)の問題か。本人の華麗なる加齢問題か。GWを迎えて(商品トラブルを抱えつつ)少々ぼんやりしております。ここで手を抜くとあと(月末)がキツいんだけどね。まったくの閑職だったらヒマだし、給料も同じだからエエようなもんだけれど、人生はそれだけじゃない。お客との遣り取りががオモろくて、性にあっているし。

 まだ、現場最前線でお仕事させて下さることを感謝しましょう。職場の人間関係もずいぶんと変わりました。精神的には良い方向です。

 4月は職場内外、家族との外食でけっこう散財いたしました。でも、綺麗なお姉さんのいる夜のお店に通ったりする趣味はありませんから。趣味は音楽と、旨いモン(あまり高くないところで)喰うことだけれど、ちょっとハズれが多かった。不味い飯を喰うと、もの凄く(人生の貴重な時間を)損したような、そんな気になる。ケツの穴の小さな男であります。

 オークションは急速に落札率が悪化していて、大苦戦。売れ残りばかり。原因は”世界的不況”か、CD媒体の世間的寿命か、価格相場大下落か、それとも出品物のブツに魅力がないのか。おそらくは、そのすべてが混合しておるのでしょう。そろそろ引き時なのかな。

 DG 4778005/38枚組 5,182円にて英国アマゾンより到着音楽愛好家として購入するCDも(頻度は)激減!オークションでウィンナ・ワルツ4枚+フランス音楽一枚のみ入手(月初)。ところが月末に、ど〜ん!とカラヤン交響曲集38枚ボックス注文しちゃいました。相対的円高、ネット時代となって世界相場を横並びに比較して、即注文できるんですね。英国から一週間で届きました。凄い時代になったもんです。コトの神髄は”ちゃんと聴く!”ということだけれど。(5,182円/国内入手より3,500円も安い)

 先月ネタだけれど、著作隣接権切れ音源だったらネット上より無料ダウンロードできて、.wavファイルにデコードして@20のCDRに焼ける=ちゃんと日常愉しむべき音楽を聴けちゃう。ヤバい時代になったというか、音楽を聴くのに廉価盤もクソもない、といった感じです。反省は、ここ最近ナマから遠ざかっていること。休日は疲れ果てて出掛ける意欲を失ったり、演目がありきたり(失礼!BeeやんとかTchaikovskyの交響曲が多いんです)だったり、会場が自宅からちょっと遠かったり、時間が気に喰わなかったり(土曜のマチネ希望)、挙げ句、たまに出掛けるとお隣の女性客が異様に化粧臭かったり、おしゃべりに熱心だったり・・・いろいろありまして、というのは言い訳です。

 先月(一部先々月含)のヴェリ・ベスト。Beeやんが出てくるとは・・・

EVEREST EVC 9010/14 1,554円にて購入●Beethoven 交響曲第2番ニ長調〜ヨーゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団(1960年)・・・躍動し、微笑み、肩の力が抜け、軽妙であり、絶妙な優しさに溢れます。気品もあり、上品でもある。けっして叫ばない。もともと交響曲第2番ニ長調はワリと好み(第2楽章は極上の安らぎ)だったし、若い作品に似合う風情だ・・・と、交響曲第6番ヘ長調「田園」始まりました・・・”苦手Beeやん交響曲”中、第6/7/9番をもっとも敬遠している〜第7番イ長調はもう何年も聴いていないと思います。クリップスの演奏は、小学生が胸時めかせて田園風景に思いを馳せたこと(ウィリアム・スタンバーグ/ピッツバーグ交響楽団のLP)を思い出させて、ひたすら懐かしく、抑制と歌に溢れて原点を確認いたしました。弱いんじゃないんですよ、ムリがないんです。優しい。この時代のロンドン交響楽団は必ずしも絶好調ではない〜そんなことはどーでもエエんです。

●Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」〜パウル・クレツキ/チェコ・フィル(1967年)・・・2000年4月30日徳島での購入とのメモ有。(5枚組3,990円/高い)これがとても良い。草の香りがするようなオーケストラの素朴な響き(ここ最大の眼目!)、威圧感のないしみじみ表現、隠し味のように微妙に揺れるテンポ。ホルンは控え目だけれどヴィヴラート豊かに鳴り渡って痺れます(ティルシャルですか?)。子供の頃から馴染みの「英雄」は、滅多に聴く機会はなくなったが、ほんまに痺れました。

SONY SMK 89429 諸経費込400円にてオークション入手Delius 「北国のスケッチ」(1949年)/「夏の庭園にて」(1951年)/「アパラチア」(1952年)〜トマス・ビーチャム/ロイヤル・フィル・・・これはステレオ録音2枚分(EMI)には含まれていなかったんだな。モノラルながら意外とよろしい録音であり、ロイヤル・フィルって絶好調じゃないですか。ホルンは未だデニス・ブレイン在籍時期じゃないの?穏健安寧な旋律、淡彩で洗練されたサウンド、時に確信を以て爆発する金管の深い響き・・・どれをとっても最高。バルビローリの濃厚濃密なる表情の「アパラチア」に唯一無二?なる感銘を受けたものだけれど、こちらもっとサラリとして薄味自然体、しかも存分に滋味深い。・・・「アパラチア」はロンドン・フィルとの1938年録音も絶品でした。(当然オークション処分対象に非ず)懐かしいアメリカ民謡の旋律が次々と変奏され、諄々とした説得力で迫りました。ラストに向け合唱、ホルンや弦の歌が入ると感慨無量。

堀 秀彦「銀の座席」(朝日文庫)・・・いちおうリンク先を探したが、1984年の文庫、もともとは1980年頃の朝日新聞の連載だったらしい。吹っ切れて枯れた(?違うか)老人の独白であって、神も仏も信じぬ、葬式も要らないといった気骨ある明治人の素晴らしきエッセイ。なんて美しい日本語なんだ。

堀秀彦「石の座席」(朝日文庫)・・・先の著作の続編ではない、とのこと。同時期のあちこちに書いた文章の集成(3年後)となります。もう入手困難かも。硬派で気骨もあるが、頑迷ではない。愛に溢れて柔軟です。既に十年以上前他界された奥様への思いを、夫婦愛として人類共通の真理にまで高めて胸を打つ文書が続きます。老いるとはどういうことなのか、安楽死は許されるのか・・・平易で美しい、地に足のついた表現で読み手を厭きさせない。

「銀の座席」と併せて、ここ数年拝読した著作中のヴェリ・ベスト!ほんまの名著は20年や30年くらいで旧くならないんです。

   

(2009年5月1日)


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written by wabisuke hayashi