Delius「アパラチア」/
R.Strauss 交響詩「ドン・キホーテ」(トマス・ビーチャム)


XXL(DOCUMENTS)220823-303 10枚組 2,490円で購入したウチの1枚 Delius

「アパラチア」(ビーチャム編)

ロンドン・フィルハーモニック/BBC合唱団(1938年)

R.Strauss

交響詩「ドン・キホーテ」作品35

ニューヨーク・フィルハーモニック/アルフレッド・ウォーレンシュタイン(vc)/ルネ・ポライン(va)(1932年)

トマス・ビーチャム指揮

HISTORY 205228-303  10枚組 2,490円で購入したウチの1枚

 数年前、”オトナ買い”した一連の(怪しげ音源)歴史的録音のボックス・セットより。レーベル名を変え、スリムボックスとなり、値下げして現役であります。オーディオにこだわる方(そしてライセンス関係に厳密な方)には、問題を抱えたCDセットなのだろうが、ビーチャムの豊満かつ穏健、スケール大きな表現を気に入っているワタシにとっては大切なる音源となります。音質だって、想像以上に聴きやすい(と感じます)。

 Delius「アパラチア」(1902-04)は、「奴隷の古い歌による変奏曲集」(副題「アメリカン・ラプソディ」)となっていて、導入と主題提示、合唱付きの変奏曲、そしてフィナーレで構成される30分ほどの作品。アメリカ開拓時代の民謡風旋律そのものであって、西部劇を彷彿とさせる・・・って、アメリカは移民の国だから世界各地の旋律リズムが合体しているんでしょう。こうして日本人が聴いてもシミジミ懐かしさ一杯であります。Fosterとか、ケンタッキー・フライド・チキンの宣伝とか思い出します。

 典雅で甘美なワルツ有、勇壮なる軍隊行進曲有、シミジミとした合唱の詠嘆有。男声ソロ有、呼応する女声合唱有。たしかバルビローリ(1970年)で馴染んだ記憶があって、確認すると、手許棚中にはこのビーチャム盤のみ所有でした。演奏の優劣を論じることの無意味さを悟る、暖かい感銘に包まれます。

 交響詩『ドン・キホーテ』作品35は副題を「大管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」というのだそうで、このCDは「変奏曲つながり」で配慮ある収録となります。この時期(1932年トスカニーニ時代)ビーチャムはニューヨーク・フィルの客演指揮者を務めていたそうで、その時期の録音でしょう。

 管弦楽のアンサンブルは(おそらくは後年ステレオ時代の印象より)ずっと優秀(とくに管楽器群)で、同時期のトスカニーニ録音より、柔軟でふくよかに響きました。(録音印象かも)後、指揮者として活躍するウォーレンシュタインは、当時このオーケストラにいたんでしょうか。Tartiniのチェロ協奏曲の演奏記録有。達者な技巧大活躍だけれど、ソロだけが目立つ役割でもない。もっと親密です。

 個人の純粋なる嗜好問題だけれど、この作品「どこが山なの?」的、少々取っつきにくい印象あります。でもね、ここでの演奏は明るく、優雅で、骨太なサウンドがわかりやすい。あちこち景色を眺めながらの”のんびり車窓の旅”みたいな印象であり、ユーモラスでリキみはありません。フィナーレ「ドン・キホーテの死」に於けるチェロと管弦楽の切々とした掛け合いは、ゴージャスな安寧に包まれ万感胸に迫りました。こうして、また、古今の名曲にひとつ接近させていただきました。

(2007年1月19日)

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written by wabisuke hayashi