広島→山口山陽本線中より”ぴんぼけ”

久々の”怒り”(音楽ネタ)


 ・・・と、言うほどのこともないんだけれど、先日金沢BOOK・OFFにて入手したBeethoven ヴァイオリン協奏曲ニ長調/Bernstein セレナード〜ヒラリー・ハーン(v)/デイヴィッド・ジンマン/ボルティモア交響楽・・・なんせ、安物狙い一筋、こういった若手の録音は滅多に聴く機会もなくて、ま、300円だししっかり聴かせていただきましょう。1998年録音、ハーンちゃん19歳の録音か。可愛らしい娘さんじゃないの。しっかりとした技術、美音だけれど怜悧でやや無表情っぽい(素直過ぎ?)が、そこは若者の伸びやかな感性もあって、こうした若手がこれからの音楽業界を支えていくんだろうな、と応援したくなりました。ありきたりなフィル・アップじゃなくて、Bernsteinのセレナードというのも工夫があってエエ感じ。

 で、世評に疎いのでネット検索してみました〜出ました!久々の誹謗中傷。ま、デフォルメしておくけど、曰く、廉価盤専門のジンマンがバックだから心配したが、案の定粗雑なアンサンブルで、ヴァイオリン・ソロとのバランスも最悪で聴いていられない、と〜廉価盤に登場している人=B級音楽家という古典的先入観に犯されている人は未だ存在するんですねぇ、驚きました。ましてやジンマンのBeethoven は賛否あるにせよ、その個性は充分拝聴に値するものでしょう。ここでの伴奏は、交響曲ほどの際だった個性は感じられないものの、入念な配慮有。バランス悪い?どこが。

 挙げ句「セレナードには興味がない」という締めで、この方の音楽聴取の幅が理解できました。この作品は20世紀の、ドキドキするほど(ジャジィな)名曲ですよ。ヒラリー・ハーンのソロはもっとヴィヴィッド、粗野でも良いとは思うが、有名定番作品のみで済ませぬ選曲に拍手を送りたい。音楽は嗜好品だから、好きずきはあるでしょ。でも、「廉価盤の人だから粗雑」「著名作品以外は興味なし」では話しにならんわな。

 こんな人とは絶対にお友達になりたくない。嗚呼、文句タレで、貴重なるサイト更新ネタ原稿一本分使っちゃったぜ。

 一年は速い。なんか大昔みたい。ことしはぐっと涼しいですよ。記憶では昨年はこの辺りからずっと体調悪くて、ことしはずいぶんとマシだけれど、”疲れている”という実感あります。月数回の北陸方面出張から戻って、最寄りの駅から徒歩11分ほど・・・これが足取りも出張鞄も重いんです。移動中はずっと音楽を聴いているが、大阪まで到着したらいつもの通勤経路でしょ、もう心身とも(耳も)疲労して音楽を敬遠したくなる・・・

 休日もごろごろして完全に弛緩しております。演奏会に行く気力も失せている・・・数日前の日曜、ご近所西宮でアマオケ演奏会があったけれど、演目がMahler の交響曲第1番と聞いて、昼寝を選んだのは完全なる堕落であります。サイト用の原稿執筆に四苦八苦しているのは、まず取り上げるべきCDが決められないこと。次に、なんども繰り返して執筆していく集中力が続かないことが理由です。

 嗜好の維持/継続は重要だけれど、一方ででいろいろと”精神的冒険”だって必要なんです。新しい飲み屋の開発でもいいや、お仕事手順の大胆な変更でもかまわない。いままで敬遠していた音楽への挑戦もよろしいでしょう。パソコンだって「XPで不自由ないし」などと安閑としていると、時代に置いていかれるかも。トライヤルして、失敗して、苦戦しつつカヴァーしていく、そんな意欲が必要なんでしょう。

 さて、今年もあと3ヶ月。あっという間ですな。なにか新しいことをやりたい。

 先月のヴェリ・ベスト。

●Mahler 交響曲第7番ホ短調〜ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル(1977/78年)・・・全曲で81分を越え、第3番に次いで長丁場はCD一枚に収まらない。第1楽章の印象から”怪しい”作品と感じていたが、ノイマンは健全で明快、よくできた穏健牧歌な作品〜のように聴かせます。各パートがとても美しく(ホルンなど絶品!)鳴り響いて、聴き手を安寧な世界に連れて行って下さいました。白眉は第4楽章「夜の歌」(2)だな。ゆったりとしたテンポで静謐に、ていねいに歌っております。これぞ正統的セレナードだ。(難しい)終楽章との全体バランスも良好。

●Brahms チェロ・ソナタ第1番ホ短調/第2番ヘ長調〜ヘレ・ヤン・ステゲンガ(vc)/フィリップ・アントルモン(p)(2000年)・・・室内楽ながら特異なスケールと+暗鬱な官能を感じさせる名曲。ステゲンガとは見知らぬ名前だけれど、着実な技巧で、煽りとか昂揚を強調しない。昔なじみの作品(歴史的録音で聴いていた)だけれど、これほど作品をわかりやすく、しっかり味わえたのは初めてでした。ヴェテラン・アントルモンが背骨を支えているようであり、抜群の安定感と陰影ニュアンスを作り出しております。音質は重要ですね。

●Debussy ヴァイオリン・ソナタ/フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ、シランクス(フルート・ソロのための)、チェロ・ソナタ、ラストは「ビリティスの歌」〜ナッシュ・アンサンブル+デルフィーヌ・セイリグ(1989年)・・・ナッシュ・アンサンブルはホンワカとした雰囲気で聴かせない、すっきりかなり明快、しっかりとした技巧で、逆に妖しい旋律を際だたせます。「ビリティスの歌」はナレーターの呟きが〜まったく意味が理解できなくても〜セクシーな世界が纏綿と広がる・・・(女性を口説くには最高の音楽じゃないの?チャンスはないが)

●Elgar オルガン・ソナタ第1番ト長調(ジェイコブ編)/「子供の魔法の杖」組曲第1番/第2番〜ヴァーノン・ハンドリー/ロイヤル・リヴァプール・フィル(1988年)・・・この人は(英国内ともかく)海外で、日本でも人気が出なかったが、その膨大なる録音の一部を聴いた限りでは、どれも”外れ”がない。この演奏も、驚くべき充実したアンサンブル!英国音楽にしてはやや濃厚なる旋律を見事に表現して、師匠であるボウルトを思い起こせば、剛直より繊細モダーンを狙っている風情が感じ取れます。響きは良い意味で淡彩だけれど、迫力にもメリハリにも不足せず。合掌。

(2008年10月1日)


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written by wabisuke hayashi