春に/風の変化
取引先(金沢)の人々から「毎週来てますね」と言われるが、好きで行っているワケじゃない。呼ばれたり、用事があって行っているんです。残念ながら観光ではなく、駅と取引先の往復のみ。職場にこもっているより出掛けた方が性にあっているが、こなすべき膨大な机作業もあって苦しいところ。でも、さすがに現在の職場に異動して丸2年、現状の担当になって1年、風はずいぶんと変わりました。お仕事にリズムができた、といった自覚もあります。取引先事務所には”出入り自由”という特権を確立しているし、だからどうなんだ、言われるとそれまでなんだけど、取引先に近しい存在としてくださることを誇りにしましょう。
ことし2009年初等に(自ら)発見した大トラブルの処理に3ヶ月、日常業務をこなしつつその修復にあたってまいりました。いちおう決着、ついに付いて、サラリーマン生活最大の危機だったという自覚有。得難い経験です。
職場内でも超迅速なる日常作業消化、的確なトラブル処理、相次ぐ業務改革作業改善(この反発が最初のウチあちこち凄かった!)ぼちぼち全体認識となって参りました。サラリーマン生活も晩年を迎えつつあります。現場仕事に向いている自覚あって、華麗なる加齢労働者を少なくとも、もう一年最前線で使ってくださることを感謝しましょう。発生した大トラブルの詰め腹切らされて人事考課(するのは、当の逃げまくった上司ですから)最悪、一時金も最低ランク(たいした差は出ない仕組みなんです/もとより今年は厳しいのは目に見えているし)だろうが、屁みたいなもん。それ以外一切お咎めなし、のようだし。
職場、取引先とも、楽しければサラリーマンとしては最高なんです。残課題は (1) 体重増(なんせ自棄喰い/酒連日でしたから) (2) 体調諸数値の悪化(同前の理由)・・・激しいストレスでしたからね。(3) 出費増(同前の理由、けっこう奢ったし+CDはじめいろいろ購入/でもコントロールの範疇)。ストイックに体質改善を検討しなくては。いまのところ心身共にワリと好調なんです。でも油断大敵。
桜花の季節がやってきました。美しいものを拝見し、音楽を聴き、旨いものを喰い、呑み、和気藹々(粛々と?)とお仕事をこなしていく〜これ以上の幸せがあるでしょうか。昨年不調続きだった女房殿の肩腰も、その後大丈夫のようだし。本日、北海道の母親が出てきます。
● CD関係、先月の最大ポイントは”歴史的音源の一気処分”。21世紀に入ってCD価格大暴落のキッカケを作ったボックスセットを過半、オークションに出品し、願った相場で売れました。主眼は、あまりの劣悪音源に耐えられない、比較的良質な音源で同作品が激安ボックスで入手可能であるということです。代表例「バイロイト33枚組」はHMVでは7,563円、タワーだったら5,999円、アマゾンだったらそれより更に1,000円安かったらしい。歴史的音源2セット計29枚を5,330円にてオークション処分出来、頻度は少なかったとはいえ8〜10年聴いてきたし、+ベームの「リング」全部入って代替できた、ということです。(現在、「マイスタージンガー」「タンホイザー」を聴取済み)
既に廃盤になっているだけれど、HISTORYの歴史的録音40枚セット「指揮者編The 20th Century Maestros」「ピアニスト編THE PIANO MASTER 」を先頭に、往年の著名指揮者10枚組も次々と処分(継続中)。これは@80を目処に自ら値付けしてオークションに出したら、それなり競合もあって売れてくださるものですね。まだまだオールド・ファンは全国にいらっしゃる!
この辺りの経過は別項更新しておきました。オーディオ・データ→CD化というのも時代遅れというか、郷愁なのかな?でも、趣味だし。けっして贅沢ではないと思うんだけれど。他、グレン・グールドのオリジナル・ジャケット80枚組、シャンドス30枚組、ついにはBeethoven 87枚到着・・・昨年来聴き続けている「Elgar30枚組」、「HMF50枚組」、Scarlatti「ソナタ全集36枚組」(ピーター・ヤン・ベルダー)、ああ「Bach 155枚ボックス」を忘れてました。〜いずれも完全聴破ならず、いわゆる未踏峰ミチョランマ状態(残)なんだけど、時に思い出し、楽しみに、じわじわ少しずつ聴いております。
おそらくはそれ以上の枚数で処分していて、棚中在庫は見た目だけでもずいぶんと減っております。上記(一見)贅沢な購入も、じつはオークションで稼いだ小銭集積財源で立派にまかなえて・・・いるかな?グールドのボックスは少々高価でした。
● 先月の”マイ・ヴェリ・ベスト”。我ながら、ちょっとメジャー指向過ぎるか?
Dvora'k 交響曲第8番ト長調(1958年)/第9番ホ短調「新世界」(1959年)〜ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団・・・こういうのを聴いちゃうから、棚中在庫CDごっそり整理する衝動が生まれるんです。これは凄い!厳しいリズム、テンションの高さ、研ぎ澄まされたアンサンブル、時に見せるテンポの揺れの効果的なこと、そして・・・各パートはけっして”美しくない”事実。仏蘭西系オーケストラの例を引くまでもなく、技術的に優劣付けがたいシカゴ交響楽団との個性の違いも一目瞭然であって、表現の気高さ、懐かしいエモーションはアンサンブル・トータルから生まれるのであって、腕利き団員の”色”に頼らない、ということです。ホルンやティンパニ(クロイド・ダフ)は素晴らしいが、フルートの音色は好みではない。弦だって(録音の加減か?)けっして艶やかに鳴り響かない。
でも、圧巻の、押し寄せる情熱とクールな統率が同居して、これほど凄い「第8番」「新世界」はそう聴けるものではない。終楽章は驚くようなアッチェランドがアツく、そして大見得を切ってテンポにタメを作ります。魂を揺さぶる演奏也。提示部を繰り返さないのが唯一の不満でした。
Bach イタリア協奏曲/パルティータ第1番 変ロ長調/第2番ハ短調〜グレン・グールド(p)(1959年)・・・オリジナルはこの収録でわずか40分。イタリア協奏曲は(駅売海賊盤などで)何度も聴いていたけれど、滋味深い音色を初めて認識できました。終楽章快速表現に以前は違和感あったが、知的明快な表現に納得。パルティータも正規盤初聴取(駅売海賊盤ばかりだ!すべて処分済)だけれど、音楽の構造が丸裸になったような明快な姿が見て取れました。情感を込めないタッチ、要らぬ感性の揺れを込めない表現〜どれもワタシの標準基準であります。
●CD1枚目/ウィーン気質/アンネン・ポルカ/朝刊/ハンガリー万歳/美しく青きドナウ/浮気心/愛の歌/常動曲/宝のワルツ〜アルフレッド・ショルツ(変名指揮者)/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団●CD2枚目/皇帝円舞曲/ピツィカート・ポルカ/もろ人手をとり/ラデツキー行進曲/加速度円舞曲/オーストリアの村つばめ/トリッチ・トラッチ・ポルカ/ウィーンの森の物語〜ペーター・ファルク/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団●CD3枚目/芸術家の生活/電光と雷鳴/南国のバラ/観光列車/酒・女・歌/入場行進曲「いざ、ともの戦いに」/レモンの花の咲くところ/ペルシアの行進曲/春の声〜カール・ミヒャルスキ/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団・・・1989年ご近所ジャスコの専門店街にて購入、との記録が残っております。(PILZ CD 160 303-5 3,600円!で購入)
当時はこれでも激安だったし、久々の聴取にシミジミ感慨深い・・・ずいぶん聴いたんだろうな、どこを聴いても馴染みで、懐かしくて・・・20年前でっせ!ワタシは生意気盛りの30代前半、息子は未だ赤ちゃんだったんじゃないか。オーケストラの響きも録音も鄙びて素朴で、しかもゆったりしたリズムのノリがちゃんとある。テンポのタメも適度であって、これはこれで優雅な気分たっぷり味わえます。
Wagner 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜シルヴィオ・ヴァルヴィーゾ/バイロイト音楽祭(1974年)・・・2006年に亡くなった、オペラ一筋!スイス人指揮者であって、この録音はしばらく廃盤となっていたもの。ま、大きなCD市場のひとつである日本では全然知名度ありませんもんね。オペラそのもののコメントできる(とくに歌い手)ほどの知識も経験もないが、著名な前奏曲は大仰ではない手堅い表現で、歴史的著名指揮者の”管弦楽作品集”とはイメージが異なります。録音も艶々のディジタル録音に比べるとやや地味、いかにも劇場の雰囲気を伝えて悪くない。ワタシのようなド・シロウトは会場(バイロイト)の荘厳な雰囲気空気を愉しめればそれで良いんです。そうだな、奥深く響き渡るホルンとか。
カラヤン/コロ/アダム/ドナート盤の破壊力に比べると、ヴァルヴィーゾ盤なんて「へ」みたいなもんねと外野から野次が飛んだけれど、ますますワタシは感銘深く、ノーミソで馴染みの旋律鳴り続けております。録音も艶々のディジタル録音に比べるとやや地味、と昨日書いたけれど訂正します。会場の臨場感溢れる自然体極上の音質である、と。比較対照が少ないからなんとも言えぬが、ザックス役のカール・リッダーブッシュはほんまに立派、ヴァルター役のジーン・コックスは録音の少ない人だけれど、マイスターを目指す若者の雰囲気を良く出していると思います。
ま、著名なる前奏曲に馴染んでいれば、全曲あちこち知っている旋律が出てきてわかりやすい、明るい音楽です。(これを執筆後、前月最終日に聴いたヴァーツラフ・ノイマンとヨーゼフ・クリップスの感銘は来月回しで)
(2009年4月1日)
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