R.Strauss 家庭交響曲
(カール・シューリヒト/ミラノ・スカラ座管弦楽団/1941年)
R.Strauss
家庭交響曲 作品53
カール・シューリヒト/ミラノ・スカラ座管弦楽団
1940年との表記だけれど、1941年11月録音の情報が有力
Schumann 「マンフレッド」序曲(1948年ロンドン交響楽団)
Wagner 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲(1929年ベルリン・フィル)
HISTORY 205644-303 10枚組2,290円にて購入したうちの一枚
ワタシはR.Straussをあまり得意とはしていなくて、でも、激安セットものやら中古廉価盤で沢山入手可能なので、いつの間にやら棚中に大きな存在を占めるようになっております。お付き合いは長いから、ほとんどの旋律とは馴染みだけれど「家庭交響曲」ってどんな曲だっけ?と、ネットで偶然見掛けたのを機会に、このCDを我が棚中より探し当てたものです。シューリヒトがイタリアで・・・というのは珍しいですか?
「交響曲」となってるけど実際は「交響詩」ですね。「アルプス交響曲」とよく似ていて、きっとこんな音楽を堪能すべき”ツボ”があるんでしょう。冒頭主題は「ドン・キホーテ」も連想させます。壮麗なる近代管弦楽作品だから、音質条件がよろしくない歴史的録音は不利でしょう。わざわざこんな、ぼんやりとした音源で聴き始めたのが失敗だったのか。でもね、慣れですよ。だんだん様子は見えてきました。全体は「第1部」主題提示部(気楽に〜非常に活発に〜表情をこめて)/「第2部」 スケルツォ(生き生きと)〜「子守歌」(適度にゆるやかに)/「第3部」アダージョ(ゆるやかに)/「第4部」フィナーレ(非常に活発に)に分けられるとのこと。
で、このシューリヒト盤だけれど、なんだか収録がおかしい。「第1部」は通常5分くらいだけれど、わずか0:51しかトラック表示がない。次の「スケルツォ」(表示)トラックはわずか2:12(他の演奏だったら6分ほどか)・・・って、このHISTORY盤の編集ミスですか?・・・そうか、途切れなく演奏される「交響曲」(とは名ばかりの作品)故、トラック分けの編集が誤っているのだね。
トラック3「0:51」+トラック4「2:12」+トラック5(7:54)中「1:33」=「第1部」主題提示部、トラック5(7:54)中残り「5:21」が「第2部」 スケルツォ。その後微妙に区切り方の相違はともかく、トラック6(15:45)中「5分弱」が「子守歌」、残りが「第3部」アダージョ。トラック7が正しくて「第4部」フィナーレとなります。嗚呼!ややこし。
じつはこの録音、「Richard Strauss10枚組」(DOCUMENTS 223514)にも同一音源が収録されて、この編集ミスに凝りてか?ナント全曲でトラックひとつ!なんです。(困ったもんだ)
これを解明するのに、ケンペ盤(1972年)、ライナー盤(1956年)など取っ替え引っ替え〜これが趣味の醍醐味であり、ド・シロウトの哀しさでもある・・・でも、旋律の味わいしっかりノーミソに叩き込みましたよ。
「第3部」アダージョは「夜の生活」だそうで、お父さんの作曲のお仕事ぶり(「英雄の生涯」に似た旋律も登場)、そしてお待ちかね「夜の営み」の詳細描写へと移行します。これが、音量低く、メリハリの足りない録音品質故(SPらしき針音も有)か?それともシューリヒトの表現なのか、けっこう淡々と静かに、動き少なく大爆発に至らない。ソフト・フォーカス(ピンぼけ?)にて、それなりの官能的な雰囲気は継続しております。この類の音楽だったらFranck ピアノ5重奏曲ヘ短調のほうが、ずっと上品に”それ”らしくて好みであります。やがて朝の鐘が鳴る。アンティークな目覚ましみたいにも聞こえます。
「第4部」フィナーレの軽快さ、オーケストラの明るさ、さらさらさっぱりした勢いはちゃんと理解できますよ。R.Straussだったら、華々しく金管打楽器大爆発しないとツマらんだろうが、清廉だけれど、少々鳴りの悪い(とくに低音)のはノーミソ想像力で補いましょう。やかましくなくて、静かな夜に聴くのも悪くないか。こんな”トラック分けエエ加減”+”歴史的録音”をムリして聴かなくてもよいけれど、これで慣れておけば、少々の録音不備乗り越えて、この作品は楽しめるようになるもの。 (2007年3月2日)
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