Mozart ピアノ協奏曲第24番ハ短調/Weber ピアノ協奏曲ヘ短調/Franck 交響的変奏曲
(ロベール・カサドシュ)
Mozart
ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491
指揮者/オーケストラ不明(1937年パリ。ウジェーヌ・ビゴー/パリ音楽院管弦楽団との御示唆有)
Weber
ピアノ小協奏曲ヘ短調 作品79
Franck
交響的変奏曲
ロベール・カサドシュ(p)/コンドラシン/イタリア放送トリノ交響楽団(1960年ライヴ)
HISTORY 20.3174-306(THE PIANO MASTER 40枚組 5,990円のウチの一枚)
ロベール・カサドシュ(1889〜1972年)はフランスのピアニストだけれど、米コロムビア(現SONY)の専属であったらしく、アメリカのオーケストラとの競演が多く残されております。例えば、このサイトでもMozart ピアノ協奏曲第21番ハ長調(1961年)、Franck 同作品はオーマンディとの録音(1958年)を既に掲載しておりました。あまりたくさんは聴いていないが、素直で洗練された表現の人だと思います。
Mozart の劇的ハ短調協奏曲・・・コレ、「Mozart DELUX」(HISTORY40枚組)でもダブり収録されてました。戦前の録音は意外と明快で聴きやすい(やや硬質ではあるが)が、伴奏者情報不明(パリの団体なのでしょうか)。なかなかの充実ぶりでして、戦前の協奏曲録音にありがちの”伴奏に徹した”ヘロ・アンサンブルではない。いくらでも劇的勇壮に(Beethoven 寄りに)仕上げることは可能な作品だし、戦前の巨匠時代だし・・・と思ったら大間違い。抑制が利いて、しっとりとした味わいになっておりました。
カサドシュのピアノは、音質問題を除けば晩年と方向は変わらぬ、洗練され、変化や抑揚をあまり強調しない表現。それでも若さ故(38歳)か、時にアツく燃えるようなラッシュ(第1楽章カデンツァ)も楽しめますね。これは(どこの誰かは知らぬ)伴奏者の嗜好かも知れません。技術的には万全の、繊細なる指の動き。第2楽章「ラルゲット」には、落ち着いた品がありますね。
終楽章変奏曲は淡々と味わい深い。淡彩で線が細いようなピアノだけれど、細部のニュアンスで聴かせる表現になっていて、叩いたり、リキんだり、とは無縁の世界なんです。なんかシミジミ懐かしく、ほっとするような「劇的ハ短調協奏曲」は異色ですか?
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1960年コンドラシンとのイタリア・ライヴは、音の状態かなり良好。(戦前録音のあとに聴いたせいか)ステレオ収録かどうか怪しいが、音の広がりは感じられます。(繊細さに不足するにしても)Weberは「コンチェルト・シュトゥック」(小協奏曲)でして、5つの部分が切れ目なく演奏される15分ほどの小品。ちょっぴり哀愁の風情漂う旋律連続でして、やがていつもの素朴で躍動する表情が出現します。こんなWeberはいつも大好き!
コンドラシンのバックも見事でして、馴染み薄いオーケストラを叱咤激励して、メリハリあります。ド・シロウトが聴いても細かく、速いパッセージが連続してたいへんな難曲、カサドシュはいともたやすく、さらりと弾きこなして、まったくお見事。Weberはイキイキしていないと。ソロもバックも文句ない闊達ぶりでした。最終盤はにこやかだけれど、手に汗握る超絶技巧でした。(拍手も盛大)
さて、きっとお得意のレパートリーと想像される「交響的変奏曲」〜Franck のピアノ作品はいつもエッチなんです。(官能を連想させる)陰影に充ちたピアノはあくまで端正、剛直骨太のバックに支えられ、密やかで甘美な哀しみを表現して下さいました。
(2005年10月13日)
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