Berg
ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
ヨゼフ・シゲティ(v)(1945年)
Milhaud
バレエ音楽「屋根の上の牛」(1945年)
Krenek
ピアノ協奏曲第3番(1948年)
ディミトリ・ミトロプーロス(p)/ミネアポリス交響楽団
XXCM DOCUMENTS(History) 220833-303 10枚組 2,480円(税抜)のウチの一枚
この10枚組は全般に音質がよろしくなく、取り出す機会が少ないものです。ちょっとミソ付けちゃうような事件もありましたし・・・でも、選曲は魅力的というか、ミトロプーロスはモダーンな作品のレパートリーだったんですね。ここでは彼の達者なピアノも楽しめます。但し、もっと良好な音質で楽しむべき作品かも知れませんが。
ワタシはBergが大好きです。このヴァイオリン協奏曲は、甘美であり、静謐であり、そして破壊的な官能を感じさせる名曲中の名曲。出会いはギドン・クレーメルだったかな?LP時代はヨゼフ・スークで堪能した記憶もあります。どちらかというと、怜悧で美音を誇るようなヴァイオリンが向いていると思うが、無骨方面なシゲティの録音もあったとは・・・燃えるような情熱で各フレーズを入魂させていて、かつての作品イメージから随分遠い世界ですな。
ワタシはシゲティのヴァイオリンを”技巧不足”とは思わないんです。流麗じゃないだけ。”これでもかっ!”的感情移入が揺れて、浪漫方面の解釈となるのでしょうか。とても雄弁であり、録音の旧さをやがて忘れます。アツいですよ。ミトロプーロスのバックも負けず劣らず、燃えております。
バレエ音楽「屋根の上の牛」(1920年初演)は以前から、荒唐無稽なる溌剌ラテンのリズムがお気に入り。ルイ・ド・フロマン/ルクセンブルク放送管弦楽団は味わい系(雰囲気で聴かせる)であって、少々技術やらリズムの徹底に甘さがありました。ミトロプーロスのハメのハズしかた、テンポの大幅な揺れ、刻々と変化する(時に神妙なる)表情、管楽器群のスウィングなど比較にならぬ賑々しい楽しさであります。当時のミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)って、技術的にとても優れていると思います。最高。
Krenekは初耳でして、クルシェネクって読むらしい(ほんまは”クレーネク”とのこと/って、まんまじゃん)。ハードで破壊的な現代テイストの作品であって、ミトロプーロス自らのピアノも達者な技巧を誇ります。派手で、いっそう硬派なるBartokテイストといったところか。弾き振りながら、オーケストラのアンサンブルは正確冷静そのものであって、やたらと迫力があって、そして喧しい・・・
(2007年8月3日)