Music in Paris in the 1920s
(Milhaud/Poulenc/Satie/Tailleferre/Honegger)


VOX ALLEGRETTO  ACD8157

Milhaud 

屋根の上の牛

Poulenc 

組曲「牝鹿」

Satie

パラード

Tailleferre 

ピアノと管弦楽のためのバラード

ルイ・ド・フロマン/ルクセンブルク放送管弦楽団/マルシアーノ(p)

Honegger 

ピアノ協奏曲

ホルライザー/ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団/クリーン(p)

VOX ALLEGRETTO  ACD8157 1,150円で購入(のち800円、500円でも目撃)

 VOXの音源は膨大で、まだまだ隠れているはず。VOX AREGRETTOのシリーズは5・6枚持っているけれど、うち3枚ほどが(悔しいことに)1000円以上出して買っています。でも、欲しかったんです。1994年頃買った記憶有。

 VOXはBeethoven やBrahms の全集、みたいな録音はないくせに、こうしたフランスのベル・エポック時代の録音に熱心で、その品揃えに感心します。(ほかにもたくさん録音がある)演奏家が渋いでしょ?フロマン/ルクセンブルグ放送管はVOXには欠かせない演奏家だけど、他のレーベルでは〜とくにメジャー・レーベルには〜まず見ません。フロマンは南フランス出身で、1921年生まれだから、もう亡くなっているかも。

 ルクセンブルグのオケなんて、ちょっと嬉しいですよね。明るい音色、アンサンブルがラフで、リズムがいい加減、薄くって軽くって、もう最高!(最近の録音は見ないなぁ)録音水準も、VOXにしてはずいぶんと明快。(他がひどすぎるので。評価も甘くなりがち)Beethoven とかBrahms 、Brucknerには手を出さないで、近代フランス音楽で録音を残してくれたのは大正解。

 ミヨーの「屋根の上の牛」。明るくて、これなんて云うんでしょうか、ラテンのリズムというか、サンバというか、カーニバルの派手派手しい踊りの音楽。単純な明るい旋律と打楽器が大活躍で、ちょっとない楽しさ。これが、わざとやっているかのような、リズムの乱れ、アンサンブルのズレ、テンポのよろけ。まるで酔っているかのような千鳥足。

 おそらく、オケがヘタクソで、指揮の統率も取れていないんだろうと想像されます。それでもこの楽しさは並じゃない。「整然とした軍隊のようなリズム。一糸乱れぬ統率」は、この曲には似合わない。これでいいんです。

 これがプーランクになると、ずいぶんお洒落な曲。トランペットの楽しくも細かい音形から始まって、ユーモアたっぷりの旋律の連続、元気いっぱいの明るさ。5曲からなる短い組曲ですが、まとまりというか(ちょっと違うな)起承転結というか、そんな構成感の演奏じゃありません。ときどき、アンサンブルのテンションが下がることもあって、やっぱりこのオケと指揮は少々問題あり。ま、楽しいことに変わりありませぬ。

 サティの「パラード」になると、これはもともとが支離滅裂で、意味のないような旋律の連続だから、この演奏で納得。「家具の音楽」の類で、別にもの凄い不協和音といわけではないが、現代音楽ですよね。へんな打楽器も多彩に次々と使われていて(タイプライターや鉄砲なんかも)、現代版「おもちゃの交響曲」ですね。演奏云々は問題にならない曲。

 20世紀初頭のパリは、前衛的で享楽的な芸術が渦巻いていた、と、たった3曲で想像できる不思議。ドイツの3大Bで、硬くなった頭はこれでマッサージできる。

 タイユフュールの曲って聴いたことないでしょ?ワタシもこれ以外知りません。貴重です。フランス6人組、なんて名前ばかり有名で、音楽を聴く機会は少ない。(ロシア5人組も似たようなものか?)幻想的で、妖精が漂うような〜ドビュッシーをうんと甘口にしたような〜曲。けだるい、退廃的な雰囲気は、ちょうど「牧神」のピアノ版でしょうか。後半はラヴェルみたいなリズム、というのは安易な表現ですね。いかにも女性好み。(こういうバックにルクセンブルグ放送管は悪くない)

 オネゲルのピアノ協奏曲には、御大ホルライザー(この人こそBrucknerを演奏するような)も登場して、いまは亡き名手(この人の奥さんは日本人だったはず)クリーンの演奏です。無機的で、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのような曲。カチっとしたオケに、調子外れに弾いたような単純な音形のピアノ。とても不思議でリリカルな味わいがあります。

 ま、1,000円では買えなかったけど、何年も聴いていて元は取りました。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi