Debussy 「海」「遊戯」/Busoni ヴァイオリン協奏曲ニ長調
(チェリビダッケ/ベルリン・フィルハーモニー/ジークフリート・ボリス(v))


XXCM(History)  221915-303 10枚組 3,490円購入でしたウチの一枚 Debussy

交響的素描 「海」(1947年)
舞踏詩曲 「遊戯」(1948年)

Busoni

ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35a(1949年)

チェリビダッケ/ベルリン・フィルハーモニー/ジークフリート・ボリス(v)

XXCM(History) 221915-303 10枚組 3,490円購入でしたウチの一枚

   勝手にこのシリーズのレーベルを「History」と書いたが、いつの間にやら「XXCM」(20CenturyMaestros)に変わっていて、会社名も「TIM conpany」ではなくて「membran international」になっております。ま、ディストリビュターが変更になったのか、はたまた経営者が変わったのか?やや値上がり気味なのは円の相場の関係ですか?チェリビダッケといえば、かつて「海賊盤(放送録音流用)の王者」的存在(なんせ正規録音はなかったからね)だったが、この10枚組は1946年〜50年迄のベルリン・フィル/ロンドン・フィルの歴史的録音を集めたもの。

 ワタシは彼の最晩年のBrucknerなど、ココロより心酔することもありました。でも、この10枚組を聴いていると「ワタシってチェリビダッケを好きじゃないかも?」・・・と。どれを聴いても、明快で、しっかりと細部まで味付けていて、勢いに任せて流したりしないスタイル、というのは本来ワタシの嗜好ピタリのはず。でも、どうも楽しめない。ノーミソが納得しても、ハートが納得せず!といった感じか・・・と、ここまで書いた数年放置原稿を発見し、久々に再聴しました。

 「海」だったら、正規ライセンス(と言っても息子の許諾だけれど)盤が存在するし、わざわざこんな太古怪しげ音源聴かんでも・・・といったところだけれど、戦後間もない、未だフルトヴェングラー時代のベルリン・フィルには興味もあります。ワタシにとって「海」とは、アンセルメのほんわか少々ピッチもエエ加減、薄っぺらで明るい響き、もしくは細部まで光が当てられた精緻明快極まりないブーレーズ、ということになりますね。

 ま、ワタシ個人の勝手な思い込み先入観などどーでもエエが、このチェリビダッケの演奏には好き嫌いが分かれると思います。スタイリッシュ、シンフォニック、細部まで入念なる(かなり濃いめな)味付けとアンサンブルの徹底、粘着質で重い旋律の色付けであって、テンポ設定ともかく晩年の”微速前進”となんら変わらない。大見得もあって、第1楽章ラスト辺りでは指揮者(馴染みの)の「喝!」も聴かれます。最終楽章ラストの壮絶なるアッチェランドは若さ故、でしょうかね。

 こんな時代の録音だから明快なハズもないが、オケの質感(色彩的であるような・・・ないような・・・?)とか、厚み奥行きはちゃんと理解できました。でもさ、この「海」はどんよりうねっているような、それも漆黒の闇を航行するような、かつてない異様な印象を受けました。ベルリン・フィルは上手いですよ。もちろんカラヤン時代の甘美なサウンドではないにせよ、入念且つ流麗スタイリッシュなテイストに、後年のカラヤンを連想しないでもない。

 「遊戯」だって、これほど細部まで描き込んで(かつてのブーレーズのようなすべての楽譜が白日の下に元に曝される・・・というふうでもない)、徹底して味付けされ、ある意味わかりやすい演奏として完成しております。一聴!ああチェリビダッケだ、とわかる世界に敬意を払う準備はあります。「海」ほど馴染みの作品じゃないから、ずっと素直に楽しめました。

 Busoniのヴァイオリン協奏曲ニ長調(1896/7年)ねぇ・・・聴いたことあったっけ?他にCD持ってましたっけ・・・(ないはずだけれど)。たしか戦後のフルトヴェングラー時代のコンマスを務めたのがジークフリート・ボリスでして、録音の問題か少々粗々しい音色、風呂場でソロを執っている感じか。(それとも人工的なステレオ・プレゼンスを無理矢理付けた副作用か)残念ながら”美音”には聞こえず。

 作品的には初期のせいかわかりやすく、浪漫的な旋律に溢れております。ま、いつもながらの感想だけれど”爛熟しすぎたBrahms ”といったところ。第1楽章明るい旋律なのに、どことなく不安げで、軽快とは言い難い作品なのか、演奏のせいなのか?ここでもベルリン・フィルはカッコ良く鳴りまくっておりますね。第2楽章は、暗い奥底から、やがて極上に美しいソロが立ち上がって懐かしい。切ない。そして雄弁。終楽章は躍動する旋律がカッコ良く爆発するが、楽しいんだか、悲しいんだか、怒っているんだか、ようわからん風景でした。

 チェリビダッケは協奏曲は上手みたいだけれど、もしかしたらコンマスだから、なのか。けっこう楽しめる作品であり、25分ほど手頃サイズの名曲だと思うが、最近の録音はありますか?あまり人気はないみたいですね。新しい、状態のよろしいもので一度聴いてみたいものです。

(2006年2月3日)

 

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written by wabisuke hayashi