吉野ケ里遺跡

天変地異連続と平穏な日々


 大型台風に大きな被害、そして北海道に大きな地震、そして月末にまた大型台風再来、って、いったい幾度繰り返すのか。昨夜も凄い風でした。そういえばその前に大阪でも地震がありましたっけ。どこかの被害が癒えぬうちに次の被害が発生する連続、幸いこの辺りは大きな被害はなくて、金沢に息子の(遅れ馳せ)結婚式+北海道の婆さんも呼んで、富山の美味いもんをたっぷり喰って体重増、日々の生活に苦しむ被災者には誠に申し訳ない。

 9月は祝日も多かったし、別途お休みもいただいて(再び申し訳なくも)ほとんど遊んでいたような一ヶ月でしたよ。いかんなぁ、こんなユルい日々に、体重は一年前より+2kg。睡眠不如意っぽい症状は続いて、ま、2ヶ月ほど苦しんだ左膝の微妙な痛みはほぼ癒えて、スポーツクラブは契約回数フルの14回ちゃんと通いましたよ。すっかり秋の風情になってもしっかり日々汗をかいて、心肺鍛えてますよ。体調は悪くはない。あとはな〜んもしていないなぁ、そこそこにユルいお仕事分担や取引先は、ここ数年自分が整理始末収束させて成果有、半引退の継続サラリーマンにはちょうどよろしいのでしょう。徐々に先が見えてきて、やや不安でもあります。

 日々ハードにお仕事されている方々には申し訳ないけど、その辺り、バランスが難しいもの。あまりヴェテランが出張っても若い人はやりにくですよ。日々好きな音楽を聴いて、ときどきちょっぴり酒を呑んで、なんの不満があるでしょうか・・・人生はそうカンタンにはいかぬもの。昨年春、継続雇用を選択せずにお仕事辞めた同世代は、今頃なにをしているのかな?別なところに上手いこと就職できたのか、それともなにもしていないのか。

 秋は深まって2018年もあと3ヶ月、一年が速いのは華麗なる加齢を重ね、自分の生きてきた時間対比率一年がどんどん低くなる計算だから当たり前。殺人猛暑もゴメンだけど、寒いのも嫌いでっせ。そろそろ上着を出さなくっちゃ。

 音楽には集中できない日々でした。恒例前月のヴェリ・ベスト。

TeldecSchubert 交響曲第9番ハ長調〜ニコラウス・アーノンクール/コンセルトヘボウ管弦楽団(1992年ライヴ)・・・古楽器の過激派!?Nikolaus Harnoncourt(1929ー2016)も鬼籍に入りました。1950年代より録音が存在して、やがてメジャーなモダーン楽器オーケストラにも指揮者として登場、これは当時FMにて拝聴した記憶も鮮明、おそらくは同じものか編集前の生演奏会の記録だったのでしょう。揺れ動くテンポが不自然、恣意的と感じて、彼(か)の優雅なコンセルトヘボウのサウンドが台なし!そんなガッカリな出会いより爾来25年ぶりの再会、聴手の感性も様変わりしておりました。

出会いはフルトヴェングラー(1951年)彼の残した音源中屈指の仕上がり+灼熱の推進力が刷り込み、やがて浪漫派交響曲一般が苦手となって作品そのものの拝聴機会が減りました。昨日のSchumannもそうだけど、リハビリを進めているところへ濃厚なこの演奏でっせ。第1楽章 「Andante - Allegro ma non troppo」冒頭悠揚迫らぬシンプルなホルンのソロから、妙にエッチな生暖かい風情に揺れ、落ち着かず腰が浮いたよう・・・に感じたのは往年の巨匠による重厚イメージ前提だったのですね。現在なら序奏はモダーンな表現として違和感ありません。主部に入ってからの厳格なリズム感も悪くないもの。(15:50)第2楽章「Andante con moto」はゆったり沈溺するような安寧の楽章・・・のはずが、速めのテンポに浮き立つようなリズム感、これに当時は違和感があったのでしょう。劇的なスタッカートを強調しためりはりスタイルも当時は革新的でした。第3主題も優雅そのもの、推進力を失わぬ美しいもの。(13:48)第3楽章「Scherzo. Allegro vivace」スケルツォ楽章はアーノンクールの真骨頂でしょう。ごりごりと劇的溌剌、3/4拍子による巨大な舞曲風イメージ、優雅を拒否して過激な14:06、前緩徐楽章より長いのはしつこい繰り返しによるもの。ここがキモ、とアーノンクールは考えたはず。

第4楽章「Finale. Allegro vivace」は元気よろしいフィナーレ。ここもやや速めのテンポなのに14:37、前楽章よりさらに時間が掛かるのは(しつこい)繰り返しのよるもの。推進力の徹底、付点のリズムと3連符リズムの強調と明確化、続くテンションと緊張感、これを聴いちゃうとヤワな穏健派演奏など物足りなくなる・・・実演では熱狂的な興奮が渦巻いたことでしょう。

Brilliant BRL94104/CD20Telemann ヴァイオリンとフルート、通奏低音のためのトリオ・ソナタ集 トリオ・ソナタ ニ長調 TWV42: d10/イ短調 TWV42: a1/ヘ長調 TWV42: f8/へ短調 TWV42: f2/イ短調 TWV42: a4/へ短調 TWV42: f1〜ファビオ・ビオンディ(v)/ロレンツォ・カヴァサンティ(rec)/トリプラ・コンコルディ(1997年ライヴ)・・・なんとなくBachより深みが足りない、明るい印象のあるTelemann(1681ー1767)は栄光の人生だったみたいですね。Handelは学生時代からの友人、大Bachとも親しく交友があったとこと。このトリオ・ソナタは絶品!生命(いのち)躍動する快活、陰影豊かな旋律、伊太利亜古楽器の名手Fabio Biondi(1961-)は期待通り、Lorenzo Cavasanti (1964-)は初耳だったかな?これも超絶技巧にライヴらしいノリノリ、ライヴとは思えぬ親密愉悦に充ちたなアンサンブルに驚愕いたしました。もともと独逸伊太利亜問わずバロック好き、ここ最近Bach以外の作品に集中できず悩んでいたところ、久々に爽快な気分であります。

DG483-5496Chabrier 狂詩曲「スペイン」(1986年)/Faure 「パヴァーヌ」(合唱付/1986年)/Mahler 「花の章」(1977年)〜小澤征爾/ボストン交響楽団・・・「スペイン」は初耳、「パヴァーヌ」はどうだっけ?「Blumine」は幾度聴いた馴染み、後年のMahler 交響曲第1番再録音では採用されなかったもの。もう30年以上前の記録、ボストン交響楽団在任はほとんど30年1973ー2002年でっせ、立派なもの。神経質なほど緻密繊細な響きに心奪われます。以前は迫力やスケール不足、ていねい過ぎて味がない、なんて、嗜好はがらりと変わってどれも好ましく個性を受け止めました。

RCO08005Webern 夏風のなかで〜リッカルド・シャイー(1989年10月12日)/Mozart ホルン協奏曲第4番変ホ長調 K495(ヤーコプ・スラフテル(hr)1988年10月16日)/Beethoven 交響曲第3番変ホ長調「英雄」〜ニコラウス・アーノンクール(1988年10月16日)〜コンセルトヘボウ管弦楽団・・・一部ちょろ聴き機会があって「コンセルトヘボウ管125周年記念ボックス(152CD)」って最強!現在馘首されたダニエレ・ガッティ後任選定中のオーケストラは多士済々のシェフやら客演の記録が残って、どれも素晴らしい。Riccardo Chailly(1953ー)は現在スカラ座の総監督、このオーケストラ在任は1988-2004年、後期浪漫の甘い旋律満載な「夏風のなかで」はたしかセッション録音があったはず、これは演奏会の流れだったのですね。後年の切り詰められ、寡黙かつ難解な作風に至る前の素晴らしい作品、そして心奪われる豊かなサウンド。そしてコンセルトヘボウに数多く意欲的な録音を残したNikolaus Harnoncourt(1929ー2016)によるMozart以降はコンセルトヘボウ首席(当時。現役かどうか不明)によるホルン協奏曲は朗々のびのびとして、これはオーケストラの個性の代表イメージ、先日不本意な印象を得たBeethovenだって、速いテンポ、充実濃密サウンドな「英雄」に驚くべき集中力、旧来の大柄な演奏スタイルに非ず、これだったらもっと聴いてみたいと思わせるもの。

NEOS30802Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」〜ダニエル・グロスマン/アンサンブル28(2003年) ・・・今月だけでワン・パターン「英雄」(ちょろ)言及幾度目か。Daniel Grossmann (1978-)って若い世代だけれど、初演時の編成に古楽器演奏、これが快速+テンション高い熱気はノリノリ。16:26ー11:11-5:51-10:48、第2楽章「Marcia funebre: Adagio assai」は最速とか、ま、速い遅いだけで音楽の価値はカンタンに決まりまへんで。音録りの関係か(ウィーン、エロイカ・ホールーロブコウィッツ・パレス内)小編成古楽器にありがちの薄い響きを感じさせぬもの。どうしても管楽器が前面に出てバランスがよろしくなくなりがちタッシェン・フィルではそのことが気になった) ここではそんな違和感は比較的少ないもの。編成の大きなモダーン楽器による豊かな響きは現代の会場(大人数の聴衆)に相応しいけれど、もともと原点はこんな響きだったのか、納得できる成果はこんな粗野な勢いがあってこそでしょう。

(2018年10月1日)

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written by wabisuke hayashi