2004年7月の部屋の風景/モニター上のCDはほぼ全部処分済

贅沢な店仕舞い


   オークションへの出品を止めることにしました。

 理由は、とにかく”売れない”ということ。世間には未だマニアが多くて、貴重なる音源は入札があるみたいだけれど、ワタシみたいな”安物ばかり”CDコレクターの所有物なんて早晩、誰も見向かれなくなる運命にあったのでしょう。出品での評価476(人)であり、けっこう常連さんはいたから1,500枚〜ならぬ「セット」程処分したはず。ちゃんと数えていないが、4年で3,000枚は越えているんじゃないか。平均単価は@300マイナスαほど、もっと安く100円程で出したこともあったけど、妙に値が釣り上がったものもありましたから。ざっと80万ほど、おそらく諸経費5万円程は使っていて、残った泡銭でCD購入したのは40万程か、残りは酒と贅肉となって消えた・・・かも。ああ、そういえばDVDプレーヤー(CDプレーヤーとして)やディジタル・アンプも買いましたね。でもせいぜい2万円くらいだ。

 収納棚(大小計4本)はずいぶんスッキリとしました。小さいのを一本廃棄して、できればもう一本減らしたかったんだけれど、ここで力尽きました。じつは1990年頃CD時代に入ってから即、既に”処分癖”があって、BOOK・OFFにはおそらく数百枚在庫補充したと思います(その数倍購入しているが)。オークションは(コツをつかんだら)オモロいほどに売れ、諸実務作業もどんどん上達していったものです。返品されたのは3件、1件は不当な言いがかり、残りはワタシの点検ミス品質不良だったので仕方がありません。送付ミスは3回?いずれもお詫びして切手送付先袋を送付して、厚かましく転送お願いしました。ラッキーでしたよ、エエ人ばかり。未入金は一回のみ、それも後でちゃんと支払って下さいました。

 処分して後悔したCDは一度もありません。セット物に偶然含まれていたもの以外、再購入もありません。忘れっぽいほうだけれど、自分が売り飛ばした音源はちゃんと覚えておりますよ。驚く程値が釣り上がったCDもあるけれど、基本最低価格一人だけで入札、というのが望ましい姿として考えておりました。思い出深いものは駅売海賊盤〜@100とかせいぜい@200でも、ちゃんと引き取り手がいて、音楽を愉しんで下さる人がいらっしゃった、ということ。わりと最近だけれど、アルトゥール・ルービンシュタインのChopin 駅売海賊盤ばかり、6枚程(ケース割+スリーブ紛失難有)250円(送料別)で出品したら1,000円にて落札され、送ったら「ショックでした、返品はしませんが」と連絡が・・・世の中、相場っちゅうものがありまっせ(250円で出したんだよ)。言いがかりだ。20年前購入原価は6,000円だっんですよ、もう関係ないが。

 でも、なんか悪いことしたなといった気分有。じつは売れることは想定していなくて、売れたら11枚組正規盤購入しようと思っていたんです。1,000円泡銭入ったでしょ?即、亜米利加西海岸より2,476円(すべて経費込)にて輸入済。オークション処分ではこんなパターンが多かった気がしますね。悪徳商売みたいなもんや、いつまでも続きまへんで。

 時代はネット・ダウンロード時代へ。一部のマニアは高級オーディオを愉しんでいらっしゃるだろうが、ワタシはどちらにも参加できない中途半端中年。せいぜい棚中に眠っているCDを大切にじわじわ聴いていきましょう。世知辛い世の中、お仕事ゆるゆるなワタシでもけっこう辛い毎日ですもん。半分ジョーダンでも不本意なる説教ばかり。本日、贅沢なる店仕舞いをいたしました。

 毎度の”先月ヴェリ・ベスト”

●Debussy 牧神の午後への前奏曲〜イーゴリ・マルケヴィッチ/フィルハーモニア管弦楽団(1954年)/夜想曲〜ピエール・モントゥー/ボストン交響楽団/バークシャー音楽祭女声合唱団(1955年ステレオ)・・・前者は初耳もちろんだけれど、そもそもこんな録音があったのか?(EMI)状態。ベルグラード・フィルとのステレオ録音(←既に棚中に存在しない)は何故か出回っていたけれど、こちらオーケストラの技量は桁違い、明晰だけれど雰囲気のみで聴かせる演奏ではない。モノラルながら音質も良好。

ピエール・モントゥーの「夜想曲」は1961年英DECCA録音(ロンドン交響楽団)が有名だけれど、それには「シレーヌ」が含まれません。前年の「海」(こちらはモノラル)と並んで意外と知られていない、というか、入手しにくかった音源であって、リズム感の良さ、明快だけれど粋な雰囲気、オーケストラの上手さ〜三拍子揃った演奏であります。

Mahler 交響曲第3番ニ短調〜エドゥアルド・ファン・ベイヌム/コンセルトヘボウ管弦楽団/モーリン・フォレスター(a)/アムステルダム・トーンクンスト合唱団/ツァングルスト少年合唱団(1957年ライヴ)・・・モノラル・ライヴ。オーケストラは驚異的にキラキラ上手い!トランペットの朗々とした響きは涙モン、ホルンの雄弁さ、木管の柔らかく確かな存在感・・・爽快なスケールを誇って、おそらくはヴェリ・ベストの感銘有。

大鐘稔彦外科医と『盲腸』」(岩波新書)・・・「孤高のメス」映画化なりましたね。見に行こうかな(見ました)。おそらくはここ数年読んだ医療物中、最高の知的興味を以て集中した一冊。内容も凄いが、これが1992年の著作であること、つまり20年で現在外科医は世代交代し、医療界は荒廃し、おそらくはとんでもないことになっている、と類推できることです。日本人は異常に、あり得ぬほど「盲腸炎」(こんな病は存在しない)の手術が多い〜つまり、誤診が蔓延しているということ。もう”切らないこと”が医療界の常識になったんでしょうか。医術だけではなく、算術も手伝ってこんなことになったらしい。診立ての間違い、低い技術(それでも英語で論文書けばエラくなるのは過去のこと?)、開業医から患者を紹介される大病院ではその診断を否定できない(患者を紹介してもらえなくなるから)・・・

「エホバの証人」信者への「無輸血手術」の件も、外科医としての矜持を感じさせます。バブルの残滓があった時代でこうなのに、”失われた20年”を経、現代ではどうなったのか〜改訂版乃至続編が欲しいところです。(出ているのかな?)

●R.Strauss 交響詩「ドン・キホーテ」作品35〜ジャクリーヌ・デュ・プレ(vc)/エイドリアン・ボウルト/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1968年)・・・彼女の逝去後発見されたセッション録音だったっけ?一発録りとか、別テイクはないとされるが、録音日程クレジットでは4月6,7-9日の三日間とされます。ワタシはこの作品を”ややつかみどころがない”と感じるが、この演奏は盤石の貫禄(これはボウルトの横綱相撲)+デュ・プレのヴィヴィッドで陰影深いチェロが素晴らしい成果を上げております。お蔵入りするような、ヤワな完成度じゃありませんよ。音質もよろしい。

宝塚市交響楽団 第47回定期演奏会(尼崎市アルカイックホール)。「田園」に目覚めました。

(2010年7月1日)


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written by wabisuke hayashi