2007年2月湯布院

昔ながら旧態のまま


 さすがに春めいて、寒さの山は越えたようです。夏の猛暑に負け、冬の冷たさに怯える華麗なる加齢、後期中年街道まっしぐらな日々、体調がずっと重いのはオトコの更年期障害か、睡眠不如意症状も進んで、耳鳴りは「秋の虫」→「夏の蝉」になりつつあります。もう数ヶ月、ドライ・アイ症状にも悩まされております。

 2年前尼崎から長久手に転居した時には電話回線+ネット環境の高さに驚いたものです。もう固定電話は要らぬけれど、ネット環境は必須、電話機に「2015年2月解約」と貼り紙誓って約2年経過、とうとう実行に移しました。時代はパソコン→スマホ、タブレットの時代に遷って、こちらガラケー(業務用支給20年ほど)さえ苦手とする旧態人間、だいたいスマホは維持費高すぎ!憤懣やるかたない怒りブツクサ云っているうちに、時代は(予想通り願い通り)”価格破壊”に向かっているようです。

 今度の接続はポケットWifi、これで充分。正月にはAspireOne A150/Atom1.6/1gb7年もの熟成ネットブックAspireOne(Atom/1gb/LinuxBean)+ポケットWifiにて北海道に帰省し、これに充分実用な手応えを得ました。少々時代遅れ中古市場値も付かぬドスタブ(Nexsus7改/Wifi接続のみ)にSMARTalk入れてみたら”なんちゃってスマホ”出来上がりました(スマートじゃないけど)。基本料金無料+通話料(まずまず安い)のみ、常時接続していないし、滅多に起動しないから”受け電”にはならんけど、便利なアプリできたものですね。昨日、北海道の両親に「固定電話廃止した」旨、それで電話してみたらちゃんと通じて会話もできます。

 CD媒体での拝聴は減ってきて、音楽はデータ入手、パソコンからオーディオに電波を飛ばすことが増えました。堕落(贅沢病)進行しつつある傲慢リスナー(=ワシ)は音質を気にするようになって、ここ5-6年続けてきた自主CDも100枚単位で整理しております。(捨てられないので当面仕分けしてある)

 時代はどんどん移ろって、な〜んも変わらんのは【♪ KechiKechi Classics ♪】だけでっせ、もう16−7年間、昔ながら旧態のまま。スマホでもタブレットでもいいや、ちゃんと見てくださる人はいるのでしょうか。ま、自分のため勝手な更新、ノーミソ鍛錬のため、ほんの些細な日々生活のリズムでっせ。

 先月の素敵な音楽など・・・ヴェリ・ベスト。

DG 1799202Vivaldi/Recomposed by Max Richter「四季」〜マックス・リヒター(キーボード)/ダニエル・ホープ(v)/アントン・デ・リッダー/ベルリン・コンツェルトハウス室内管弦楽団(2012年)・・・これって昔で云うクロスオーバー(?!)著名過ぎて食傷気味な「四季」の素材を使って、エッセンスを執拗に繰り返して変容、幻想的に興奮を高める、といった趣向です。耳当たりの良い、リズミカルな”ポップ・クラシック”に仕上がって、ダニエル・ホープの超絶技巧が際立ちます。「春」のみ4楽章になっているけれど、残りは3楽章、だれでも知っている旋律(の一部)が断片的に登場して文句なくオシャレ!愉しい!これって一発もので消えぬことを祈る、演奏会の日常レパトーリーになってくれんか。

DG 429042-2 10枚組 購入価格失念壱万円以上したと思う。1990年代前半のこと。Mahler 交響曲第9番ニ長調〜ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(1967年)・・・1990年代初頭、とうとう泣く泣くLPを諦めて最初にCD入手した全集(これが一番安かった。壱万円以上でも!)、爾来これがリファレンス、種々多様に新しい音源が出現してもこれが原点、刷り込みです。世間のリスナーは概ね高評価だけれど、内容の捉え方は千差万別、音楽は嗜好品だから当たり前。音質問題さえ、ワタシはカラヤンよりこちらのほうが自然、聴きやすいと受け止めました(最新ピカピカの録音に比べられぬが)。もったいつけた貫禄とは縁遠く、やや速めのテンポ設定、大仰にテンポは揺れず、素朴かつ荒削り、強靭な推進力誇って暖かい、ヴィヴィッドに表情豊かであります。オーケストラが弱いとか後年の成熟に及ばぬ、といったコメントには同意できません。響きに充分厚みがあり、金管のやや乱れは”そのように吹いている”と理解できるし、迫力やら臨場感をリアルに生み出して、美しく表面を整えることがすべての価値に非ず。

久々に手応えある”第九”に出会った!そんな感じか。

これがオリジナルデザインMahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ジェームズ・レヴァイン/フィラデルフィア管弦楽団(1977年)・・・長年のハードな活動+太り過ぎか?体調を崩しているらしいレヴァインの若い頃、ほぼ40年前の記録。未だオーマンディの時代でっせ。アナログ末期の優秀録音、輝かしい華やかなオーケストラの効果抜群。Mahler と同時の空気を吸った人々、Mahler 普及の先駆者として意気込んでいた世代とも異なって、ややゆったりめのテンポは悠々朗々と歌ってのびのび。こだわりやら苦悩やら、そんなもの微塵も感じさせぬ”明朗さ”有。素直にオーケストラの威力前面に発揮させ、耳に快い圧巻の迫力も爽快そのもの。

Testament JSBT8428R.Strauss アルプス交響曲〜ルドルフ・ケンペ/ロイヤル・フィル(1966年)・・・ドレスデンとの再録音(1971年)含め、かつてのコメントはあっさりとしておりました。(写真は後に発売されたTestament版)往年のRCA録音は優秀であって、それこそSACD化するに相応しいものと思われます。ビーチャムから引き継いだオーケストラとの信頼関係を感じさせ、英国のオーケストラ中ピカイチの粗野な迫力+キレ、爽快なスケールを誇ります(アンサンブルは粗野に非ず)。オーソドックス、名曲を名曲と実感させてくださる完成度。ホルンの深み、最高。

Berg ヴァイオリン協奏曲〜レオニード・コーガン(v)/ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエット国立放送交響楽団(1966年)・・・露西亜初演のライヴとのこと。オン・マイク、肌理の粗い音質だけど臨場感抜群、低音充分、妖しくも難解、天国のように美しい作品、尋常一様に非ざるアツい緊張感漲(みなぎ)って、聴き手は息を詰めて集中するしかない。既に前世紀となった”現代音楽”は、安易に馴染み”わかりやすい旋律”を拒否して、底知れぬ感動を呼び覚まします。露西亜初演のメンバーは”新しい音楽”に対する真摯な姿勢を感じさせ、技術云々を超えた濃密風情伝わりました。嗚呼、この作品大好きだった、出会いはヨゼフ・スークだっけ?クレーメルのCDは棚中になかったっけ・・・

Mozart ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310/幻想曲ハ短調K.396/ロンド イ短調K.511/デュポールのメヌエットの主題による変奏曲 ニ長調K.573〜アルフレッド・ブレンデル(p)(1968年)・・・こちらVANGUARD録音、音質はぐっと改善れました。LP時代からお気に入りでした。て処分→ボックスへ。無垢な白磁のようにピュア、深淵、鈍く輝いてしっとり淡々と落ち着いた風情有。ロンド イ短調K.511の底知れぬ哀しみに、いつもココロ打たれて言葉もなし。

Grieg ピアノ協奏曲イ短調/Rachmaninov パガニーニの主題による変奏曲〜フィリップ・アントルモン(p)/ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(1958年)・・・80歳記念ボックスが出たアントルモン24歳の記録、これがCBSへの最初の録音かな?音質は現役、爽やかな切れ味と明るさに充ちた青春の記録であります。リヒテルも凄いと思いますよ、鬼神の如き集中力、重心の低さ、底知れぬ深淵の暗闇・・・こちらキラキラ憧憬と希望に溢れてなんと清々しい技巧のキレ、オーマンディのオーケストラが文句なく輝かしくて、これは稀有な魅力と感じます。

これはETERNA。オリジナルのデザインR.Strauss 歌劇「サロメ」〜オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン/クリステル・ゴルツ((s)サロメ)/ヘルムート・メルヒャート((t)ヘロデ)/シウ・エリクスドッター((s)ヘロディアス)/エルンスト・グートシュタイン((b)ヨハナーン)他(1963年)・・・強靭なヒロイン(女声ソロ)+華やか美しい大管弦楽団って、Wagnerとテイスト似ている、ド・シロウトはそんな風に愉しみました。かつて(安かったから、という安易な理由から)ミトロプーロス(1955年)を聴いてギブ・アップ、こちら1963年?驚くほど鮮明な音質、ドレスデンの涼やかな金管の響き、熟達した歌い手に感銘深くCD2枚分、全曲しっかり堪能いたしましたよ(渋滞車中)。あらすじはこちら参照お願い、陰惨かつ官能的な筋書きでんな。後半に出現する「7つのヴェールの踊り」画像イメージもなかなかエッチじゃないの。初演を担当したオーケストラの矜持、スウィトナーは整ったアンサンブルに強烈なテンションも感じさせて最高っす。クリステル・ゴルツ(1912-2008)は独逸往年の名ドラマティック・ソプラノ、円熟51歳の声はヴィヴラートの振幅が大きく艶っぽい、惚れ惚れするほど。男声にも人を得て、これは価値ある録音と確信いたしました。(写真は2005年に出たもの。ワタシのは80歳記念ボックスより

(2015年3月1日)


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written by wabisuke hayashi