2004年ひなまつり/山口にて

さらば尼崎。さらば大阪。さらば金沢


 8年過ごした岡山から転居したのは6年前、一年間四苦八苦して、あとの5年は自在に、好き勝手なお仕事満喫しておりました。その間、女房殿の親父、姉が亡くなって、それなり激動の日々でしたね。さすがに50歳代後半に突入してもう異動はなし、馴染んだ大阪にてサラリーマン生活終えるのだろうな、そんなことをぼんやり考えていたら、青天の霹靂・名古屋転勤通告(居住は長久手市)。大学時代の親しい先輩はいるけれど、いずれ初体験文化との出会いとなります。ありがたいなぁ、高い経費掛けて転勤させて下さって、ちゃんとお仕事の場を与えて下さって。一年間はご当地の文化風習に馴染むべく、おとなしくしていましょう。女房殿は土地も知人もまったく不如意ですし、なんといっても母親のことが心配でしょう。あと2週間にて転居、電話とかネットとか銀行口座とか、そして身辺整理、お仕事それなり整理整頓して引き継ぎとか、慌ただしい毎日です。

 居住は(妙な事件でいっそう評判落とした)尼崎、大阪の職場迄ドアツードアで46分、半分は歩きという健康的な通勤。お仕事の主戦場は金沢でした。5年でのべ150回ほどの出張になりますか、一生分美味いモン喰った!という手応えたっぷり有。異動辞令公式発表後、既に金沢お別れ会3回完了(名目いろいろ)、残り一回はこちらでのお仕事最終日、出張したまま現地から印刷屋に入稿して職場に戻りません。なんか劇的やなぁ、カッコ良いなぁ、と勝手に考えております。

 お仕事にはヘンな(荒)ワザ、妙な人脈、かなりあって引き継ぎにくいけれど、不正な、ヤバい案件残皆無、それは自信ありまっせ。キレいなもんです。岡山時代お別れ会はのべ13回?(担当エリアが広かったため)転居前日迄継続。今回はあと3回くらいかな?おとなしいものですよ。岡山→尼崎転居時、モウレツに荷物整理して、ごっそり捨てました。今回はもっとやりまっせ。例えばCD棚は既に大中4→3本迄縮小、これを更に→大2迄縮小させます。収まると思うんだけどなぁ、溢れた分はオークションにて処分しましょう。大型日本画集は悩んでいるところ。いずれ、保存分書籍もかなり諦めて処分します。女房殿は嫁入り時の家具セット中、いくつか捨てる決意みたい。電気製品の整理・交換も必要でしょう。

 昨日、引越し業者さんが見積もりに来たらしいけれど、いまや「荷造り」は標準サービスなんですね。大切なものとか下着とか、それ以外は荷物を詰めてくださるそう。便利な時代やなぁ。先ほどケーブルテレビに電話して、ネットの解約を通告いたしました。次はどうするか、決めておりません。固定電話は必要ないのだけれど、ネットのことを考えるとそうもいかん・・・のが悩ましいところ。転居先は完全に車社会みたい。ま、ここより駐車場は安いようだし、実際に生活して善後策を考えます。

 いずれ、妙にさっぱりして、感慨やら感傷はないんです。お仕事もちょうど変化の潮時だったな。

 先月のヴェリ・ベスト。

Saint-Sae"ns 交響詩「死の舞踏」〜シャルル・ミュンシュ/コンセルトヘボウ管弦楽団(1948年)/Ravel 組曲「マ・メール・ロワ」〜フェルディナンド・プレヴィターリ/ロンドン交響楽団(1949年)/クープランの墓〜ジャン・マルティノン/ロンドン・フィル(1947年)/Stravinsky バレエ音楽「ペトルーシュカ」(全曲)〜ユージン・グーセンス/ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団(1923/24年)・・・とくにミュンシュの1948年録音の鮮明さは驚くべき水準、他の音源も資料的価値を超え、各々の作品価値演奏個性を充分伝えております。ちょうど、Stravinskyの自演(1940年の方)を連想させる時代のスリリングな緊迫さえ感じさせます。ヴィヴィッドなミュンシュ、明るく華やかなプレヴィターリ、やや早めのテンポでさらさらとすすめるマルティノン。グーセンスのは時代的にノイズだらけ、低音も弱いけれど、想像以上の良好な分離、淡々と乾いて素っ気ない表現がソソります。(テンポかなり速いのはSP収録都合?)初録音か、おそらくは全曲、もちろん4管編成オリジナル。作品の前衛?ユーモラス?メルヘン?なテイストは見事に浮き上がりました。

EMI 5007212Mahler 交響曲第9番二長調〜サイモン・ラトル/ウィーン・フィル(1993年ライヴ)・・・凄いよね、ウィーン・フィル初登場でこの作品、しかも対向配置導入で揉めたとの噂。Mahler は大好きだけれど、第9番は難物でしょう。ワタシの嗜好は煩悩解脱しきったクレンペラーとかブーレーズ辺り・・・2年ほど前の拝聴印象とは変わって、38歳の若手らしいテンポの揺れ、勢いと迫力、老舗一流オーケストラのコントロールはみごとであります。音質はおそらく、これが会場の様子を率直に捉えたものなのでしょう。かつての不自然に艶々なマルチ・マイクとは異なる、空気空間、奥行き広がり、そして低音が響きます。根性入って時にやや走るのは当たり前、初々しい緊張感に充ちて、馴染みの長大なる旋律を鮮度たっぷりに堪能させて下さいました。ウィーン・フィルは当然美しいけれど、ヤワな響きに非ず、アンサンブルの表面のみ整えたものではありません。各パートの色が突出することもない。

MUSIC MASTERS JAZZ  67195Stravinsky Violin Concerto in D(Krzysztov Smietana(v))/Ebony Concerto(Michael Whight(cl))/Tango/Movements,for piano & orchestra(Christopher Oldfather(p))/Poems of Balmont , for voice & chamber orchestra/Japanese Lyrics (Susan Narucki)/Russian Songs No. 4, Sektanskaya(Rosalind Rees, Elizabeth MONN, flute, James Barnes, cimbalom)/The Flood, musical play for 3 vocal soloists, narrator,caller, speakers, chorus & orchestra (Ian Caddy ,Robert Tear, Robert Coxon, Philippa Dames-Longworth, Andrew Greenan, Andrew Slater)〜ロバート・クラフト/フィルハーモニア管弦楽団(1998年?MUSIC MASTERS JAZZ 67195)・・・一連のロバート・クラフト録音はNAXOSにて再発売され、ひと通り聴いていたはずなのに、これは初耳。NAXOSから出ていないですよね。ヴァイオリン協奏曲は別途ジェニファー・フラウチ(2006年)のがありました。1998年とはリリース年であって、録音はそれより前でしょう。マイケル・ホワイト(cl)ってフィルハーモニア管弦楽団のトップ?調べてみるとジャズ方面にも同名の著名演奏家(おなじ人でしょうか。来日しております)有。Krzysztov Smietana(v)は初耳(読み方さえわからぬ)ポーランドのヴァイオリニスト。

もちろん壮絶な技巧を要求される作品に間違いなし、しかし、例えば二世代くらい前のギトリスと比べ、ずいぶんとすっきりクールさを感じます。エボニー・コンチェルトはお気に入り作品のジャズ・テイスト、ベニー・グッドマン辺り、粋な演奏が素敵だけれど、こちらけっこうゴージャスに厚い響きは一味違うもの。ムーヴメンツは誰が聴いても硬派なドデカフォニー作品であって、これも硬派強靭なるリヒテルにて出会って以来のお気に入り。オールドファーザーって、ロバート・クラフトお気に入りの現代もの得意なピアニストでしょう。これも細身な構えたところのない冷静緻密な演奏でした。

他の声楽作品はSusan Narucki(熟年美女)が柔らかいソプラノ、The Flood(洪水)って、自演ボックスにて聴いていたはずなのに、記憶なし。いずれ、鮮明な音質、かっちりとしたアンサンブルを堪能いたしました。

EMI 50999 6 089852 4 /16枚組3,962円Mahler 交響曲第2番ハ短調「復活」〜オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団/合唱団/エリザベート・シュヴァルツコップ(s)/ヒルデ・レッスル=マイダン(ms)(1961/62年)・・・言わずと知れた泣く子も黙る鉄板評価演奏也。3年前2010年入手した16枚組にて入手以来、数度馴染めずぴん!とこなかったもの。シモーネ・ヤングによるクリアな演奏に続き、けっこうボリューム上げて聴きました。こちらもCD一枚に収まるからテンポ設定速め、思い入れたっぷりの揺れとか詠嘆、叙情とかタメ、んなもの一切抜き、ストレート系表現はドライそのもの。しかし、フレージングに入魂の力感がこもっていて、その説得力たるや尋常に非ず。つまり最初っから最後迄テンション持続して、最終楽章の声楽の充実はそれに文句ない感銘を結論づけます。往年の名女声ソロ二人は(声楽ド・シロウトが云々しちゃいけんが)ややスタイルの旧さを感じます。

いついつものエエ加減なる聴き手の感想は揺れ動きます。芸術表現に絶対などない、ましてや極東市井のド・シロウト音楽愛好家はなんとか音楽の美点を探そうと必死なんです。

NAXOS 8.557505Stravinsky パストラール/組曲「兵士の物語」/クラリネットのための3つの小品/ピカソのために/おどけた歌(プリバウトキ)/猫の子守歌/ブルレスケ「きつね」/バリモントによる2つの詩/日本の3つの抒情詩/ロシア風スケルツォ(オリジナル・ジャズ・バンド版)/ヴォルガの舟歌(管楽器用編曲)〜ロバート・クラフト/インストゥルメンタル・アンサンブル/セント・ルークス管弦楽団/フィルハーモニア管弦楽団/ロルフ・シュルテ(v)/ジョン・フィーニー(cb)/フランク・モレリ(fg)/ウィリアム・ブラウント(cl)/クリス・ゲッカー(tp)/マイケル・パウエル(tb)/ゴードン・ゴットリーブ(打楽器)/チャールズ・ナイディック(cl)/キャサリン・チーシンスキ(ms)/スーザン・ナルッキ(s)(1991-1999、2001,2005)・・・「兵士の物語」は語りの入らぬ器楽版(いままで聴いたウチ、最高の鮮烈さ)。こういった渇いて淡々とした情感は嗜好のツボでして、どれも緻密に練り上げられたアンサンブルの水準が凄い(録音も極上)。チャールズ・ナイディック(cl)による「3つの小品」は仰け反るような超絶技巧ですよ。怪しげな女声も最高。ま、選曲が選曲だし、売れんでしょうね、こんなCD(MusicMastersと Koch Internationalレーベル再編集)。(2010年に聴いておりました)

(2013年3月1日)


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written by wabisuke hayashi