Stravinsky 自作自演集22枚組より室内楽他(12枚目)Stravinsky
ジャズ・バンドのための前奏曲 コロムビア・ジャズ・アンサンブル/コロムビア室内アンサンブル(1965年録音)/*北西ドイツ放送交響楽団 SONY 88697103112/CD12 22枚組6,228円 Stravinskyの自作自演ステレオ録音はLP時代高嶺の花、CD時代になってぼちぼち集めていたけれど2007年CD22枚組ボックス@300換算で出現!ダブり在庫を処分しつつ即入手しました。後悔はしていないが、売れなかったのでしょう、未だ現役、しかも購入時の半額、amazonでは2,000円台にて見掛けたこともありました。ちゃんと聴けば、価格の多寡は問題に非ず。 この一枚は作曲者指揮、というより監修なのでしょう。著名なる管弦楽作品ももちろんお気に入り(上記と同じ文言有)だけれど、切り詰めた編成による小品はまさにワタシのツボ、乾いた情感とシニカルなユーモアに溢れて、巨大濃厚浪漫はどーも肌に合わぬと感じます。(WagnerMahler Bruckner初期新ウィーン楽派は別耳)音質良好(ラスト別にして)。ま、作風変遷はぼんやり認識しているが、音楽的基礎知識素養なし、演奏家の腕利きを堪能いたしました。但し参加者クレジットは不親切。 ジャズ・バンドのための前奏曲(1936〜37年)はわずか1:26の粋でエキゾチックなサウンド、ドラムとサキソフォーンが”それ”らしい、大衆的な雰囲気。12の楽器のためのコンチェルティーノ(1952)は「1920年に作曲された弦楽四重奏のための作品を編曲した」との情報、原曲は拝聴の機会がありません。快活な弦のリズムに乗って、管楽器がユーモラスに対話して、躍動疾走します。もの凄くわかりやすい、クリアな響きは6:20秒。新古典派?風か。 管楽八重奏曲(1922〜23/1923初演/1952改訂)も同様、わかりやすいユーモラスなテイスト。3楽章計14分ほど、第1楽章「シンフォニア」は素っ頓狂な行進曲風、第2楽章「主題と変奏」って、ド・シロウトには俄にその変遷は理解できぬ、変幻自在多彩な旋律リズム続きます。快速パッセージは奏者の腕利きを実感可能。とくにファゴットか。第3楽章「フィナーレ」は情感を排した淡々たる(カッコ良い)歩みが聴かれました。脳髄奥では遠く優雅なMozart のセレナーデ第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」が木霊します・・・ 11の楽器のためのラグタイム(1918年)は、これだけ、とくにリアルな残響奥行きに充ちて、演奏もノリノリ。想像より硬質なツィンバロンがアクセント。これは馴染みの「兵士の物語」を連想させる、切り詰めた編成(打楽器のリズムが全体印象支配)が凄い緊張感であり、妙にシニカル+ユーモラス(4:36)。「タンゴ」(1941年/1953年版)にはド・シロウトは想像するところの「タンゴ」(ピアソラ風)に非ず、物憂い雰囲気のみ残って、ギターなどセレナーデ風の編成が入りました。(4:03) 七重奏曲(1952〜53年)は美しいバロック風旋律が絡み合い、これもエチゾチックな響き、わかりやすいフーガが続きます。ここのキモはピアノかな(演奏者クレジットなし)。30年前の八重奏曲とは異なって、もうユーモラスなどとは言えぬ、荘厳なスケールさえ感じさせます。第2楽章「パッサカーリア」は暗鬱であり、第3楽章「ジーグ」ってほとんどSHO"NBergに接近している手応えありました。計12分ほど。「パストラール(田園曲)」(1907年/1933年編曲)は、ピアノ伴奏にて馴染みの牧歌的な旋律に管楽器が色付けして愉しい。「ペトルーシュカ」みたい。 エボニー・コンチェルト(1945年)はかなり以前から聴いていて、馴染みの演奏です。ま、ジャズなんだろうな、少なくともリズム、サウンドは。途中それらしいトランペット・ソロも登場、でもね。あきらかに前衛的な作風に充ちて、 ちょっと人を喰ったような、ユーモラスで軽快な、インチキ・ジャズみたいで大好きです。旋律があってないような、ジャズのエッセンスだけ上辺に塗って換骨奪胎したような、ヘンな作品とは、かなり以前拝聴時の感想です。その通り。グッドマン先頭に滅茶苦茶上手い! 管楽器のサンフォニー(1920年/1947年改定)のみこのCD収録中印象が異なって、かなり大掛かりな編成。重苦しい雰囲気、これだけちょっと古い音源(音質は悪くはない)でして、北西ドイツ放響(現在北ドイツ放響)は神妙に、ていねいに怪しげな作品を演奏しておりました。 (2012年9月17日)
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