Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
(レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィル)


CBS Great Performances  MYK37221 Stravinsky

バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)1957年録音
バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)1969年録音

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

CBS Great Performances MYK37221

 バーンスタインのStravinskyはDG(イスラエル・フィル)との再録音含め、あまり話題になりません。CBS(SONY)時代、DG時代、いずれもピエール・ブーレーズという圧巻のスペシャリストが売れていたからでしょうか。バーンスタインって、作曲家だったし原典主義者のような気もするんだけれど、なぜか「火の鳥」は全曲を録音していないし、「ペトルーシュカ」だって新旧とも1947年版〜師匠筋のミトロプーロスは1911年版で録音しておりました(1951年ニューヨーク・フィル)。昔の記事にあるように、ワタシの出会い(小学校5年生)は、このバーンスタインの「火の鳥」(17cmLP)故、別種の思い入れがあるんです。子供の刷り込みは一生モンでして、Stravinsky好きの原点はここに有。下の寄せ集めCDは処分済。

 1957年の「火の鳥」はオン・マイクでぎらぎらした音質(かなり鮮明リアル)であり、演奏もそんな熱気に溢れました。粗野で前のめり、しっとり優雅に〜といった方向ではなく、細部迄情熱と入魂を滾(たぎ)らせて、表面を整えることに執着しない・・・オケの響きは洗練されているとは言い難いが、金管+打楽器の大爆発は聴き応え、馬力もたっぷりあります。「魔王カスチェイの凶悪な踊り」のエネルギッシュな情熱の発露、瞑想的な「子守歌」を経、「終曲」はタメにタメた抑制が一気に放出される・・・

 この時点、バーンスタイン39歳。若いなぁ。

 1969年はニューヨーク・フィルハーモニック常任指揮者ラストの年。既に欧州での評価も高まって、最晩年の成熟の入口であります。音質もしっとり(少々ぼんやり?)、自然な奥行きを感じるし、アンサンブルも12年前に比べるとずいぶんと整理された印象有。しかし、粗野ではなくなったが、情熱と入魂、前のめりの姿勢は健在なんじゃないか。「謝肉祭の市」から速いテンポでぐいぐいと進めて、溌剌としたエネルギーに不足はない。合間に入る太鼓連打(省略なし)の迫力もたっぷり。一番有名な「ロシアの踊り」はじっくりとリズムを刻んで、重量感ありますよ。泥臭くて洗練されていないテイストも味わいのうち。

 華やかで溌剌としたリズム感に溢れているが、パートは技術的にちょっぴり怪しい(代表例トランペット、ホルン)細部のアンサンブルと感じます。それをマイナスと評価するかどうかは別のこと、後半に行くほど熱気に充ち、興が乗ってくるのは作品個性として効果的でしょう。特別な演奏会用華やかなるフィナーレではなく、静かで不気味な「ペトルーシュカの亡霊」にて終了。その存在のみ知っていたが、ようやく実際に「バーンスタインのペトルーシュカ」を聴けて、満足であります。世評的には厳しいかも。

 でも、音楽は嗜好品ですから。好きなものを勝手気儘に堪能いたしましょう。

(2011年3月4日)

Stravinsky 名曲集
(組曲「火の鳥」ほか〜ラトル/バーンスタインを中心に)


TUTTI(EMIとSONYの音源) Nr.12  $1.99で購入 Stravinsky

ロシア風スケルツォ(ジャズ・バンドのための)
3楽章の交響曲(1988年録音)

ラトル/ バーミンガム・シティ交響楽団

エボニー・コンチェルト(1965年録音)

コロムビア・ジャズ・コンボ/グッドマン(cl)/ストラヴィンスキー

サーカス・ポルカ

マッケラス/ロンドン・フィルハーモニー

ラグタイム

サロネン/ロンドン・シンフォニエッタ

バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック(1957年)

TUTTI(EMIとSONYの音源) Nr.12  $1.99で購入

 このサイトを開いたのが1998年でしたか、以下の文書には日付が付いていないので、その頃のものだと思います。ずいぶんヘンな組み合わせのCDでして、いったいどこからみつけて来たんでしょうかね。「3楽章の交響曲」(ラトル)/組曲「火の鳥」(バーンスタイン)がメインの収録になると思います。以下のコメントにもあるように、Stravinskyとワタシの出会いが「火の鳥」17cmLPとなります。600円だったかな?1957年という太古のステレオ録音だけれど、まったく新鮮そのもの!の音質。驚きの豊かな奥行き有。

 適度なラフさと情熱を兼ね備えた演奏でして、少年(だったワタシ)の胸ときめかせるには充分なる勢いも、集中力もあります。ワタシはバーンスタインの熱心な聴き手ではなくて、とくにニューヨーク時代の先入観はアンサンブルが粗い、録音が悪い・・・ところがこの「火の鳥」は立派なメルヘンでして、繊細な旋律への配慮も感じますね。好調時のニューヨーク・フィルはこうなのか、はたまた当時まだ健在だったミトロプーロスの薫陶のたまものなのか・・・爽快な金管の大爆発で終曲を迎え、これは魅力ある演奏です。当時バーンスタイン39歳。ま、普段はクール方面(ブーレーズ、アンセルメ)を聴くんだけどね。

 「エボニー・コンチェルト」って、ちょっと人を喰ったような、ユーモラスで軽快な、インチキ・ジャズみたいで大好きです。旋律があってないような、ジャズのエッセンスだけ上辺に塗って換骨奪胎したような、ヘンな作品。妙に歯切れが良くて、ノリノリです。演奏者は滅茶苦茶上手い。録音も優秀。(その後、自作自演9枚組ボックスは手に入れました。この録音ダブりました。さすがに全集には手が出ないが)

 「3楽章の交響曲」って、作品的にあんまり好きじゃないんです。すみません。(で、略)その他小品集は、とてもウキウキ楽しい。「サーカス・ポルカ」(マッケラス)って3分ほどの小曲だけど、やたら茫洋とした、大がかりでシニカルな演奏でした。ラグタイム(サロネン)はちゃんとした小編成で、ツィンバロンが怪しい雰囲気出してます。いまとなっては、ちょっと聴いていて落ち着かない「寄せ集め」の一枚に感じました。これはワタシの堕落でしょうか。(2004年12月3日)


 これはきっとなんかの雑誌の付録?BBCの付録CDもそうですが、海外の音楽雑誌ではこうした鑑賞に耐えうる収録をしてくれるからありがたい。「レコ芸」の「切れ端収録CD」はカスで、雑誌の価格を上げているだけで地球資源のムダ。(女房のナントカ・ペイントの材料に)

 ストラヴィンスキーが好きなこと、子ども時分に17cmLPで聴いたバーンスタインの「火の鳥」めあてで買った、と記憶しています。ラトルはこのたび天下のベルリン・フィルの音楽監督に選出されたそうで、同世代として感慨しきり。イギリスの若手がドイツ最高峰のオケのシェフに選ばれるなんて、う〜ん、やはり21世紀なんですね。

 ラトルは録音の選曲とか、オケの選び方に一癖あっていいかんじだなぁ、とは思うものの廉価盤には登場しなくて、なかなか親しい印象は持てませんでした。唯一買った「惑星」も優等生的演奏でいまひとつ。啓蒙時代管弦楽団と組んだMozart の40番、Schubert の9番は、FMで聴いてずいぶん感心した記憶はあります。

 ストラヴィンスキーの自作自演の膨大な録音はCBSの偉業だと思いますが、ちょっと手が出ない(量的にも価格的にも)。だから、系統的に聴いてはいないのですが、いろいろと作風の変遷もあるみたいですね。「ロシア風スケルツォ」は1944年戦争の激しい時期の作品(少なくともジャズ・バンド版は)で、「戦争で人手が足りないから少ない人数でも演奏できるように」した一連の作品でしょうか。
 にぎにぎしくて、ウキウキして、遊園地の行進みたい。保守的・浪漫的・濃厚な響きとは無縁ですが、現代音楽の「眉間に皺」の深刻さもなくて楽しさイッパイ。サティにも一脈通じますが、あれほど虚無的でもない。わずか4分弱。

 「交響曲」も同時期で世界大戦末期の作品。うってかわって深刻な楽想が印象的。ピアノ協奏曲として構想されたんだったかな?ここでも晦渋さはなくて、リリカルな味わいと(あたりまえだけど)ピアノの自由で効果的な使い方が楽しめますね。(エレーヌ・ドノホーという人)
 バーミンガムのオケはほとんど聴いたことはなくて、イギリスの一地方オケながら、かなりの実力ありそう。圧倒的な響きの厚みとか、個性的な音色、みたいなものは感じませんが、反応は早い。リズム感抜群。終楽章の大柄なリズムも重くならなくていい感じ。余分な贅肉がなくて、ていねいな仕上げ。派手さはないけれど、個々のパート(木管など)美しいと思います。

 このアンサンブルの高い水準が、ラトル退任の後も維持されていることを願います。(後任は誰でしたっけ、エルダー?)

 「エボニー・コンチェルト」はお気に入りで、この演奏は「ストラヴィンスキー全集」に入っていたもの。
 クラシックの名演奏も残している、往年のジャズの名匠グッドマンのクラリネットの冴えていること。若手イェーの新しい録音も良かったけど、もう、はっきりいってこの演奏は最高です。ジャズのノリ(とくにピアノ、ベース)、旋律の明快な弾き分け(けっこう無機的で、荒唐無稽な旋律がはっきりとする)、アンサンブルの有機的なこと、とにかく、ひとりひとりが上手い!音色が個性的で色気たっぷり。
 録音も信じられないくらい良好。

 あまり人気の出ない実力者・マッケラスの「サーカス・ポルカ」。ペトルーシュカなんか有名ですけど、ストラヴィンスキーって、遊園地の雑踏みたいな音楽が気に入っていたんでしょうね。わりと分厚いオケの響きで、安っぽいジンタのリズムを表現していて楽しい。これも4分かからない。

   21世紀を担う若手実力者サロネンの「ラグタイム」。これもサティを連想させる、行き当たりばったりのユーモラスな旋律と音色の宝庫。やすっぽいツィンバロンみたいな音色はなんなんでしょ。この曲も5分かからない小曲ですが、ストラヴィンスキーはこういった肩の凝らない小曲をたくさん残しているようです。
 オケは現代音楽を得意とするロンドン・シンフォニエッタ。ベルリン・フィルやウィーン・フィルじゃ、こんな切り詰められた音は出ないでしょ、ツボにはまって巧いもんです。

 バーンスタインの「火の鳥」。
中学生以来久しぶりに聴いた演奏ですが、これが最高。まず、音の状況がこんなに良かったのか、と驚き。NYPって上手いのか、どうなのかようわからんオケと思いますが、ここでは指揮者に対する共感に満ちて優秀で充実したアンサンブル。一つひとつの音に入魂の情熱、流石のバーンスタイン節で、幻想的な旋律を美しく、心を込めて演奏していますね。子守歌における集中した歌の陶酔、終曲の圧倒的な盛り上がり、などなど録音年が信じられないほどの新鮮さです。
 「カスチェイの踊り」〜「子守歌」に移行する経過部が省かれているのは昔通りの記憶で、そういう版があるのでしょうか。

 ま、寄せ集めCDですが、ちゃんと鑑賞に耐える曲の配列、演奏家の選択となっています。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi