2002年GWは厳島神社に行きました。あのころはよく旅行に行っていたな

事態は動いているのか


 菅さんがあかん、というのはほとんど国民的合意になっているようで、どちらかといえば支持派であったワタシも同様。政治にはあまり興味らしい興味はないんだけれど、旧態自民党?じゃ、剛腕・小沢一郎再登場、ましてや鳩山、という雰囲気でもないでしょ。手詰まりっぽいなぁ、誰がやっても。ヴェテランの知恵も借りつつ、若手がやるべきと思いますよ。

 震災原発前と基本的に日本の課題は変わっていなくて、団塊の世代が”後期高齢化”する辺り(2022年頃?これから10年)をピークに財政のいっそうの悪化ははっきりしております。日本はいつからこどもや若者を大切にしなくなったのか。江戸時代寺子屋から続く”教育熱心”な伝統は、貧困の連鎖によって崩壊しつつあります。出産は無料+出産祝い金支給、こども手当はちゃんと付ける(所得制限必要)、保育所規制を緩和し、若い夫婦が働けるように増やすこと、病児保育所の拡充、教育の無料化、奨学金制度の充実(実態は返せない人が激増しているそうですね)、優秀な学生の優遇、学校の先生へ待遇改善も必要かも知れない・・・とにかくこどもを増やして大切にすること。

 これは経費ではなくて、次世代への投資ですから。必ず将来戻りますから。ここ数十年手抜きのツケは一気にきますよ、おそらく。(もうきているかも)それに”復興”課題がプラスした・・・原発問題付きで、ということ。こんなことは連日新聞に載っているから、市井のド・シロウトが今更言うべきことでもない。しかし、現場系ヴェテラン・サラリーマン(=ワシ)が毎日感じるのは、比較的恵まれた条件である我が職場(フロア)でも、お仕事工夫努力改善が足りない、旧態だらだらとしたお仕事ぶりは多数派かな?と思います。たっぷり残業なんて、景気がよかったころの贅沢ですよ。出世するのはほんの一握り、しかも役付名目が上がっても(お仕事水準は別)本人が幸せに見えないのはワタシの僻(ひが)目なのでしょう。お仕事工夫努力改善こそ、要諦だ(ま、それなりの年収労働条件が前提だけど)と考えて、またサラリーマン生活の一ヶ月が経ちました。

 今回の震災で、当たり前のことを学びました。工場が被災して商品が作れない、というのは想像可能。しかし、震災一ヶ月が過ぎて生産ラインが復旧したら、包材が入ってこない。電気の問題も(この先)あるかもしれない。物作りの資材、流通、販売、すべて連関しあって成り立っていて、回っていたということですよ。その辺り、けっこうお仕事で毎日苦戦しております。阪神大震災時の記憶では一直線快復、というか、製造に問題の出たメーカーは限られておりましたから。また、良い勉強と経験の日々、昨日も新たなトラブルが発生いたしました。

 ちょっとうすら寒い春、やや風邪気味。幸い、震災バブルなのか、それともここ半年の成果なのか、営業実績は抜群です。女房殿は姉と母親の病院を行ったり来たりしております。

 先月のヴェリ・ベスト。自主CD制作作業は病膏肓に至って、ちょっと食傷気味になってきました。そろそろ演奏会に行かなくっちゃ。

DG 447436-2 「短くも美しく燃え」Mozart ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453/第21番ハ長調K.467/第6番 変ロ長調K.238〜ゲーザ・アンダ(p)/ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ(1962年頃)・・・かつて(1990年頃)大枚支払って全集購入、数年前盤面自然剥離に愕然!生き残った数枚(再生可能)をオークションにて激安処分したが、ジャンク品としての説明不足から、落札者に少々不快な思いをさせた(後悔)演奏〜これも(個人的意識内部では)”江戸の敵を長崎で”的自主CD化であります。できれば全曲ネットで出現せぬか(後述;しました)。数年うちにパブリック・ドメイン化するけれど。

まずは音質極上〜艶々ではなく中低音が充実して、自然な厚みがあります。オーケストラが親密にソロに寄り添って一体化している〜記憶ではアンダの弾き振りはいまいち、的感想だったんだけれど、3曲ともほとんど極上のアンサンブル。それよりなにより、ゲーザ・アンダは品の良いこと!先日聴いたアシュケナージは浪漫方面に振って、揺れるテンポが素敵だったが、こちらもっと自然の呼吸のように瑞々しい世界であります。表情ニュアンスを付けすぎず、素っ気なくもない。ト長調K.453は春の野をスキップするような愉悦に溢れる作品、ハ長調K.467の第2楽章「アンダンテ」は映画「短くも美しく燃え」でっせ、婦女子(+おじさん)の紅涙を絞る名曲は淡々としてこそ哀しみが深い。映画に使われたのがこの録音です。

Mahler 音源落とし放題のサイトより、マーク・ウィッグルスワース/ボストン交響楽団による2009年4月18日ライヴ、交響曲第4番ト長調(ジュリアーネ・バンセ(s))〜これはまだデータを落としたのみ〜の前に演奏されたBeethoven ヴァイオリン協奏曲ニ長調〜イザベル・ファウスト(v)

これが絶品!まずボストン交響楽団の洗練されたサウンドが夢見るように美しい(とくに木管)。こどもの頃から古今東西老若男女多種多様なる名演奏を拝聴してきたが、ノビノビとした歌と、決然としたキレ味+ノリ(これは終楽章に顕著)が鮮度抜群。カッコ良い。とろけるような美音というわけじゃなくて、颯爽としてモダーンな感じ。偉大なる名曲、一発演りまっせ!的構えたものではなく、さあ、美しい旋律を愉しみましょうね、的新時代の演奏と聴きました。オーソドックスなんですけどね。

BERILLANT 93554/53Brahms 歌曲集第9集(60枚組より)〜ロベルト・モルヴァイ(t)/アンドレアス・ルツェヴィクス(p)(2007年)・・・ひどいねぇ、作品詳細どこにも(まともに)ネットでは探せない。作品49の「5つの歌曲」、「6つの歌」 作品97、「8つの歌曲とロマンス」作品14ほかいろいろ自由に組み合わせたもの。モルヴァイの声、歌唱は端正で清潔そのもの、心が洗われるような清涼に気分になりました。妙に”上手く”ない、技巧を凝らしすぎないのがよろしい。言葉の意味などわからぬでも、思いは伝わる・・・交響曲の大仰なる旋律サウンドを思えば、こちらピアノ伴奏のなんと繊細なフォローか。60枚分一気”オトナ買い”せぬと出会えぬ幸せです。

●Mahler 交響曲第3番ニ短調〜エドゥアルド・ファン・ベイヌム/コンセルトヘボウ管弦楽団/モーリン・フォレスター(ms)(1957年ライヴ)・・・これはパブリック・ドメイン音源(.mp3)からの自主CD化。歴史的音源は耳に苦しい〜とかなんとか言いつつ、こんな長大なる作品をモノラル・ライヴで・・・というところだけれど、想像より音の状態はずっとよろしいし、なんせオーケストラが極上、絶品。ベイヌムの表現は質実中庸安定といったところだけれど、腰が据わっているというか、貫禄充分+センスは旧・巨匠世代とは一線を画してモダーンであります。ヴァイオリン・ソロ(ヘルマン・クレッバースですか?)、トランペット(ポストホルン)、そしてホルン、どこをとっても涙が出るほど美しく、深いんです。フォレスターってMahler で全世界行脚していたんだな。第4楽章の「酔歌第12節ツァラツゥストラの輪唱」入念なる表情付けも驚きのリアルさ。

これは歴史に残すべき”歴史的録音”也

DECCA COLLECTORS 4489102Bruckner 交響曲第9番ニ短調〜ジョージ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1985年)・・・最近Mahler ばかりで、Brucknerを聴くべき心境に至らなかったこと+ギュンター・ヴァントのケルン全集に痺れて、しばらく他のを聴けなくなったこともあります。ショルティなんて!どちらかというと物見遊山的興味だったが、これはかつてあり得ぬ驚異的なスタイルであります。

茫洋とした響き、独逸の森の奥深く〜的イメージから隔絶した、鮮明、鮮烈、明快、強烈、太陽はさんさんと降り注ぎ、金管が華やかに炸裂する!なんのことはない、いつものショルティ/シカゴ・サウンドそのままであって、違和感どころの騒ぎではない!Brucknerかくあるべし、みたいな先入感をぶち破る衝撃。数年前のワタシなら絶対拒否(現在でも彼のMahler には全面賛同できない)だったろうが、生来の天の邪鬼なる性格故、こんな(おそらくは)大カンチガイ演奏は爽快に受容できます。とにかくオーケストラが上手い。金管らしい金管が、金属的に響いて、その開放的サウンドをとことん堪能しちゃう・・・”精神性?”なに、ねぶたいことゆうてんねん。

●Mahler 交響曲第1番ニ長調〜クラウディオ・アバド/ベルリン・フィル(1991年ライヴ)・・・これほど著名なのに、アバドのMahler はほとんど未聴。オーケストラの上手さは驚異的。弦の響きがシルクのように鈍く輝いてゾクゾクするほど。弱音で音楽の姿が”弱く”ならず明晰、最強音の鳴りっぷりに文句ない迫力を感じさせても響きは濁りがない。洗練を失わない。細部の仕上げ、全体の構成、流れにムリがない。ほとんど飾りがない、自然な歌に溢れている・・・

こどもの頃より聴き慣れた作品が、なんと新鮮に響くことかっ!そろそろ旧録音も含めた全集が安価に出現する頃と思います。

(2011年5月1日)


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written by wabisuke hayashi