8年お世話になった岡山時代/神社の側に居住しておりました

幾度も問う!シアワセってなんだ


 不況でんな。デフレ・スパイラルというのは経済の専門家の判断分野だろうが、物事の価格が適正な範囲に落ち着いていくことなのかな、とも思います。工場生産品は開発コストの消化、部品パーツの価格下落、大量生産を以て価格が下落する。北海道の両親に送ったディジタル・ハイビジョン・テレビ18.5型諸経費全部込みで18,000円ほどでっせ。パソコンだったら、その先駆であるワープロ専用機から数えて20年強(周辺機器含め)100万円ほど使っているかも知れぬが、いまや、一台数万円ですもん。ハードの故障よりデータの保存のほうが課題となりました。もの大切にするのは重要だけれど、見切りも必要でしょう。日本の復興を支えた戦前世代は窮乏時代をカラダで知っているから、とにかくものを捨てない。使いもせんのに、恐るべきほどいろいろ、さまざま溜め込んでおります。気持ちは理解できるけど、いまやゴミ(失礼!)処理もけっこうな経費を取られる時代となりました。(そういえば両親宅札幌マンションには2台の、こんもり厚いブラウン管テレビが眠っているとのこと)

 CD価格下落の件は千度このサイトで言及したから繰り返しません。恥ずかしながら前言翻して処分を再開いたしました。似非金満中年(=ワシ)はオトナ買いしちゃうんです。安いからこの際、全部まとめて注文!油断するとあっという間に棚が埋まっていく・・・もちろんご馳走は喰いきれない・・・1994年にLPを全部処分、プレーヤーはご近所ご老人にあげてしまいました。CDも(市場的政治的)寿命は近いかも。ワタシもかなり”データ”に接近しつつありますから。もとより、その方面の扱いは得意のほうでしたし。

 問題は農産物畜産物水産や天産物なんだろうな、生産や流通の合理化工夫は必要だけれど、工場生産品ほど劇的合理化は進まない。鮮度も安全問題ある。それと人件費でしょ。このままの状態では人材育成とか、教育とか、日本のワザとか、あっという間にダメになっちまうかも。もうなっているかも。

 我が職場も(自分のスキルともかく)人材育成問題はいろいろ、さまざま悩みは尽きませんね。自分は職場でけっこう”PCスキル”評価を受けてきたが、(前月言及通り)まったく”文系”であって、もっと、いくらでも”使える”人間を見てきたから自らの技量など屁みたいなもの、と自覚しておりました。(謙虚なフリでなく)でもね、ここ数年、その意味合いをちょっぴり理解できるように〜つまり、”パソコンを使う”のじゃなくて、”仕事を合理的スムースに進めるためにパソコンを使いこなす”という意味なんですね。データ管理(時系列にファイルを並べ、検索で探す)、常用雛形の活用(QtClipはクリップボードの履歴はもちろん、常用するものはすべて登録しておいて一発貼り付け)、日常商品データ検索はメーカー連絡先が一緒に出てくる〜そんなのは序の口、取り先からのデータ書式統一のお願い(後処理は圧倒的に早く、合理的に正確になる)、作業手順の整理完備(派遣さんに委ねちゃう)〜で、自分は本来業務の神髄やら、商品の売り方に専念する・・・

 若い人は比較的パソコン・スキルは高いんだけれど、”お仕事”がわかっていないのは経験上当たり前のこと。だから”仕事を合理的スムースに進めるためにパソコンを使いこなす”こと不可。我がチームの中独連(全日本中年独身者連盟)は、40後半を迎え、基本スキルが全然できていない(人もいる/バブル世代か?)。難しいマクロを組め、と言っているんじゃないんです。日本語をちゃんと書け、主語述語を明確にせよ、このくらいのWindowsの基礎知識は知っておいてくれ(印刷範囲指定を知らぬのかよ/ツールボタンも出ていない)、メールに非常識に重いファイルを添付するな・・・でもね、もっと大切なのは相手(取引先)の気持ち、お仕事手順、都合を配慮することですよ。これは出世とかそんなこととは別の、日々のお仕事の愉しみ(スムースな進行)でっせ。

 以上、世情のコメントはあっという間にお仕事愚痴に成り下がっちゃう。そんなこんな、あくせく2010年もラストの月となりました。猛暑に負けた夏だったな。贅沢いっぱいしました。旨いモン喰いました。佳き音楽たくさん聴きました。年々体力が落ちていく自覚有・・・でも、取引先との人間関係も良好、お仕事ちゃんとあって充分にシアワセであります。

先月のヴェリ・ベスト。

RCA GD 60949。永遠のベストセラーですな。インスブルック・ライヴも一度聴いてみたい●Bach 平均律クラヴィア曲集第1巻の前半〜スヴャトゥスラフ・リヒテル(p)(1972/73年ザルツブルク)・・・凄い。棚中CDにランクを付けるようなエラそうなことはできぬが、これは何度聴いても仰け反ってしまうほどの衝撃有。まさにNo.1。ある時は幻想的に優しく、またある時は決然と強靱なタッチ(素晴らしいテクニック/上滑りしない)で圧倒し、ピアノの音には確固たる”芯”があって魂が宿る説得力であります。豊かな残響も雰囲気たっぷり、それでも曖昧模糊ではない、常に明快な主張を聴き取ること可能です。前奏曲とフーガ、そして調が遷るたび、変幻自在な表現にて聴き手を飽きさせない・・・

SONY 88697686092  10枚組 2,490円●Mahler 交響曲第4番ト長調〜ジエイムズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団/ジュディス・ブレゲン(s)(1974年)・・・噂に違わぬわかりやすさ、各パート旋律の明晰明快な主張。メリハリたっぷり、朗々と歌って気分爽快なる明るさを堪能できます。Mahler は大好きだけれど、第4番だけは少々中途半端な印象が付きまとっておりました。レヴァインだったら、ほんまに作品全貌が平易に解明されております。シカゴ交響楽団はリラックスして鳴っておりました。録音はマルチマイクがモロ、鮮明なんだけど各パートが不自然なくらい前面に出て、奥行きが足りない感じ。それがいっそう全体構造のわかりやすさを強調します。ブレゲンも清楚でエエ感じですね。

この作品もけっこう聴いてきたが、テンシュテット/南西ドイツ放送交響楽団(1976年)と並んでヴェリ・ベストのひとつかも。

●Corelli 合奏協奏曲ニ長調 作品6-1/Albinoni オーボエ協奏曲ニ短調 作品9-2(レノブレ(ob))/Tartini ヴァイオリン協奏曲イ短調D113(フォルナチアリ(v))/Vivaldi ヴァイオリン協奏曲ニ長調RV212(佐々木一樹(v))/マンドリン協奏曲ハ長調RV425(オルランディ(man))/2本のホルンのため協奏曲ヘ長調RV539(ウィリアムス/リチャーズ(hr))/歌劇「テンペーのドリッラ」序曲RV709〜クラウディオ・シモーネ/イ・ソリスティ・ヴェネティ(1983年ライヴ)・・・ERMITAGE ERM 173-2。この辺りの音源は多くDOCUMENTSのセットものにて再発されたが、いくつか消えたままになっております。(リヒテルも再発されない/どこかから出ておりますか?)スタジオ録音より残響豊か、ライヴならでは”乱れ”と”瑞々しい感興”両方備わって、イタリア・バロックの妙技+美しい旋律堪能させて下さいます。こうなると古楽器云々の論議など少々空しい気が・・・ラスト、歌劇「テンペーのドリッラ」序曲は「春」の旋律であります。

ERATO 8573-84248-2 価格失念もの凄く安かった●Boulez プリ・スロン・プリ(Pli selon pli)〜ピエール・ブーレーズ/BBC交響楽団/フィリス・ブリン=ジュルソン(s)(1981年)・・・なんて訳すのか?折り目に沿って折り重なる、みたい感じか。第1曲 賓(たまもの)/第2曲 マラルメによる即興曲I /第3曲 マラルメによる即興曲II/第4曲 マラルメによる即興曲III/第5曲 墓から成る全67分ほどの作品。緻密精密精緻洗練を極めたような室内楽?であって、 神秘静謐な美しさは筆舌に尽くしがたいほど。音質極上、リアルな各パートの配置、位置関係、息遣いがモロに感じられる鮮度であります。けっして難解ではなく、行き着くところに行き着いたクール甘美な世界さえ感じさせるもの。BBC交響楽団のアンサンブルは驚異的な完成度であって、こりゃモウレツに練習したんでしょうね。既に首席指揮者を降りていた時期だけれど、これで演奏会をしたんでしょう。エラい!録音したERATOもエラい!

●Respighi 交響詩「ローマの祭り」(1949年)/「ローマの噴水」(1951年)/「ローマの松」(1953年)〜アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団・・・十数年ぶり?「松」は息を呑むほどに鮮明なモノラル録音であって、NBC交響楽団の驚異的技量、アンサンブルの集中力だけではなく、各パートの細部迄配慮行き届いた”歌”の美しさ、見事さに感銘いたしました。リズムの切れ、近代オーケストレーションの華やかなサウンド〜この演奏を凌駕できるステレオ録音をご紹介いただきたい。

(2010年12月1日)


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written by wabisuke hayashi