リヒテル1966年 ロカルノ 聖フランチェスコ協会ライヴ


ERMITAGE  EMR 113-2
Weber

ピアノ・ソナタ第3番ニ短調 作品49

Brahms

カプリッチョ ハ短調作品76の8
間奏曲ホ短調 作品116の5
バラード ト短調 作品118の3
狂詩曲 変ホ長調 作品119の4

Prokofiev

ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 作品82

リヒテル(p)

ERMITAGE EMR 113-2 ロカルノ 聖フランチェスコ協会ライヴ録音 1966年 600円で購入

 ERMITAGEが消えてしばらくたちましたが、AURAというレーベルで価格もそのままに完全復活した様子。めでたいことです。残念ながら、まだ新レーベルでの購入はしておりません。手元には、まだタップリのERMITAGE在庫あり。

 リヒテルはお気に入りのピアニストで、「知性に欠ける」なんいていう悪口もききますが、聴く度に新しい発見がありますね。このCDなんて、目から鱗はボロボロ落ちる感じ。Brahms はともかく、WeberとかProkofievは意外と聴く機会はないでしょ?ワタシくらいの達人になると、そこら辺りもちゃんとCDは揃えている・・・・・なんてウソ。

 Weberは「素朴なドイツ」といった味わいで、たいていの曲は気に入っております。オペラはもちろんのこと、交響曲やクラリネット協奏曲、ホルン協奏曲、そしてクラリネット五重奏曲も出色の名曲。ブレンデルが1989年にピアノ・ソナタ第2番 変イ長調 作品39を録音していて、FMで聴いたら本当に楽しくて「うぁ、こりゃ宝の山」と確信、さっそくNAXOSでアレクサンダー・パレイの4枚組全集を買いました。

 が、これがまったくツマらない。よく馴染んだ第2番はともかく、他のソナタ、変奏曲なんか全然で大失敗。音色が美しくなくて、躍動感もない。なんか雑然とした演奏。約1年くらい粘って売り払いました。もういいや、Weberのピアノは「踊りませんか?」(「舞踏への勧誘」→この訳はバカヤロ的)くらいで充分。

 で、このリヒテル盤を買ったでしょ?そのとき初めて気付きましたね。この第3番も飾り気のない、ウキウキするような躍動があって、暖かい曲。そして演奏。細かい音型が疾走するWeber節の上手いこと、楽しいこと。第2番に負けません。パレイは演奏がヤバかったのでしょう。そしてブレンデルやリヒテルは、曲の真の価値を引き出す魔術師であったことに気付きました。

 Prokofievのソナタ集は、シャンドール盤(VOVBOX CDX3500)で所有していたものの、難解で晦渋で好きになれませんでした。だから、結局もう一集出ているのは買わず仕舞い。ところが、この曲もリヒテルの手に掛かると、硬質でシニカル、ユーモアさえ感じさせて、こんな楽しい曲であったか、と大発見。

 無定見で、音程が飛び飛びのような旋律がこんなに心に染みて、ある意味「歌」を感じさせて不思議な魅力。リヒテルの音色は、濃すぎて、凝縮されていて、Mozart やChopin には向きそうにもないけれど(意外とハマった録音も存在するが)Prokofievをこんなに熱く、イキイキと表現してくれると、もうタマらない。

 Brahms は想像つくでしょ?バラードにおける劇的で、叩きつけるような打鍵の悲劇的な響き。ラプソディのスケール感と喜びの高揚。間奏曲はトボトボと寂しく、カプリッチョは夢見るような甘い味わい。

 録音はいつものように良心的で、優秀録音ではないが聴きやすい。Weberのピアノ曲は、よいのがあったら全曲購入したいところ。

(2000年6月30日更新)


比較対象盤

なし。そんなにたくさん聴いていません。Brahms だったら(ありきたりながら)ルービンシュタイン。但し1,000円では買えません。残念ながら。


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written by wabisuke hayashi