春へ
ニュージーランド地震被害は悲惨なものです。未来ある若者、しかも海外へ意欲的な留学に出掛けていた志が中断されたのは痛恨。自然の猛威+老朽化したビルに居合わせた不幸を恨みます。相次ぐ外交の失策は国力モロの反映なのでしょう。領土というのは戦争で動くものだから、筋を通しても意味がない。アラブ諸国の相次ぐ民衆蜂起に比して、我が日本は(おそらく)原油価格の高騰だけが問題となって、政治課題はぴくりとも前向きに動かない。菅さんの支持が低いのは理解できるが、じゃ小沢?鳩山?(悪いジョーダン)、足引っ張りの自民党にだって、とてもだけど任せられない。次が見えない、にっちもさっちも行かぬ状況に、官僚だけがぬくぬくと天下り復活〜かよ。閑話休題(それはさておき)
一攫千金の博打やら、ウマい話のマルチ商法とか、そんなことに頼らず、自分で自分を守るしかない。なんせ老人大国ですから、身近でもモロ、肌身に感じております。自分のお仕事をしっかりこなす〜いえ、ますますスキルを上げること。若い人にワザを伝えること。体調に気をつけながら、ノーミソ柔軟に視野を広く持って、狭いお仕事内価値観にタコツボ化せぬこと。人生を(たっぷり)愉しむこと。一年前の「近況」を見ると体調崩し、オーディオを交換し、ハロゲンヒーター、モニターを買い替えたことが書いてありますね。上司とは一年のお付き合い(更に)継続、現状のお仕事は4年目に突入しそうです(おそらくラストじゃないか)。チーム・メンバーに変更なし、持ち分担も変えるつもりない。自分のお仕事内容はどんどん変えていくが。
で、誕生日月。
なんせ大ヴェテランだからな。一昨年からフロア最年長ですから。先月は真面目に毎週スポーツ・クラブに通いましたよ。あちこち不調を抱え通院しているが、ま、問題なく通常社会生活送っております。サラリーマン人生も先が見えてきました。これから”次の道”をどう探すか、思案のしどころ。
寒い時期は演奏会に出掛ける意欲が萎えます。暖かくなったら出掛けましょう。ここ数年、音楽を愉しむべきCDは激安に至ったが、更にパブリック・ドメイン音源のネット音源入手→自主CD化の話題は千度繰り返しました。ところが【♪ KechiKechi Classics ♪】 読者より、もっと凄い!海外サイトで種々様々の新旧音源入手可能であるとの情報有。この研究に勤しんだ一ヶ月でありました。.apeとか.flacとか”可逆圧縮データ”の扱いも覚えて、かなり良好な音質音源を確保。怒濤の如く、音楽を聴きまくっております。なんか久々の興奮の毎日。もしかして、かつてのBOOK・OFF@250CD大量入手以上の衝撃かも。
ますます、音楽に対する畏敬の念、真摯に対峙すること、ていねいに聴いてあげることが宿題になっております。若い頃、Mahler の交響曲全集なんて、ほんまの贅沢品だったんだけれど、自主CD経費計300円ほどでも揃うような、そんな時代なんです。う〜む。
● 先月の素敵な音楽ヴェリ・ベスト。ちょっぴり悩ましい。自主CD拝聴が多かったし。
●Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」(1958年)+交響曲第4番 変ロ長調(1959年)〜アンドレ・クリュイタンス/ベルリン・フィル・・・かなり以前にCD全集は処分済みなんだけど、とうとうパブリック・ドメインになったんだな。この立派なサイトともずいぶん長い付き合いでして、この演奏には曰く「フルトヴェングラーのベートーベンとは対極にあるアポロンな演奏です。どこを探したって、聞くものを地獄の底に引きずり込みそうなデモーニッシュな凄味はありません」とのこと。なるほど。フルトヴェングラーが念頭にあるのかな?かつてのワタシはクリュイタンスの演奏を愉しめなかったんです。ところがどうでしょ、この鮮度。清冽で濁りのないクリアな響き、美しい艶、厚みのあるオーケストラの威力、ムリのない表現〜これぞワタシの求めていたもの(って、昔ずいぶん聴いたはずだけれど・・・)。.flacファイルからのデコードも上手くいきました。音質かなり良好。
養老孟司さんだっけ、人間は変わるもの、ノーミソは使わなければ退化するし、上手に使えば次々と成長していく〜嗜好の基本はあるのだろうが、ワタシゃいったいいままで何を聴いてきたのか、と不思議に思うほどフィットいたしました。巡り巡って、青い鳥はお家にいました、的感慨であります。Beeやん苦手、などという戯れ言許されぬ感動見つけました。
ヨーゼフ・クリップスにも穏健な喜びを見いだしたんだけれど、なんせこちらオーケストラに厚みがあって、しかも音質がよろしい。既にカラヤン時代に突入していたベルリン・フィルだけれど、木管の色気ともかく全体に質実で渋い”独逸の音”してますね。クリュイタンスの指揮は中庸を極めて、細部明晰、サウンドは洗練され、気品もあります。世評では”偶数交響曲が〜”的評価らしいが、「英雄」は自分にとって最高のバランスで最後までたっぷり作品を堪能させてくださる出来。
交響曲第4番は、逆に前半戦いまいち(彼にしては)散漫かな?と感じていたけれど、終楽章に至って”クール、細部描き込みもここ迄!”的、各パートの位置関係、距離感恐るべきほど鮮明。ふだん全体の響きに埋もれる内声部まで存在感を主張して発見いっぱいありました。
●Prokofiev ピアノ協奏曲第3番ハ長調/第5番ト長調〜サンソン・フランソワ(p)/ヴィトルド・ロヴィツキ/フィルハーモニア管弦楽団(1963年)・・・以前に彼のChopin 名曲集2枚組をいただいたことがあって、音質のバラつきに苦戦した記憶有。この協奏曲はLP時代以来の再会であって、かなり、そうとう明快な音質であったことに驚き。第3番ハ長調協奏曲はこの間、アルゲリッチの新旧録音、キーシンの演奏によって目覚めた手応えあるんだけれど、ばりばり爽快なるテクニック披瀝!作品じゃないですか。フランソワも明快クリアなタッチだけれど”ばりばり爽快なるテクニック”方向ではない、ややまったりとしたタメがあって美しい音色、ロヴィツキのオーケストラ共々、なかなかエエ感じの味わいになっておりました。表層に流れがちの華やか強靱作品だけれど、数回繰り返して聴くに堪えうる立派な演奏です。
●Mahler 交響曲第6番イ短調〜パブロ・ゴンザレス/カタルーニャ国立バルセロナ交響楽団(2011年)・・・データを信用すれば2011年1月23日のライヴ、って、つい先月じゃん。ほんまかいな。いかにもライヴっぽい臨場感たっぷりな会場残響、オーケストラの響きは明るく、堂々ゆったりなテンポ、ものものしい構えではない。モダーンなセンス、ノビノビと歌ってスケール、熱気も充分、オーケストラも思わぬ余裕と好調ぶり、けっこう洗練された歌なんです。テンポの揺れも不自然ではない。「アンダンテ」が第2楽章、「スケルツォ」が第3楽章に配置されておりました。初耳指揮者だけれど、若手みたいですね。なんせ不況なんで物故した歴史的指揮者音源とか、かつて話題の放送録音のCD化ばかり、若手の出番は少なくなっているが、こんな立派な個性が排出されているとは・・・ちょっと驚きました。
出目がわからないが、臨場感たっぷりのライヴは各パートの定位がおかしい・・・けれど、全然気にならぬ熱気に充ち溢れました。オーケストラの上手い下手に昨日更新分にてちょっぴり言及したが、ライヴ故のアンサンブルの傷、乱れ、勢い余ったミスタッチ、そんなことが問題じゃないんです。朗々とした明るい響き、自信に充ち溢れ、スケールの大きな歌、噎せ返るような熱気が聴き手を圧倒いたします。バーンスタインの旧録音より、テンポ遅く、こだわりのない表情がいっそうの魅力であります。萌えます。
●Mahler 交響曲第8番 変ホ長調〜イオン・マリン/デンマーク国立(放送)交響楽団/DR VokalEnsemblet ・ DR KoncertKoret/Kammerkoret Camerata ・ Lille MUKO/Kobenhavns Drengekor/Anne Margrethe Dahl (s)/Inger Dam-Jensen(a)/Mihoko Fujimora(a)/Andrea Pellegrini(a)/Ditte Andersen(a)/Nikolai Schukoff(t)/Johan Reuter(br)/Attila Jun(b)(2009年ライヴ)・・・いやぁ、んもう毎日「千人」三昧。評価の定まった著名指揮者の音源もよろしいが、現役もちゃんと聴いてあげないとね。1960年ルーマニア出身の中堅どころ、日本でもお馴染みだけれど、ベルリン・フィルも振ってますもんね。たいした活躍ですよ。デンマーク響は立派なオーケストラですね。ものものしい構え、力みもなく、爽快なスケールを誇って溌剌としております。(複雑混沌たる)作品全体の様子がわかりやすい。テンポは中庸であり、急いた前のめりではないんです。祝祭的な雰囲気は充分だけれど、特別な入れ込みを感じさせない・・・美しい旋律を愉しんでいる風情でしょうか。
しっかりイヤホンにて集中すると、細部描き込みが徹底され、仕上げの美しい演奏であります。以前から馴染みの大曲だから、大上段に構える必要はない〜新世代の指揮者はそんな対応なのでしょう。オーケストラは切れ味とか分厚いど迫力方面の個性ではないが、洗練された立派な響きであります。声楽の扱い、合唱の水準も高い。デンマーク響侮るべからず。放送のエア・チェックらしいが音質も悪くはない。
(2011年3月1日)
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