Mahler 交響曲第9番ニ長調
(グスタフ・クーン/マルキジャーナ・フィル2004年
イタリア・アンコーナ/デッレ・ムゼ劇場ライヴ)


OEHMS345 Mahler

交響曲第9番ニ長調

グスタフ・クーン/マルキジャーナ・フィルハーモニー

OEHMS345   2004年イタリア・アンコーナ/デッレ・ムゼ劇場ライヴ

 

HMVのユーザーレビュー(尼崎在住の方/ご近所かな?)では「オーケストラが下手過ぎ」との辛口評価也。これは驚くべき手応えのある演奏でして、ライヴとは俄に信じがたいほど整ったアンサンブル、難物であるホルンなど易々ノーミスでクリアして朗々と歌っております。(数回の演奏録音を編集しているのかも)遅めのテンポでじっくり(84:37)、洗練され平明で素直な表現、優しさと迫力が同居して明るく、どう聴いても「下手過ぎ」とは聞こえないどころか、昨日来幾度も聴いて感心しきり、状態。

音楽を知名度で聴いたらあきまへんで。おそらくはおそらくはイタリア・マルケ州のオペラ・ハウス・オケのコンサート用別名だと類推するが、これはグスタフ・クーンの薫陶なんでしょうね。実演が評判となってCD化が実現したものか。鬼神のような壮絶さではないが、諦念に充ちた美しい旋律を過不足なく、立派に表現して下さって不満などありません。(「音楽日誌2009年10月」より)

 その後、HMVレビューではお二人の良心的フォローが入っておりました。この作品は大好きで、コレクター的に収集するつもりなど一切ないが、棚中には20種ほどのCDが眠っているはず。バルビローリの1964年録音、バーンスタインの1979年、いずれもベルリン・フィルとの世評高い音源には素直に馴染めなくて、もうずいぶんとが長い間お勉強中、自分なりの評価は保留中。ワタシの縄張りは世間の裏街道、日の目を見ない音源を大切に聴いてあげること・・・ここ最近、著名なるメジャー音源が安い(または無料)なので、安易にそちらに走っちゃうことを深く反省いたしましょう。

 全体に遅めのテンポ、ゆったりとていねいな仕上げ、走ったり、激昂することはない。オケの響きは明るく、ごりごり深刻、切迫した響きとは無縁の世界であります。(デモーニッシュ好きの日本人には評価されぬでしょう)第1楽章「アンダンテ」〜クーンはオケを悠々と歌わせて、急いたアッチェランドなどは存在しません。うねりも歌もちゃんとあるし、オケも鳴り切って意外なる力演。なるほど「下手過ぎ」氏が言うように、金管の爆発に細かいミスが散見されたり、弦の艶やかセクシーな厚みは期待できないかも。ホルンの響きも独墺系とは一線を画す、ノンビリした音色であります。ムツかしそうな第1楽章後半長大なるソロも無事(なんとか)乗り切っております。

 でもね、ライヴでしょ?(編集したとしても)ちょっとくらいの傷ありますよ、フツウ。朗々とよく歌って繊細、作品の美しい旋律が活かされていることを堪能いたしましょう。消えゆくヴァイオリン・ソロもお見事。

 第2楽章「レントラー」。無遠慮、粗野に表現して欲しいところ。ここは流石に少々力感に欠けるような、オケのサウンドの芯がヤワい印象はありますね。途中のテンポ・アップのところは、いっそうその印象有。リズム感がもっさりしている感じ。細かい音型にて管楽器のもたつきも(ちょっぴり)あるけれど、努力賞的アンサンブルと評しましょう。第3楽章 「ロンド・ブルレスケ」はかなり頑張ってますよ。アンサンブルは破綻しても良いから、クーンはオケをもっと煽ったらよいのにね。リズムを几帳面に刻んで、ノリノリはもっと増量して欲しかった。あくまで”歌”重視か。「下手過ぎ」とは言わぬが、金管のリズム感の弱さはちょっと気になる(音色は朗々としてエエ感じ)ことろであります。快活かつシニカルなテイスト楽章だけれど、シニカルには不足して素直が過ぎる表現かも。

 万感胸に迫る終楽章「アダージョ」。弦がエエ感じに纏綿と歌って繊細、ゆったりした楽章の出来はよろしい感じ。冒頭2分間、目隠しで聴いて”イタリアの地方オケ!”と的中できる人っているでしょうか。ホルンの音色にちょっぴりやる気の弱さを感じ取ることは可能だろうが。尋常一様ではない切迫感!を求めるなら、全体として”仕上げが甘い”感じ。感極まって絶叫!泣きの涙〜ではない。もっと穏健な世界。それでも終楽版の弦の絡み〜金管「生のテーマ」爆発は充分感動的カタルシスであります。音質もよろしいし、日常聴きにはこんな世界もエエではないか〜という人、いませんか。消えゆく静寂に、聴衆は息を呑むように盛大なる拍手を送っております。

(2011年2月19日)

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written by wabisuke hayashi