Stravinsky ヴァイオリン協奏曲二調
(イヴリー・ギトリス(v)/ハロルド・バーンズ/コンセール・コロンヌ)/
デュオ・コンチェンルタンテ(シャルロッテ・ゼルカ(p))/
バレエ音楽「カルタ遊び」(ハインリヒ・ホルライザー/バンベルク交響楽団)
Stravinsky
ヴァイオリン協奏曲二調
イヴリー・ギトリス(v)/ハロルド・バーンズ/コンセール・コロンヌ(1955年)
デュオ・コンチェンルタンテ
イヴリー・ギトリス(v)/シャルロッテ・ゼルカ(p)
バレエ音楽「カルタ遊び」
ハインリヒ・ホルライザー/バンベルク交響楽団
LP〜VOX HCR5208からのパブリック・ドメイン音源
既に処分したけれど、「50Years Of VOX Recordings 1945-1995」に一部含まれておりました。LPは希少価値なのでしょう、きっと。ギトリスは1922年生まれのヴェテラン、なんども日本に来ていて、未だ存命らしい。かなり個性的な演奏をする人でして【♪ KechiKechi Classics ♪】にも素っ気ない言及が残っておりました(CDは処分済)。これは33歳頃、未だ若手バリバリの頃の記録也。ハロルド・バーンズ(1950年代ロサンゼルス室内管弦楽団を率いて近現代の作品を多く演奏した人らしい)を検索しているうち、この音源に出会いました。仏蘭西にも出張していたのだね。
音質はたいしたことないし、こんな近現代モウレツなるテクニックを要求する作品なら、腕の立つ若手、新しい録音もゴロゴロしているから好事家の世界でしょう。ヴァイオリン協奏曲は不思議なテイストでして、第1楽章「トッカータ」はヒステリックなヴァイオリン・ソロ開始に牧歌的なオーケストラが淡々と絡みます。いわゆる「新古典派時代」の作品であり、リズムは簡素にヴィヴィッドに進みます。第2楽章「アリア」も同様なソロ絶叫から始まり、端正かつシンプル、わかりやすい歌が続きました。
ギトリスはいかにもイクサい節回しと詠嘆に溢れて、アツい演奏ですよ。「アリア」には意外と甘い雰囲気も(時に)出現。クールで正確、乾いた表現とは無縁、ある時は纏綿と、ある時は粗野な表現続きます。アリアUなんか、ほとんど「ツィゴイネルワイゼン」の世界でっせ。終楽章「カプリッチョ」はノリノリの勢い、そしてアツい。期待のハロルド・バーンズのオーケストラは、特別にどうのというほどのものでもないけれど。
デュオ・コンチェンルタンテ(協奏的二重奏曲)は、シャルロッテ・ゼルカ(ドイツの人?)のピアノが疾走(かなりの名手みたい)。例の如く、クサい節回しいっぱいのヴァイオリンが蕩々と歌うんです。おそらく作曲者は乾いた、淡々とした表現を好んだと想像するが、ギトリスは自分の色を付けたいのだね。この作品も難解なことはなくて、中間部では優しいバラードがメルヘンしております。ここぞ!とばかり蠱惑的音色を強調するギトリス。ラスト晴れやかな表情、弾むようなリズムも楽しげです。
この辺りの音楽って、ツボなんだなぁ。ちょっと素っ気なくて、破壊的でもあり、端正な旋律リズムもちゃんと出現します。
●
ハインリヒ・ホルライザー(1913年 - 2006年)は既に忘れられた指揮者かな?たしかオペラ畑の方、何度も来日しております。近現代作品にも通じていたはず。「カルタ遊び」
は難物でっせ。シンプルなわかりやすい「新古典派」作風、起承転結のない、淡々としたエピソードが続くような作品はワタシ好み。かっちりとしたアンサンブル、上手いオーケストラで表現して下さらないと、作品の味わいが万全に表出されません。バンベルク交響楽団はかなり努力賞ものだけれど、流石に作品には慣れていなかったことでしょう。ホルライザーの表現問題もあるのか、”やや重い”印象あります。音質印象もあるのか。(おそらく1950年代録音/さほどに苦にならず)
冒頭から3度繰り返されるコラール風の(無遠慮な)旋律(序奏)が「ポーカー」の開始なんでしょ。そこから第1ラウンド〜第3ラウンドへ微妙に、また唐突に音楽は変化して〜ユーモアが足りなくないですか。ちょっとカタブツ=硬派じゃないですか。迫力はあるけれど、もっとハジけた爆発やノリがあっても良いかも。好きな作品なのでたっぷり愉しんだけれど、人様に大きな声でお勧めするほどのものでもないかも。 (2012年2月11日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
|