2013年4月ご近所

温微的な、日々


 職住接近、静かな住宅地、空気も良いし、残業するほどのお仕事量に非ず、時間はたっぷり、そこその健康、花粉症ともかく体調崩さずウォーキングほぼ継続、経済的な不安もなし、これ以上人生になにを望むのか?職場ではビミョーな立場やなぁ、事前予想通り。体力、実務力量では若いモンに負けますよね。既にマネージャー職から降りていて、ノー・マネージメント的職場風土(それなりに伸び盛りの時期にはそのほうが良かったかも)にイライラする日々。視点がずっと”そこ”から抜けられぬだね。このままサラリーマン人生残り4年間(定年延長は勘弁して欲しい/でも喰っていく術をみつけんと、な)、ぐずぐずだらだら、静かに過ぎていくのか、それとも、もう一花咲かせるような個性発揮できるか?楽しい人生のために。

 取引先ご担当との距離感もムズカシいなぁ。大阪での6年間、岡山での8年間、取引先担当とはほんまに親しくなりました。職場実務にも(それなり)精通していたつもり。もうそんな再現はムリかも。わずか一ヶ月でどーのと言うには尚早なのは自覚してますよ。ほんま温微的(こんな日本語あるんかい)な毎日。こうして「近況」書き続けて、しばらく後に振り返ってみましょう。思わぬ結末になっているのかも。毎日の「音楽日誌」だって、数年後に読み返して驚くこともしばしば。

 覚悟はしていたけれど、喰いモンには苦労しております。なにを喰っても”やや塩分がキツい”と感じます。鮮度の良い魚は海辺じゃないから仕方がない。新しい街故か、味の良い定食屋とか居酒屋、小さなお気に入りレストランなんかもご近所に探せません。全国どこでも同じやろ、と思っていた”餃子の王将”もなんか違う?ご近所ラーメン屋も(全部じゃないが)微妙。車なし一ヶ月生活は、いまところなんとかなっております。いまどきネット通販もありますし。もし女房殿が働きにいくようにでもなったら、その辺りも検討いたしましょう。

 ま、平和な、平凡、幸せな毎日ということでしょう。文句言うたら罰当たりまっせ。いつのまにか、すっかり春。

 時間たっぷりあった先月のヴェリ・ベスト。

Schubert 交響曲第9番ハ長調〜ギュンター・ヴァント/ベルリン・ドイツ交響楽団(1993年ライヴ)・・・この時期だったら”ベルリン放送交響楽団”じゃないのか。このオーケストラとの相性の良さは(当時)FM放送にて確認しておりました。ギュンター・パッシン(ob)の夢見るように軽快な音色に惚れ惚れいたします。がっちり盤石な構築物を思わせるヴァントの表現は、本来自分の嗜好からは外れるはず(事実、Brucknerを続けて聴くと肩がこる)。硬派抜群の説得力に納得いたします。ま、Schubert の旋律って、一歩間違えるとヤワで聴いていられない(と、勝手な考えだ)から、このくらい厳しくてちょうどよろしいかと。

SUPRAPHON SU 3880-2  11枚組6,581円(ポイントも活用)にて入手Mahler 交響曲第9番ニ長調〜ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル(1982年)・・・逝去直前ラスト1995年録音ばかり話題になって(未聴)こちら地味な存在なる旧録音全集より。オーケストラと指揮者の個性から、極めて穏健、素朴な風情漂う全集は得がたい魅力に溢れていると感じます。しっかり全曲拝聴(できるのは転居後の時間的余裕)、中庸なテンポ、不気味な切迫感より安寧、厳しさより安らぎを旨とした表現、チェコ・フィルの弦の柔らかさ、金管の味わい深いマイルドが前面に出た演奏であります。第3楽章「ロンド・ブルレスケ」は少々ユル過ぎ?迫力不足かと。

BRL92609Sibelius ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47 (モスクワ・フィル1966年2月14日)/Bartok ヴァイオリン協奏曲第1番 Sz.36 (モスクワ放送交響楽団1960年12月24日)〜ダヴィッド・オイストラフ(v)/ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー(BRILLIANTCLASSICS BRL92609)・・・美しいなぁ、豊満、安定、瑞々しい。技巧はスムースを極め、鋭いトゲトゲしさの欠片も存在しない。音質かなり良好。旧ソヴィエット録音は玉石混淆(”石”が多数派)ながら、この10枚組はたっぷり愉しめます。ロジェストヴェンスキーのバックもヴィヴィッドに息のあったものです。両作品とも(意外なことに、かつて聴いた録音中)ヴェリ・ベストかも。

EMI 5566882Bruckner 交響曲第5番 変ロ長調(ハース版)〜セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(1993年2月12,14,16日ガスタイク・フィルハーモニー・ライヴ)・・・昨年2012年末に言及が残っていて曰く

悠然としたテンポ、そして細かいニュアンスとしっかりとしたリズム感に裏打ちされ、長大なる時間も厭きさせません。問題は音質、そしてオーケストラの響きの薄さ・・・やはりライヴ故音質は万全ではない、やや散漫、フォーカスは甘い感じ。ミュンヘン・フィルの弦は薄く、全体サウンドは(Brucknerにしては)淡い印象です。それでも延々、いつまでも終わらぬ歌を堪能いたしました。

(数日後再聴)悠々と悠然たるテンポ、息の長い「間」(ま)、けっこうリズムの押さえはしっかりとして、ケジメがはっきりしているんです。ゆるゆるテンポのあざといマジック、との評も見かけるけれど、この緊張感は陶酔でっせ。ミュンヘン・フィルの響きはやや淡く、厚みも足りぬけれど、チェリビダッケの意思が細部迄徹底して素晴らしいスケールと感じます。心は充たされました。

・・・なるほどなぁ。ま、とにかく長い。100分に接近しようかという超スロウテンポ、CD2枚分集中して聴ける環境(時間的精神的体力的余裕)必須、昨年は数日に渡って”部分聴き”を繰り返したと記憶します(ここしばらく、ずっとそうであった)。ほんまは全部通して聴いて、気になったところを再度確認する、というのが正しい道なのでしょう。今回は上記印象とほぼ変わらず、+これは計算され尽くしてクール知的、冷静な演奏だということです。ミュンヘン・フィルの音源は今月いくつか聴いているけれど、淡彩淡白な響きはさほど好みに非ず。それでもチェリビダッケの意向を全身で受け止めて、渾身の演奏なの でしょう。噂によれば東京ライヴ(1986年)のほうがもっと凄い!とのこと。出会いを楽しみにしておきましょう。

R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」〜ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル(1959年3月23日〜4月9日英DECCA)〜ゾフィエン・ザールにはオルガンがないから別録り、映画「2001年宇宙の旅」には(ほんまは)この演奏が使われている・・・云々余計なる薀蓄さておき、これは凄い演奏です。じつは1990年頃(それこそ)駅売海賊盤にて入手、処分したのはLP板起こし音源センター・オフ?ふわふわ揺れていたからだったっけ。この作品、知名度高く、冒頭部分が有名なワリにけっこう難解な作品じゃないですか。自主CD化でも音質のリアルな鮮明さ、奥行き、残響の豊かさはたいしたもの、冒頭オルガンの重低音(別録りのせい?旋律存在感はっきり)から始まって、艶々華やかなサウンド全開!シュヴァルベも凄かったが、ボスコフスキー率いる弦楽セクションの繊細なる(イヤらしいほどの)色気、強烈な金管の爆発と弱音にて抜いたところの対比の上手さ、突然の低弦強奏のメリハリ、旋律語り口の絶妙なこと。若いころはその”芝居じみた”所作(大見得)に反発したものです。

R.Strauss 交響詩「英雄の生涯」〜ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1959年3月2日〜4日DG録音)〜これが戦後始めてのカラヤン/ベルリン・フィルのDG(ドイツ・グラモフォン)録音とのこと。(だからどーした。EMIなら1957年にステレオ録音有)初耳。15年後の録音にも少々仰け反ったけれど、こんな録音を聴いちゃうと”テクノロジーの進歩ってなんだ?”疑問が湧くくらいの鮮明なる音質、駅売海賊盤v.s.mp3音源自主CD化にて音質云々などオーディオ界の嗤い者に間違いなし、ちゃんとした正規音源+壱百萬圓超・高級オーディオだったもっと凄いのか!充分想像力駆使して、音質演奏堪能いたしました。音録りの思想か、こちらわずかに渋さを感じさせるサウンド、まだ旧世代の影響残っていて、カラヤン色に染まらぬ前なのかもしれません。いずれ、1974年録音になんら遜色ない圧巻の迫力、推進力、色気に驚かされました。好みで言えばこちらかも。

(2013年5月1日)


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written by wabisuke hayashi