R.Strauss 「メタモルフォーゼン」「アルプス交響曲」
(ルドルフ・ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン)


EMI 7243 5 73621 2 2  9枚組3,762円 R.STRAUS

メタモルフォーゼン(1973年)
アルプス交響曲(1971年)

ルドルフ・ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン

EMI 7243 5 73621 2 2 9枚組3,762円

 ルドルフ・ケンペはR.Straussを十八番(おはこ)としており、シュターツカペレ・ドレスデンとの9枚組(偉業!)とは別に単発の録音も数枚残っております。「英雄の生涯」「ツァラ」等、いくらでもオケの華々しい効果を狙える作品が多い中、むしろ地味な存在と認識さている録音でしょう。購入幾数年、棚中に眠っていて、真剣に集中して全部は聴いていないものでした。この収録作品には各々、1960年代の録音も存在します。

 「23の独奏弦楽器による習作」と題される「メタモルフォーゼン」は、1945年黄昏ていく独逸帝国への哀歌、といういかにも風コメントが付けられても仕方がない諦念の雰囲気溢れる名曲(ホンマの趣旨は?らしい)。「英雄交響曲」中の「葬送行進曲」がモティーフになっているんですね。クレンペラー盤が約28分(じつはこの作品、ほとんどこれしか聴いたことはない/正規盤購入済)、こちら25分〜ぐいぐいとした推進力と感情の起伏、陰影が深く刻まれた演奏となります。

 ドレスデンのブルー系涼しげな弦の魅力満載。弦だけの淡彩なる作品、と思ったら大間違い、複雑なる声部の絡み合いから、驚くべき奥深いサウンドを引き出します。細部は極めて明快。

 「アルプス交響曲」との出会いはルドルフ・ケンペ/ロイヤル・フィル(1966年)豪華装丁LPとなります。これは圧巻だった!これこそ古今東西、著名演奏家が腕自慢に取り上げる作品だろうが、この1971年録音はオケの技量を前面!豪華絢爛派手ハデな方向ではありません。ドレスデンの滋味深いサウンドはあくまで清涼であって、艶々としない。金管が高らかに、金属的に咆哮しません。先ほどコメントしたように弦はブルー系の磨き上げられた艶消しサウンドを誇り、木管金管とも驚くほど深みと含蓄、余韻のあるエエ音で鳴っております。最高。

 威圧とか無理矢理なテンポの揺れ動き皆無。表現としては粛々淡々としてムリはない。力感や迫力、スケールに不足はないのに、なんとなく”静かな演奏”風イメージとなります。「山の牧場 Auf der Alm」に於けるカウベルの効果的なこと!流れは自然であって牧歌的、聴き手をいつの間にか、アルプスの涼やかな頂きに誘って下さいました。「頂上にて Auf dem Gipfel 」の達成感は万感胸に迫ります。「雷雨と嵐、下山 Gewitter und Sturm, Abstieg」ここでも大爆発!とは感じないが、情景描写の上手さは出色。塩分控え目だけれど、上品なダシと香りでいただく極上料理風。

 EMIのドレスデン録音は成功していないことが多いんだけれど、ここでの自然さを絶賛しても良いでしょう。時、あたかも猛暑の夏、季節に相応しい涼風を感じさせる作品、演奏でした。

(2009年7月18日)

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written by wabisuke hayashi