2009年8月金沢にて

猛暑を乗り切る体力作りへ


 やってきました、本格的夏。強烈な猛暑、不快感極まる湿度。ここ数日、死んでおります。

 2年半前、マネージャー職を降りてサラリーマン生活ラストの転勤、見知らぬ街に転居、女房殿とも相次いで噂の猛暑に力尽きました。それからずっと体調悪いんだよなぁ、ぐずぐず。酒席も出張もほとんどなくて、職住接近、そもそも残業らしい残業もほとんどなし。ゆったりノンビリした生活なのに。基礎体力の減退か。そこがどんなところであれ、住環境や職場が替わればご当地の文化、風習、歴史に馴染むのに時間が掛かるのも当たり前。さらに華麗なる加齢もあってノーミソ硬くなりつつある自覚もたっぷり有、当初お仕事ぼろぼろ〜四苦八苦だった記憶も遠く、ここしばらく妙に調子がよろしい、職場での存在感、取引先との信頼関係もしっかり、以前と変わぬ愉しい日々となりました。

 一年半後に迫る引退後、再就職とか、ボランティアとか具体的にはなにも考えてないけれど、その筋のウェブサイトに曰く

サラリーマン退職前ラスト5年のお仕事がすべて(それ以外に価値はない)
 昔取った杵柄って〇ソの役立たんのだね、いまどき。ウチの職場は不況時にも定期的な採用を続けて、ちゃんと次世代人材育成できているんですよ。役員以外は56歳役職定年、否応なくマネージャーから降ろされるんです。つい先月まで先頭に立っていた(昔馴染の)営業本部長も、あっという間に別部署の一担当でっせ。お給料もそれなりに下がるのは当たり前。そして、次の世代からちゃんと幹部が競り上がるんです。組織として正しい健全な姿でしょう。

 自分は関西方面で営業の現場責任者、これが見知らぬ縁の薄い名古屋方面に異動となって、折からの合理化、引退したヴェテラン・パートさん(補充なし)の実務も含め全部自力更生せよ、営業先はぐっと小さなところへ、とにかくなんとかしてね!って、そりゃ苦労しますって・・・結論的にこれがよかった。エエ勉強、ノーミソ鍛錬、久々の基礎実務訓練鍛錬になった。

 いままでは事前段取り組んで、指示して、若い者やスタッフに処理してもらって、点検して、修正して、実践、結果検証して評価して報告して、問題あれば取引先にお詫びして・・・それを全部、自分ひとりでなにもかも。 これが1-2年経ったら滅茶苦茶オモロい。膨大なる諸実務作業手順の分析、合理化、鍛え上げたパソコン・ネットワークのワザ駆使、相手の空気を読んで抑制厳選した営業トーク、カユいところに手の届く信頼関係、快速実務処理、返答は徐々にツボにはまって、職場内外、取引先との関係も極めて良好、出勤するのが楽しい日々が戻って参りました。

 それでも定年後延長雇用申請は考えておりません。もうエエでしょ。職場にジャマでっせ、老兵は。自覚してますよ。

 閑話休題(それはさておき)。

 やはり体調はよろしくない。とくにここ数カ月、女房殿のお仕事が軌道に乗って忙しく、食生活が乱れました。偏食+喰い過ぎ太り過ぎ。酒の機会は少なく、生涯無煙、規則正しい生活(早朝「音楽日誌」更新+ミニ・ジョギング+ちょろ・ウォーキング+ストレッチ)も全然効いていない体重増。睡眠不如意。そして話は振り出しに戻る・・・ご当地の猛暑(という安易な表現さえできぬ)に耐えられない。

 ある日、自宅より徒歩数分のスポーツクラブに「入会金無料キャンペーン」のポスター有。ネットにて詳細調べると、都度利用会員会費1,000円/月、利用する度1,000円也、そうか週一回月4回通って5,000円(以上税抜)か、けっこう安いな。5年くらい前迄は法人契約のスポーツクラブに週一回、通っていたんですよ(都度1,300-1,500円+交通費)。大阪〜博多〜岡山〜尼崎ずっと初心者エアロビクスやらヨガ風なもの続けて現在しばらく中断、久々のスポーツ施設へ復活。

 噴き出る汗尋常ならず、ヘロヘロに上がる息、痙攣する脚、インストラクターの動きにはぜんぜん付いていけない生来の運動音痴〜ヒドいもんでっせ。しばらく心肺に正しい負担を掛けていなかったんですね。手足の先まで酸素が行きわたっていなかった。シャワーを浴びて(残念風呂がない)帰宅したら、しばし呆然・・・人間油断すると安易な生活を送ってしまうもの。毎土曜昼から(超初心者向)カンタン・ビクス、週半ば水曜夜に初心者エアロビクスがあるので、それも通いました。仮に週2回真面目に通っても月壱萬圓になりませんから。これで体調快復できたら安いもんでしょう。7月は7回通いました。ちょっと出来過ぎ。

 このくらいの贅沢許してね。まだ一か月、それでも眼に見える効果はかなりのもの。元気に乗り切りますよ、厳しい夏を。

 先月のヴェリ・ベスト。暑いからいっそう集中力は減退気味。

ARTENOVA 74321 95999 2   590円R.Strauss メタモルフォーゼン/最期の4つの歌/オーボエ協奏曲ニ長調〜デイヴィッド・ジンマン/トーンハレ管弦楽団(チューリヒ)/メラニー・ディーナー(s)/シモン・フックス(ob)(2002年)・・・Mahler 辺りと並んで近代管弦楽の精華、美しい旋律と華やかなサウンドを誇るディジタル時代の売れ筋でしょう。フリッツ・ライナー以来、優秀なオーケストラと音質を誇る録音はズラリ揃って選択に困るほど、ジンマンの世評は高いですね。これは作曲者最晩年、人生の諦念を深く感じさせる静謐な作品取り揃えて、得難い一枚であります。複雑多岐な和声がもの哀しくも淡彩に絡み合う「23の独奏弦楽器のための習作」、初演は戦後間もない1946年(現代音楽の雄)パウル・ザッハー/コレギウム・ムジクム・チューリヒ。淡々とスリムな響きにニュアンスは細かく、粛々と音楽は進んで感銘深い29分也。

メラニー・ディーナー(s)って瑞西の人?来日もしておりますね。ここ最近、エマ・カークビーばかり聴いていたので、のびのびとして素直な声、雄弁な押し出しに圧倒され、一方で記憶に鮮明なシュヴァルツコップの濃い情念みたいなものとはずいぶん違う、との感慨もありました。オーボエ協奏曲も含め、壮大な夕暮れを眺めている気分に至って感無量。

BRL93091Vivaldi「人間的情熱」/ヴァイオリンのための5つのヴァリアント曲/ホ短調 RV.277「お気に入り」/ニ長調 RV.234「不安」/ハ短調 RV.199「疑い」/ホ長調 RV.271「恋人」/ハ長調 RV.180「喜び」/ト短調 RV.153「変わり者」〜ジュリアーノ・カルミニョーラ(v)/ソナトリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ(1994年)・・・往年のイ・ムジチ辺りのイタリア・バロックも好きですよ。最近流行りのアクロバティックな古楽器系ばかりを称揚するつもりもないけれど、ヴィヴィッドな躍動、艶やかなヴァイオリンの色気(もはや古楽器が粗野な音色であるとは云えない)、浮き立つような明るい旋律リズムを聴いていると、これぞヴェリ・ベストと確信いたします。ここ最近、若いころ堪能した往年の名室内アンサンブルも、ちょっと色褪せて聴こえぬこともない・・・

これはLP時代のデザインBrahms ピアノ協奏曲第1番ニ短調〜クラウディオ・アラウ(p)/カルロ・マリア・ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団(1960年)・・・苦手意識はほぼ消えたBrahms 、巨大なピアノ協奏曲2作品は例外的に若い頃からずっとお気に入り。リファレンスはカーゾンかな?出会いはルービンシュタイン(ラインスドルフLP)だったと記憶します。クラウディオ・アラウ(1903ー1991)のレパートリーは広いですよ、どれもまったり地に足の着いた落ち着きを感じさせ、期待を裏切ることはない。この巨大なる協奏曲(旧録音)も冒頭オーケストラの威圧感はジュリーニの練り上げられたマイルドな響きに抑制され、しっとりと落ち着いたピアノは走らない、煽らない、叩かない。ぴかぴかクリアな音質とは云えぬけれど、雰囲気たっぷりな味わい風情に溢れます。馬齢を重ねると緩徐楽章への嗜好が強まるのもの、第2楽章 「Adagio」の静謐深淵は絶品。第3楽章 「Rondo: Allegro non troppo」は蒸気機関車が疾走するような作品は、リリカルに響いてバランス感覚抜群、いろいろ聴いてきたけど、これはヴェリ・ベストじゃないか。(世評高いギレリスは聴いていない)

NAXOS 8.557060Beethoven 荘厳ミサ曲 ニ長調〜ケネス・スカーマーホーン/ナッシュヴィル交響楽団/合唱団/ロリ・フィリップス (s)/ロビンネ・レドモン(ms)/ジェイムズ・テイラー(t)/ジェイ・バイロン(bbr)/メアリー・キャスリン・ヴァン・オズレイル (v)(2003年)・・・偶然発見した音源也。作品との出会いはカール・ベーム(1955年)LP2枚(ヘリオドール)でした。ちょいと四角四面生真面目ご立派な風情は、日常安易に聴けぬもの、ベネディクトゥス(Benedictus)にヴァイオリンのオブリガートを伴うところは、Beethoven が書いた旋律中屈指の美しさを誇るもの。

久々の拝聴は、ケネス・スカーマーホーン(1929-2005/シャーマーホン表記が日本では多い)はナッシュヴィルのホールに名を残したほど敬愛されたらしい。ここでの演奏はNAXOSに録音を決意させたことを納得できる、驚くべき熱気!そりゃ、一流独墺系オーケストラの奥深いサウンドにを思い起こせば少々響きに洗練は足りないけれど、声楽ソロ合唱団とも充実し、高揚した歌声連続、一気呵成にラスト迄連れて行ってくださる集中力。スカーマーホーンの統率力に脱帽、ライヴではないようだけど、ほとんどそんな感じ、期待の「ベネディクトゥス(Benedictus)」の神々しい風情に感極まりました。やはり「歌」の入った作品には聴き手の情感を呼び覚ますマジック有。

(2015年8月1日)


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written by wabisuke hayashi