2006年7月北海道の夏

パラダイムの転換(枯れつつある日々)


 日々淡々と代わり映えせぬ生活を繰り返して、2015年は半分過ぎ去りました。お仕事は順調でっせ。この調子だとあっという間に一年半後(現職場)引退がやってくるのでしょう。女房殿のお仕事がいちおう軌道に乗ったので、現在の賃貸マンション(社宅扱い)から出て、どこか長久手市内に住まいを見つけなくては。この辺りは人気エリア、なんとかリーズナブルなのはないのか。

 再就職とかボランティアとか、な〜んも先は見えていませんよ。なるようにしかならない。暑い夏がやってきました。まず、体調を整えること最優先。7月よりご近所スポーツ・クラブ契約しました。

 表題ムツかしげな言葉を使ったけれど、もともとの意味はちょっと自分の理解と違うみたい。My ParadigmというかMy Boomのほうが近いかも。音楽好き(日常聴くのはクラシックが多い)なのは変わらぬけれど、子供のころからLP(今となっては郷愁のみ)+カセットテープ(若く貧しかったころはFMエアチェック大活躍/最近見掛けなくなりました)→そして怒涛のCD時代へ。虹色に輝く盤面が美しかった。MDやDATの寿命は短くて、21世紀に入ったらCD価格崩壊〜似非金満中年は好きなだけ入手可能となって、かえってちゃんと大切に、ていねいに音楽に対峙しなくなりました。若いころの渇望感を後ろ向きに癒しただけ。

 毎週末ご近所BOOK・OFFやら、全国あちこち出張するたび”出物CD”を発見して興奮した日々は夢のよう。ここ7-8年は処分ばかり、最初は一枚ものCD処分して財源つくり→値下がりした全集ボックス再入手、やがて処分そのまま在庫削減一方に、CD収納棚は大小中4本→大2本(実質大1本)迄削減しました。もう一枚物CDはいくら安くしてもオークションでは動きまへん。送料のほうが高く付くんです。

 ここ5-10年ほど一気にネット時代(世間的にはスマホ中心)に至って、”音楽はデータで聴く”時代に至っても、わざわざ自主CDに焼く手間暇掛けて悦に入った日々を過ごしておりました。最近、その自主CDももうエエかな、と。(CDR50枚ほど不良在庫化)ネットから音源入手したら、そのままコンポに電波を飛ばして聴くパターンへ。自主CDとはかなり音質水準鮮度が違う!んもう圧倒的。

 つい先日、大学時代の親しい先輩にゴッソリ100枚単位、プレゼント(ムリヤリ処分)しましたよ。5-6年に渡った自主CDから卒業しました。(在庫あるものは聴くけれど)

 データファイルは現物というか実態、ブツが手許にないでしょ?そこが不安といえば不安。LP時代からの流れ、慣れ、ジャケットの顔(絵)で音楽を認識している癖はあるんです。解説は必要なし、なんせLP時代から激安輸入盤好き、ガイコク語は堪能じゃないし、別途書籍やら、ネット時代にはいくらでも内容詳細調べは付くようになりました。とにかく”顔”がないと、印象記憶に留まりにくい・・・仕方がないから【♪ KechiKechi Classics ♪】にて毎日(すぐ失念する)ノーミソの補完しております。

 2013年、青天の霹靂(おそらくサラリーマンとしてラスト)転勤転居、ご当地・長久手市は人口5万ほど、全国屈指の若い街、職住接近はエエけど、どこにも出掛けず出不精極まって挙句、音楽会にも滅多に行かなくなりました。徒歩20分ほどのホールさえ気分的には遠い、演奏会を失念すること数回。堕落しております。録音芸術は時空を超えて世界最高水準の音楽を体験できるけど、所詮、音楽の缶詰、レトルトパックでっせ。リファレンスは生演奏に限ります。どんな優秀録音、高級オーディオより鮮度ぴかぴか。

 ここからなんとかせんとなぁ。心入れ替えましょう。

 このたび、Bach 全集(155枚)、Beethoven 全集(87枚)のボックスを処分いたしました。(ボックス物だったらオークションで動くんです/入手した金額以上で売れました)著名主要作品は棚中に基本CD取り揃え、必要に応じて取り出す旨だったけれど、それはもうネットからデータ音源で用は足りると気付きました。身辺整理はじょじょに進んで、ほとんど欲しいものはありません。女房殿のスマホはすっかり定着したけれど、うらやましいとも思わない。

 先月のヴェリ・ベスト。体調崩し気味に集中力ダウンなのは先月同様。

NAXOS 8.550202Mozart ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466/第13番ハ長調K.415(387b)+ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467/第12番イ長調K.414/第14番 変ホ長調K.449〜イェネ・ヤンドー(p)/アンドラーシュ・リゲティ/コンチェルト・ハンガリクス(1989年)・・・昨日一昨日と拝聴しておりました。馴染みのニ短調協奏曲K.466(ハ短調K.491と並んで屈指の劇性を誇る/一番人気かも)、ハ長調協奏曲K.467(映画「短くも美しく燃え」名訳!)はもちろん、ハスキル以来お気に入り作品となったハ長調協奏曲K.415(バックにトランペットとティンパニが入ったほうが印象華やか)いずれ、しっかり芯のある瑞々しいピアノの音色、響き、華やかではないけれど、質実な技巧を誇って丹精かつ飾りの少ない表現、知名度の薄いオケ指揮者もていねいに味わい深い完成度。音質も良好。

発見は、変ホ長調協奏曲K.449終楽章「allegro ma non troppo」気紛れかつ自在な旋律リズムの軽快さ、粋な風情。第22番変ホ長調 K.482終楽章「Allegro」はもっとシンプル、映画「アマデウス」にて、ヴォルフガングが朝帰りの場面に流れていたと記憶するけれど、そんな(やや浮足立った)喜ばしい音楽であります。イェネ・ヤンドー(1952-)は知名度さておき、膨大なレパートリーと録音を誇る現代の名手であります。珍しく実演も聴いておりました。

NAXOS 8.553532Messiaen 「鳥のカタログ」(最初のみ/キバシガラス(黄嘴烏、Le Chocard des Alpes)/キガシラコウライウグイス(Le Loriot)/イソヒヨドリ(磯鵯、Le Merle bleu)/カオグロヒタキ(Le Traquet Stapazin))〜ホーカン・アウストボ(p)(1996年)・・・別途抜粋(1988年)を所有していて、同じものかなぁ、ずっと悩んでおりました。全曲再録音してくださった成果だったのですね。若いころはMessiaenのピアノ作品にぜんぜん歯が立たなくて(「嬰児イエスにそそぐ20のまなざし」1993年)十数年放置プレイ(阪神大震災の数日前、三宮のタワーレコードにて入手)、ところが華麗なる加齢に嗜好の変化著しく(ここ最近)感動に目覚めておりました。

起承転結のない音楽、鳥の声の詳細分析(作曲者の弟子筋である木村かおりさんが練習していたら、窓の外で鳥が啼き交わしたという逸話有)模倣、それは自然の囁きであり、宝石が溢れるようにキラキラ感性に訴える快感。日本人は鳥の声を右脳で捉えている(言語と認識している)そうで、じゃ、この音楽も結論的に右脳で聴いている?心の奥底、疲労しきった時に聴くべき、珠玉のような繊細なサウンドが無限に広がって、素晴らしい環境音楽(?)音質も抜群です。

Orfeor 208891ABruckner 交響曲第7番ホ長調〜コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団(1987年ライヴ)・・・偉大なるクーベリック(1961 - 1978) の後を受けてコリン・デイヴィス(1982 - 1992)時代のバイエルン放送交響楽団の評判はイマイチ?録音はけっこう残って(いくつか聴いた範囲)どれも立派なものと感じます。Orfeoの録音にあまり佳き印象を持っていないけれど、これはエエ感じの臨場感有。テンポは中庸、オーソドックス奇を衒わぬ表現、ここ数年チェリビダッケ数種やたらとテンポ遅いのばかり聴いていたので、嗚呼これが本来の姿だっけ。南独逸の暖かいオケの響き、各パート特に木管の深い響き、艶消しな金管も理想的〜ワタシはベルリン・フィルより好きですよ、このオケ。

おそらくはコリン・デイヴィスの意思により、第2楽章「Adagio,Sehr feierlich und sehr langsam(非常に荘厳に、そして非常にゆっくりと)」と第3楽章「Scherzo,Sehr Schnell(非常に速く)」を入れ替えて演奏しております。つまり悠々と長大なる第1楽章「Allegro Moderato」のあとに躍動する「Scherzo」がやってきて、そのあと荘厳重厚たる「Adagio」(クライマックスに打楽器入)〜すると終楽章「Bewegt, doch nicht schnell(運動的に、あまり速くなく)」の据わりがとてもよろしい。第7番は大好きな作品だけど、終楽章がどーも落ち着かない、いつもそう感じておりました。前2楽章が大きく、重く、後半2楽章が尻切れトンボみたいな感じ、これがみごとに解決されます。終楽章の軽妙さ明るさは、この作品のキモである深遠なる「Adagio」との対比によって初めて生かされる、といったところか。

RCA BVCC-707R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」/歌劇 「ばらの騎士」組曲 /交響詩「ドン・ファン」〜ロリン・マゼール/バイエルン放送交響楽団(1995年)・・・コリン・デイヴィスの流れ、その後のバイエルン放送交響楽団を確認したかったもの。そういえばコリン・デイヴィス迄、現役のマリス・ヤンソンスの録音も聴いていないかもしれない。(今は亡き)RCAと云えば40年前驚異のフリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団。ディジタル時代に至ってそれに比肩する水準の演奏、録音を目指したのでしょう。正直なところ(若いころを除く)マゼールの印象は「つくり過ぎいじり過ぎ」〜とくにピッツバーグ交響楽団との録音からの印象でした。

これが極上の音質、残響も低音も少なめ、各パートの存在がリアル誤魔化しなしに浮かび上がって、オケの実力も健在です。とくに木管金管が好きやなぁ、暖かくて質実そのもの。例の如しかなり揺れ動いて、強烈華やかに自己主張するマゼールのスタイル、これが作品個性とみごとにマッチして、近代オーケストレーションの効果抜群に発揮、濃厚にして緻密、わかりやすく聴き手を夢見心地に誘ってくださいます。耳の快感、これは表層に流れるといった意味に非ず、オケのサウンド(ホルンの朗々と深い響き!)に痺れましたよ。先月、ライナーの太古強面録音を拝聴しつつ、昔を懐かしがってばかりじゃあかんよね、そんな感慨も・・・その回答がここにありました、って、もう20年前、マゼールも昨年2014年に亡くなってしまったけれど。

CDA67816 HyperionMessiaen トゥーランガリラ交響曲〜ファンホ・メナ/ベルゲン・フィルハーモニー/スティーヴン・オズボーン(p)/シンシア・ミラー(オンド・マルトノ)(2011年)・・・ BPOはベルリン・フィルに非ず、かつて非力なオケとの印象があって、久々の拝聴となります。ファンホ・メナ(1965-スペイン)はBBCフィルの首席指揮者だそう。荒唐無稽巨魁な規模、輝かしく華やかかつ繊細な色彩”交響曲”は大好き、アンドレ・プレヴィンのが演奏録音とも最高と思っているけど1977年録音、もう38年前でっせ。こうして次世代の演奏を聴いてあげるのも大切なこと。

これが先入観一掃、このオケも凄く上手くなった。実演に接するとわかるけど、コレそうとう難曲でっせ。大昔ルイ・ド・フロマンの少々いただけない録音を聴いた記憶もあるけれど、最近のベルゲン・フィルにオケの弱さ、薄さ、技術的な不備は一切感じさせぬみごとな充実感。ゴージャスな厚み、華やかな響き、メナの統率力のたまものか、全曲長大なる作品がクリアにわかりやすい。データ拝聴は必ずしも最良の音源ではない(.mp3/299kbps)っぽいけど、ワタシ如き貧者のオーディオには充分な鮮度にて鳴り響いて下さいました。ピアノの壮絶な活躍、オンド・マルトノの神秘なサウンドに心奪われる神(ネ申)作品也。文句なし。こんな作品も日常となりつつある21世紀であります。

ASM15Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」(1913年初版)/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911版)〜フランソワ=グザヴィエ・ロト/レ・シエクル/ジャン=ヒサノリ・スギタニ(1892年エラール製ピアノ)(2013年)・・・これは一度拝聴したかった!子供の頃、ブーレーズ(1969年)との衝撃の出会い以降お気に入り作品、リズムの正確さ、細部解像度のクリアなこと、オケの技量を問われる技巧と”歌”の両立〜こちら初演の風情を再現したロトの録音は、もちろん当時とは比べ物にならぬ技術の進歩は前提でしょう。(「春の祭典」初版の違いがどこにあるのかド・シロウトは勉強不足)いずれシンフォニックに整った演奏スタイルから程遠い、さっぱりとしたフレージング、薄く、軽く、淡い色彩感溢れる世界。打楽器群の強烈な低音!ド迫力!からも遠くて、もともとの露西亜方面の野蛮な音楽風情にも非ず、当時のサウンドってこんなんだった?みたいな知的想像力やら興味をソソる点ではBach やらMozart に於ける古楽器演奏と同様、いかにも仏蘭西(思い込み?)風ヤワななテイスト溢れて新鮮そのもの。

日系人と想像されるピアニストも、そりゃ技巧のキレは最高なんだけど、例えばちょいと昔ならポリーニ、最近ならユジャ・ワンとか壮絶な切迫感切れ味とは雰囲気ぜんぜんちゃいますよ。ぽってりとした柔らかい、暖かい音色。フランソワ=グザヴィエ・ロトって、南西ドイツ放送交響楽団のシェフでしょ?21世紀にこんな新しい才能が出現するのだな。エエもん聴きました。

(2015年7月1日)


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written by wabisuke hayashi