Messiaen トゥーランガリラ交響曲
(アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団)


EMI 50999 2 06867 2 7 Messiaen

トゥーランガリラ交響曲

アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団/ミシェル・ベロフ(p)/ジャンヌ・ロリオ(オンド・マルトノ)

EMI 50999 2 06867 2 7   1977年録音

<メモ>
・オークションにて2枚組1,000円ほどにて入手直後、EMIから格安ボックスが出て悔しい思いをしたこと
・目も醒めるほど音質極上であること
・ネットにて”トゥーランガリラ専門”風サイトを発見、プレヴィン盤への厳しい評価を拝見して、人様の嗜好も様々だな、と感じたこと。
・そもそも、こんなワケわからん作品聴くな、的ネット上言及も発見したこと
・もともと、”宝石箱をひっくり返したような”華やかな作品は大好き。生演奏体験して、よりいっそう好きになったこと。
・オンド・マルトノの”ひゅ〜ん”みたいな音、素敵、最高。
・ピアノの壮絶な技巧+ハデハデしい打楽器大活躍!も爽快。
・プレヴィンって、やっぱり素晴らしい!ロンドン交響楽団が上手い!こんな近現代作品でも穏健派、色彩豊か、力みがない・・・
・これだけ堪能できれば、出費は充分ペイした、というべき

 作品詳細はWikiを参照のこと。その中に、”アマチュアによる・・・関西での最初の演奏は2009年(平成21年)8月22日、森和幸指揮SNS管弦楽団、大谷祥子のピアノ独奏、市橋若菜のオンド・マルトノ独奏により、尼崎で実現”って、当時偶然、地元に居住していたのもなにかの縁、しっかり拝聴させていただきました。FMエア・チェックの時代から、ホルスト・シュタイン辺り、かなりマニアックな音源も聴いていた・・・との記録はあるけれど、既にとんと記憶ありまへんな。ド・シロウトによる【♪ KechiKechi Classics ♪】的コメントは上記粗筋メモに尽きます。

 たった今現在、猛暑なる8月。お仕事ユルいし、職住接近、環境空気清涼故、体調例年よりずっとマシとはいえ、音楽に集中するには少々厳しい季節に選んだ作品・CDはこれ。SACD専用ディスクでは凄まじい音質らしいとの噂、こちら恥ずかしくも貧者のオーディオ環境(先月少々改善)でさえ、それは類推できる自然な音場、各パート定位のたしかさ、各種打楽器の存在感、ヒステリックにならぬ高音の伸び、不自然に過ぎぬ低音の迫力、静謐な部分での細部明快な存在感・・・最高。久々、音響の渦に痺れました。こんなドキドキ感銘何年ぶり?80分は短いでっせ。

 話芸(講演、プレゼンテーションも同様)には間とオチは必須、しかし音楽だったら起承転結、かっちりとした構成より、いろいろなエピソードが延々と続く作品が嗜好です。そうか、こんな一見、自在なる作品にもド・シロウトには理解の及ばぬ緻密な計算があるのでしょう、きっと。

 第1楽章 序章 Introduction始まりました。金管群のシンプル劇的切迫する音型吹奏を基本に、いきなりピアノ、多種多様な打楽器、そしてオンド・マルトノの妖しげなサウンドが絡みあいます。ピアノは幻想的であり、多彩であり、全編に渡って大活躍!なのは実演に接するといっそう理解可能。サウンドは複雑ながら、意外と繰り返しが多くてわかりやすい。ラスト、ずどん!一撃にて終了。第2楽章 愛の歌1 Chant d'Amour 1は明るく、華やか。高らかな金管絶叫に対し、オンド・マルトノの静謐かつ美しい旋律(これが愛の歌)が対比され、ユーモラスな打楽器が合いの手を入れております。ピアノも打楽器的な扱い、とくに低音のリズムは衝撃的。ここも繰り返しが多くて、慣れると様子がちゃんと見えてくるところ。後半、打楽器の切迫感強調され、大太鼓?の低音はオーディオ的にも聴きどころ。

 第3楽章 トゥーランガリラ1 Turangalila 1は、静謐なオーボエにて開始。やがて不安げな金管の叫びにピアノ、オンド・マルトノ、打楽器が絡んで危機が迫る感じ。やがて危機は増幅し、ゆったりとした歩みながら全パートによる(わかりやすい)前進、そして冒頭静謐なオーボエが回帰。対比が上手いですね。ほとんど旋律らしい旋律のない、幻想的きらきらリズムの刻みも印象的。主役はピアノでしょう。第4楽章 愛の歌2 Chant d'Amour 2は、オンド・マルトノを主旋律として”愛の歌”が纏綿と繰り返され、ピアノ、種々打楽器の装飾が華やかに支えます。複雑多彩な響き、リズムは細部迄明快に分離し、ここは音質条件が必須のところ。途中、かなり壮絶なピアノ・ソロが出現、そして第1楽章の金管群のシンプル劇的切迫する音型も回帰、この辺り、聴き手にとっては旧知の人に思わぬところで出会った、みたいな安心感があるものです。

 第5楽章 星たちの血の喜悦 Joie du Sang des Etoilesは単独でも演奏されることがある、全曲のハイライト。明るく、シンプルな旋律、リズムが躍動、熱狂し、完結します。この辺り、プレヴィンのバランス感覚はお見事、賑々しさの中に適度な抑制を感じます。第6楽章 愛のまどろみの庭 Jardin du Sommeil d'Amourは、題名通り。オンド・マルトノと弦が奏でる”愛のまどろみ”に、ピアノ、打楽器が複雑な陰を作り出して支えました。淡々静謐、甘美。この辺り、ほとんど”前衛風”に非ず。

 第7楽章 トゥーランガリラ2 Turangalila 2はピアノの躍動するソロ(かなり長い!複雑)から始まって、打楽器(+チェロ・ソロ)大活躍、キラキラしているけれど不安な風情。しかも大音量ではない。ここもオーディオの活躍しどころ。やがて金管冒頭のシンプル旋律の変形登場し、不安なる風情ピークに達して、ずどん!一撃終了。第8楽章 愛の敷衍 Developpement d'Amour〜敷衍(ふえん)ってフツウ読めまへんで。趣旨をおし広げて説明すること、ってDeveloppementって、英語でも似たのありましたね。いままでのエピソードが集大成されたような、金管冒頭のシンプル旋律ますます変形して、序奏にかなり似ております。なんとなく作品の終わり接近を予感させる華やか、賑々しさ、安定感有。

 第9楽章 トゥーランガリラ3 Turangalila 3も静かなオーボエ、そしてフルートにて開始。”トゥーランガリラ”というのはこのパターンなのかも。やがてユーモラスな木魚(風サウンド。これがあちこちエエ感じの合いの手になっております)〜キラキラ(チェレスタも活躍)サウンドが粛々と継続。第10楽章 終曲 Finalは、第5楽章 星たちの血の喜悦に似て、華やかな締めくくりに相応しい、雄弁な高揚がありました。基本的に無調な作品なのに、ちゃんとラスト”終わった”感のあるまともな和音なのもサービスか。オンド・マルトノも大活躍。

 全体CD一枚に収まらない。プレヴィンはじっくり細部描き込んで、しっとり仕上げております。ロンドン交響楽団との実りある成果がここに示されております。ほんまに上手いオケだ。

(2013年8月3日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi