Schumann 交響曲全集(Mahler 版)
アルド・チェッカート/ベルゲン・フィルハーモニー



Schumann

交響曲全集(Mahler 版)

アルド・チェッカート/ベルゲン・フィルハーモニー

BIS CD361+394 1987年録音  2枚組980円で購入

 恥多き人生は消しゴムで消したいことばかり・・・自分のサイトはなるべく定期的に見直して書き直しているつもりだけれど、こんな原稿が残っていたのか(↓)。そもそもチェッカートの全集の存在自体忘れていました。なんもワカランのにエラソーなこと書くなよ、ってか。(1999年くらいか)Schumannの交響曲は苦手、って、いつも言っているのにね。(以下Mahler 版の楽譜のことにはいっさい触れること不可)

 ワタシ、相対的得意な第2番ハ長調より。ベルゲン・フィルというのはこれ以外聴く機会はなくて、素直だけれど響きに”芯”が弱い感じ。チェッカートの表現問題かも知れないが、濃厚なる浪漫派表現狙いではない。例えば(例が特殊かも知れないが)バーンスタイン/バイエルン放響(Virtuoso TWICE 70001 録音年不明)だと、ドキドキするほど「誤った情熱」みたいな切迫感が聴き手を追い込むけれど、こちらはずいぶんと平板なる感情(これを平穏と呼ぶべきか?)でしたね。

 「春」「ライン」は人気のある作品だけれど、個人的にワタシは苦手としております。旋律が大衆的過ぎ(言い過ぎだよ!)、響きが濁りがち、繰り返しがくど過ぎ・・・って、コレ純粋に自分の好みですみません。きっとまだ「!」という演奏に出会っていないだけなんでしょう。ところがチェッカートの味わいはずいぶんとちがう。

 ベルゲン・フィルって、例えばオーボエなどはとても美しいし、奥深い厚み〜には少々不足するが、気持ちよく聴けました。「響きが濁りがち、繰り返しがくど過ぎ」なんていう勝手な言い種(=ワタシ)など云々させないで、するする耳に入っていく感じ。ああ、こんな演奏なら聴き疲れしないな、苦労せず全二枚終了。「春」「ライン」もOKです!どんと来い。

 コレ、優秀録音のせいですか?それともMahler 編曲のなせるワザか。でもね、これってやっぱりSchumannじゃないと思います。もっと気紛れで、自由で、奔放じゃないと。ちょっと平和すぎだし、やっぱりオケの自発性みたいなものに不足するんでしょうか。ちょっと苦しみながら、ああ、自分の趣味じゃないな、なんて文句つぶやきつつ、時に「!」な場面ってあるじゃないですか。

 ずず暗い悲劇性魅力の第4番ニ短調も、少々優等生過ぎか。名曲としてのカタチは理解できるが、もっとエグい演奏を既に聴いちゃいました。それでもSchumannはワタシの縄張りに近づきつつあります。めでたい。(2003年10月24日)以下は、数年前の拙文そのまま。


 Schumannの交響曲が、管弦楽の技法としてはかなり無理がある、との話は聞いていました。あの謹厳実直なセルでさえ、自分なりに改訂した楽譜を使っているとのこと。ま、ワタシのようなド素人が、とやかく気にするような話ではありませんが、「Mahler 版全集」というとちょっと気になるじゃありませんか。(未聴ですが、ジュリーニがPOと録音した「ライン」がMahler 版とのこと)

 Schumannの交響曲は、同じようなボリュームなのに、BRAHNSに比べて人気はイマイチ。個人的には、LP時代のセムコフ/セントルイス響(CDも買いましたよ。VOXBOX CDX5019〜田舎臭い雰囲気がたまらない)による全集以来のつきあい。いつのまにか数種類のCDが集まりましたが、すべてが「コレだ!」というような納得する演奏には、なかなか出会えません。難曲揃いです。

 ワタシ楽譜のことなんかわかりませんし、「ふ〜ん、どこがMahler なんだ?」てな感じで聴いていました。録音が自然で柔らかいこと、ベルゲン・フィルのアンサンブルが(意外と)立派で、素朴で素直な味わいが嬉しい演奏でしょう。響きは洗練されませんが、どのパートも技術的に、そう危ういところは見あたりませんでした。チェッカートの力量かも知れません。

 第1番「春」という題名が示すように、明るく希望に満ちた旋律が美しい曲。どこが「Mahler 編曲」なのかは、さっぱりわからない(どの曲も)。全体に響きがすっきりとして、厚ぼったい響きが整理されていることはたしかか。誠実で淡々とした演奏。あまり工夫がないと云うか、これといった特別な個性も感じないまま終わってしまいます。スケールも不足気味、というか自信なさげななところがタマに見受けられる。弦に深みが不足気味。

 第2番は人気が低いようですが、個人的には4曲の中でもっともお気に入り。第1楽章冒頭の深い霧の中から朝日が昇ってくるような神秘感、アレグロのいきいきとした躍動感。スケルツォの細かい弦のパッセージの興奮。最終楽章の圧倒的な高揚。

 オケの技量の真価を問われる難曲中の難曲。ベルゲン・フィルは手堅い演奏ぶり。全体として大人しすぎ、普通っぽい演奏ではあります。面白味に欠ける。(スケルツォは、セルのライヴ〜ERMITAGE〜の異様な興奮に包まれたアッチェランドが念頭にある)

 第3番「ライン」は、その名の通り大河の流れを思わすスケールの大きな旋律が売り物。Mahler 編曲のせいか、ずいぶんオケの響きが透明に鳴っていると思います。ただし節回しはサラリと流してくれないと、クドくて聴いていられない曲。ここでも飾り気のないふつうの演奏ですが、この曲にはそれが決まっていて好感が持てます。活躍するホルンは深く魅力的な響きで技量充分。朗々として立派です。4曲の中では一番の出来。

 第4番は、フルトヴェングラーの情念のような劇的な録音が有名ですし、そのように聴いてしまいがち。リズムがややもっさりとしている感もありますが、繊細で美しい演奏でしょう。腹の底に響くような重さは足りませんが、素直。

 BISのCDはあまり聴いたことはありませんが、隠れた名団体を発掘し、育てていくのが得意のようですね。エーテボリ響とか、ラハティ響、マルメ響、最近ではバッハ・コレギウム・ジャパンとか。ベルゲン・フィルはこれ以外の録音の存在を知りませんが、予想よりはずっときちんとした演奏であり、強烈な個性はなくても「資料的価値」を凌駕する魅力あるCDでした。

 正直云って、たびたび取り出そうと思うような、個性的な演奏ではありません。ま、@500の世界ですから、それはそれとしてありがたく聴きました。


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written by wabisuke hayashi