人生順番交代
ちょうど一年前の「近況」を振り返ると体調不良で苦しんでおりました。今年は連日の筋トレ+有酸素運動+ストレッチの成果=体調は順調です。ワケのワカラんアレルギー症状に洟水盛大は続いていて、一ヶ月前に悪化した左膝も未だ完治してはいないけれど、たいしたことはありません。華麗なる加齢の日々も鍛えれば成果は出るものですね。
10月は大雨台風幾度も来訪、こちらはなんともなかったけれど、あちこち悲惨な、大きな被害はお仕事にも影響があって休日出勤連続、お仕事も一年の山場でした。残業は嫌いなので”必殺早出作戦”強化!これがとうとう協定違反(累積残業)に引っかかってしまって大問題に・・・東京本丸は職場トップを厳しく叱責しても、お仕事は厳然として存在する・・・けれど、時間は短く、お仕事内容は濃密にして乗り切るしかない。継続雇用は安い給料でヒマしとけ、といった建前なのに少々頑張り過ぎました。(たいしたことじゃないけど法令遵守は大切でっせ)
3月に親父が亡くなって(93歳)6歳下の母親は元気そのもの、数年間足腰が弱っていた親父の介護も済ませ、大好きな旅行あちこち、なんて考えていた矢先、先月2019年10月22日急逝しました。特別持病があったワケでもなし、おそらくは心筋梗塞、就寝中静かに亡くなったようです。兄との関係ではこちら、相続放棄をしているし、もとよりフツウの労働者家庭に資産などなし、白老の負動産も数年前に処理済、残された札幌のマンションは兄の名義に変更済。家財道具一式、その処分に苦しむことになりました(兄が)。
優しい両親だったけれど、ちょっぴり鬱陶しい軛(くびき)?孫悟空の頭の輪みたいなものか。親を送るのはこどもとして当たり前だけど、生命(いのち)はあっけなくも儚いもの、兄も自分も葬式では涙もなく淡々としていたけれど、日常生活に戻ると微妙に寂しい気分が続いております。腑抜け状態。人の死を身近に、リアルに感じられて、自分も息子も佳き勉強になりました。
一人息子のお嫁さんが臨月に入っております。母は3人目の曾孫(初男の子)を抱いてお宮参りを愉しみにしていたんだけどなぁ、残念無念。無事元気で生まれてくることを祈りましょう。人生人番交代。
● 恒例先月聴いた音楽のヴェリベスト。昔馴染みばかり揃いました。
●J.StraussU円舞曲「酒女歌」/ポルカ「クラップフェンの森で」/円舞曲「ウィーン気質」/円舞曲「シトロエンの花咲く国」/仲良しワルツ/円舞曲「南国のバラ」*/円舞曲「春の声」*/皇帝円舞曲*/Josef Strauss 円舞曲「オーストリアの村つばめ」*〜ロベルト・シュトルツ/ベルリン交響楽団/ウィーン交響楽団*(録音情報詳細不明)写真は別音源(手持ち画像流用)・・・ベルリン交響楽団はクルト・ザンデルリンクのオーケストラではありません。Robert Stolz(1880-1975墺太利)は往年の作曲家指揮者、昨今のきちんとしたアンサンブル、指揮者のしっかり個性刻印に非ず、もっとユルい粗い?というか、オーケストラも一流じゃなくて(ウィーン交響楽団は一味違うけれど)ゆったりと安易にゴージャスな雰囲気たっぷり、楽しいこと限りなし。誰でも知っている旋律が次々流れて、喜歌劇「こうもり」の旋律寄せ集めた「仲良しワルツ」最高。憧憬に溢れた「南国のバラ」も大好き。
●Brahms 交響曲第3番ヘ長調〜フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団(1957年)・・・幾度聴いて、サイト内検索してみると過去言及がないことに気付きました。Fritz Reiner(1888ー1963洪牙利)の録音にガッカリした経験は一度もなし、他ロイヤル・フィルとの第4番が残されるのみ、全曲録音がないのが不思議。テンションの高さ、切れ味鋭い明快怜悧(過ぎ)な響き、そして明晰な音質に感銘深いもの。
●Bruckner 交響曲第5番 変ロ長調(ノヴァーク版)〜朝比奈隆/大阪フィル(1978年1月25日大阪フェスティバルホール・ライヴ)・・・偉大なる朝比奈隆(1908ー2001)は明治から平成迄駆け抜けた往年の巨匠、現役時代は大阪でいくらでも拝聴機会はあったはずなのに、あまりに世間が騒ぐので敬遠しておりました。後悔先に立たず、こうして亡くなってぼちぼち20年程、あまり上手くないオーケストラ、粗いアンサンブルを堪能して痺れております。Bruckner中もっともお気に入り”巨大なる”第5番にふさわしい”巨大な演奏”。CD一枚に収まるやや速めのテンポ、逡巡ない豪快な一筆書き風、ゴリゴリと粗野に力強く、要らぬ飾りはほとんどないイン・テンポ。40年以上前だと未だ日本では一般にBruckner受容が進まぬ頃、こうして好事家の手により全集が残されたことは驚異でしょう。この時朝比奈翁は70歳!若い。終楽章「Adagio - Allegro moderato」に第1楽章冒頭のテーマが回帰して感極まりました。
●Mahler 交響曲第3番ニ短調〜ジュゼッペ・シノーポリ/シュトゥットガルト放送交響楽団/ヴァルトラウト・マイヤー(a)/シュトゥットガルト賛美歌児童合唱団/シュトゥットガルト放送女声合唱団/ケルン放送女声合唱団(1996年ライヴ)・・・Giuseppe Sinopoli(1946-2001伊太利亜)残念な寿命を終えてそろそろ20年近く、この人は大好きでした。Mahlerは代表的な演目、この第3番ライヴはサイト内検索を掛けても言及がありません。35:49-10:18-16:43-11:15-4:19-25:08 この長〜く美しい、お気に入り作品は幾度聴いているのにね。Weitblick一連のライヴはどれも音質がよろしくて、これはとくに極上、ほとんどライヴとは感じさせぬ音質演奏とも凄い完成度でっせ。
今は亡きオーケストラ(統合されてしまった)は首席指揮者不在の時期、細部明晰クールな描き込み+いやらしいほどの歌に全曲貫く統一感、洗練された充実サウンドにたっぷり満足いたしました。ヴァルトラウト・マイヤーは圧巻の存在感+声楽のバランスも理想的、冒頭ホルンのユニゾンぶちかましから、最終楽章「Langsam. Ruhevoll. Empfunden.(ゆるやかに、安らぎに満ちて、感情を込めて)」万感胸に迫る人生の黄昏、これは自分の葬式用に使っていただきたいほどの名曲。(ちなみに本年3月に亡くなった親父は「奥飛騨慕情」でした)
●Schumann ピアノ協奏曲イ短調(ヴィトルド・ロヴィツキ1958年)/序奏とアレグロ・アパショナート ト長調(スタニスラフ・ヴィスロツキ1959年)/ノヴェレッテ ヘ長調 作品21-1/トッカータ ハ長調 作品7(1959年)/森の情景 作品8(1956年)〜スヴャトスラフ・リヒテル(p)/ワルシャワ国立フィル(p)・・・これもCD整理の結果再発見。最近聴いていなかっただけだけど。1960年前後、リヒテルがDGに残した録音はいずれも音質良好、最晩年迄技巧は衰えなかった人だけど、この当時脂の乗り切った40歳代壮年の記録、しっかり芯を感じさせる強靭なタッチは圧巻のアツい説得力。最高。いつもはぱっとせんオーケストラもソロに煽られたのかみごとな伴奏となっております。浪漫でっせ。最高。
●Bruckner 交響曲第8番ハ短調〜カール・シューリヒト/ウィーン・フィル(1963年)・・・これもLP時代からの愛聴盤。数日前、久々に聴いたもの。音質印象もあるかも知れないけれど、この人がウィーン・フィルを振ると枯淡の響きになるのですね。サラサラとして流れよく、フレージングはスッキリさっぱりしてデリケートなサウンド。詠嘆の欠片もないCD一枚に収まる速めのテンポ、それでも巨大な作品に間違いない。なにか悲劇が始まりそうな第1楽章「Allegro moderato」、「独逸の野人(ミヒェル)」が登場する無骨な第2楽章「Scherzo. Allegro moderato」、天国的な安寧に充たされる第3楽章「Adagio. Feierlich langsam, doch nicht schleppend」、そして重戦車が疾走する終楽章「Finale. Feierlich, nicht schnell」・・・これが威圧感とか重量級とか、そんな風情とは無縁、軽快なノリに一気呵成に聴いてしまうもの。最高。
(2019年11月1日)
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