寿司を握る親父・2005年10月

”ハラに落ちる”という意


 人が亡くなるということ。御遺体は幾度か葬式に参列して拝見しているし、書籍やテレビなどで理屈ではわかっているつもり。”ハラに落ちる”とは情感を伴って理解するということ、”わかっちゃいるけどやめられない”とは植木等の名言。例えば、この人云ったり書いたりしていることは理屈に合っているけど、どーも信じられない・・・ってなことも日常あるでしょう。先月、親父が亡くなって「死」を強く実感したものです。つい数日前にジョーダン交わしていたのに、あっという間に逝ってしまって、約束した好物の土佐文旦が届いたのは葬式が終わった日でした。

 既に書いたけれど、湯灌に立ち会って映画「おくりびと」を思い出しました。神々しかったっすよ、ほとんど湿っぽい涙のない、笑いの耐えない通夜葬式だったけれど、この場面+出棺時にはぐっときましたよ。89歳迄運転をして、周りに説得されてようやく免許返上、徐々に足腰が弱って3年前だっけ?正月の神棚準備中に椅子より転落して大腿部骨折、それから一気に弱ったなぁ。心臓、前立腺がん、そしてなによリ長年の喫煙習慣による肺気腫、幾度入院し、快復し、最期までノーミソがクリアだったのは幸いです。

 自分は学生気分のまま好き勝手なサラリーマン生活を過ごして既に還暦超え、継続雇用な年齢へ。父親を亡くして、ようやく”人生一区切り”、これが”ハラに落ちる”といった実感であります。幸い母親87歳、健在です。立派な兄は比較的ご近所、ちゃんと老母を引き取るべき部屋も準備しているけれど、住み慣れたマンションに住み続けるそうです。5月連休前、平成終わり直前に納骨、また北海道往復、お仕事対応は段取りつけて若いものに代理をお願いしました。

 親孝行とは、まず親より長生きして送ることが基本。さっさと就職、結婚して孫の顔を見せられれば、なんとか80点いただけぬものか。兄のところは曾孫だもんなぁ、女の子二人、可愛いですよ。ウチも11月頃お嫁さんに赤ちゃんが生まれる予定、なんとか元気で無事生まれてほしいもの。(写真は寿司を握る親父。器用な人でした)プレゼントしたワープロ「CASIO HW955」(平成元年=1989年発売/6行表示/ひらがな入力)は平成とともに歩んで役目を終えました。

 職場ではいよいよ本日より、20歳代ピカピカの若者が3人登場します。若い世代と一緒にお仕事できることは、最高の喜び。

 花粉症と葬式で落ち着いて音楽も聴けぬ状態だったけれど、先月のヴェリベスト。

LP時代のデザインBerlioz 幻想交響曲(1963年)/序曲「ローマの謝肉祭」/序曲「海賊」(1965年)〜コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団・・・繰り返し有、第2楽章「舞踏会」にコルネット入り希望、そんな原点となった”幻想”。Colin Davis(1927ー2013)36歳若き日の最初の録音、掲載写真はデザイン性を重視して往年のLPを引用したけれど、懐かしい国内盤紙パック1,700円CD(17CD-116)音質は驚愕の現役水準、奇を衒わぬオーソドックス、溌剌表現がバランスした”美しい”演奏であります。こどもの頃から聴き過ぎて、しばらく数十年単位で苦手としていた作品は、ここ最近その革新的風情に恐れ入って拝聴機会激増中作品であります。序曲の若々しい勢いも相当なもの。

EMI TOCE-14292Gershwin ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人/ピアノ協奏曲ヘ調〜アンドレ・プレヴィン(p)/ロンドン交響楽団(1971年)・・・名手ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(Gervase Alan de Peyer, 1926ー2017)のゴキゲンなクラリネットのグリッサンドが始まったら文句なし、一気に愉しい世界に連れ出された気分。Andre Previn42歳、イケメン伊達男、当時の奥様は女優のミア・ファローだったんじゃないか。どんな華やかな人生もやがて年老いて消えていく運命、誰でも知っているけれど、ピアノの上手いこと!ロンドン交響楽団がゴージャスなこと!かっちりとしてシンフォニックなスタイルは堂々として、美しい演奏を堪能いたしました。最高。合掌。

OEHMS OC705Mozart In Paris J.C.Bach 歌劇「ゴールのアマディ」序曲(シンフォニア ニ長調 作品18-6)/Simon Le Duc シンフォニア 変ホ長調/Saint-George ヴァイオリン協奏曲ト長調 作品2-1/Pierre Montan Berton 新しいシャコンヌ ホ短調/Mozart 交響曲第31番ニ長調「パリ」K.297〜ラインハルト・ゲーベル/バイエルン・カンマーフィル/ユラ・リー(v)(2007年)・・・これはかなり以前より気になって、数度拝聴していたもの。大Bachの末子であり我らがヴォルフガングに大きか影響を与えたJohann Christian Bach(1735ー1782)、あとは同時代の作曲家 Saint-Georges(1745ー1799)はヴァイオリン協奏曲をかなり聴いていたけれど、残るSimon Le Duc (1742ー1777)Pierre Montan Berton(1727ー1780)辺り、とんと馴染みがないもの。

かつて過激な古楽器集団ムジカ・アンティカ・ケルンを率いたReinhard Goebel(1952-)は、交響曲「パリ」(1778年)をメインに、その辺りの作品を集めた意欲的な一枚、躍動する有名な(パリ市民の好みを反映した強弱強調とか)「パリ」をラストに据え、どれも華やかなに躍動する作品、そして古楽器風ヴィヴィッドな推進力。バイエルン・カンマーフィルってモダーン楽器でしたよね、ド・シロウト印象ではまさに”ピリオド”、但し強靭であります。この辺り(今回は仏蘭西中心)例えばマンハイム楽派辺りも大好きな作品ばかり。

■(自慢にならぬ)親父の遺品である”シャネルのジャージ下”(白/おそらくもらいもの)、これがちょっと恥ずかしい足元すぼまった1980年台仕様、一度も穿いていない新品でっせ。

EMI TOCE-16011Bartok 管弦楽のための協奏曲〜セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(1995年ライヴ)・・・ 12:38-8:23-11:00-4:43-11:08(拍手除く)イメージ的に通常テンポより+10分ほど?Sergiu Celibidache(1912ー1996羅馬尼亜)晩年の微速前進スタイル、全編を貫く緊張感+細部几帳面な描き込みは若い頃から変わらないでしょう。オケの名技性を前面に表出した(例えば)フリッツ・ライナーとは異なり、第5楽章「Finale,Pesante - Presto」に於けるアンサンブルの僅かな乱れなど指摘は可能なのでしょう。ミュンヘン・フィルってその辺り(20世紀Modern)あまり録音がありませんもんね。

一昔前は個性横溢なマエストロがたくさん存在して、”一聴チェリビダッケ”と理解できる個性、ほとんど例外なくカッコよい!と思いますよ。大衆的にデフォルメされた民族的な旋律、近代管弦楽技法を駆使したオーケストレーションを入念に、細部たっぷり味付けして、その徹底ぶりに凡百な”上手い演奏”とは一線を画す貴重な経験であります。

(2019年4月1日)

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written by wabisuke hayashi