初孫

続・人生順番交代


 10月に母が急逝して喪中はがきを出しました。先月11月一人息子夫婦に初孫・長男・虎太朗無事誕生。儀礼上はまずいのかもしれないけれど人生順番交代、3月に逝った父の生まれ変わりと信じて、いっしょに案内しておきました。大正15年生まれの父は晩年ノーミソ明晰でも足腰弱って、ある程度覚悟していたけれど、昭和6年生まれの母は直前まで元気な日常生活、3人目の曾孫誕生(初男の子)を心待ちにして、年明けのお宮参りを楽しみしておりました。残念無念。

 兄からの連絡によると、両親の札幌マンションの荷物(遺品)整理に30万掛かるそう。カネの問題より、手間暇がタイヘンでしょう。こちら遠方の次男坊はお気楽でっせ。母の納骨も任せてしまいました。遺産なんかないけれど、既にこちら相続放棄しております。自分は日々トレーニングに励んで体調良好、割当たったお仕事を日々愉しく、職場内外人間関係も良好だけれど、相次ぐ台風被害トラブル対応の結果、残業協定違反指摘されました。誰からも叱責されないけれど、以降厳しく残業を制限されております。(正確には早出残業禁止)両親は死んじまうし、お仕事は制限されるし、孫も無事生まれたし、もう完全引退しようかな?さっさと、そんな考えもよぎるけれど、やるべき”次”がみつかりません。情けない。

 2019年は両親が相次いで逝き、女房殿は4月でお仕事を辞め月の半分ほど大阪の老母のもとへ、そして初孫が生まれました。自分は5月GW辺りから筋トレを開始して(6月→11月でウエスト▲4cm)某アレルギーの洟水以外は元気!と、思ったら左膝悪化+右膝も不調(これは快復傾向)20年ものの左奥歯ブリッジが寿命を迎えて再治療、先月には左一番奥下の”かぶせ”がぽろりと・・・知らず虫歯があちこち(治療中)これも華麗なる加齢なんでしょう。

 年末お仕事は土壇場というか最盛期へ。人材育成には自信がある・・・と勝手に自覚していたけれど、今年任された若い相棒には手を焼いて、数ヶ月で実質見捨てて指導をあきらめました。周りは慰めてくれるけど、内心忸怩たるもの有。大きな人生の区切りだった2019年が終わりつつあります。

 恒例、前月のヴェリ・ベスト。

KKC-5201Bach(Richard Bootby編)ゴールドベルク変奏曲BWV988(ヴィオラ・ダ・ガンバ6本合奏のための)〜フレットワーク(スザンナ・ペル、森川麻子、ライアン・バーン、市瀬礼子、リチャード・タニクリフ、リチャード・ブースビー)(2011年)・・・楽器の特性上速いテンポは採用不可、CD2枚分に及ぶゆったり悠然とした世界が繰り広げられます(90:16)。オリジナルはチェンバロ?現代ピアノによるニュアンス表情豊かな演奏で聴く機会が多い作品、弦楽三重奏版に出会って”どんなに後人の手が加わってもBachはBach”という確信は深まりました。

ヴィオラ・ダ・ガンバ(ヴィオール)は外観は似ていてもヴァイオリンとは別系統の楽器らしい、演奏至難とか。悠然悠々としたサウンド、メリハリ強烈とは無縁なサウンド、目眩く種々変奏には速いパッセージも頻出して、みごとなアンサンブルは超絶技巧なのでしょう。オリジナル以上に眠りを誘う幻想的な世界が続いて・・・”やや風邪”症状へ。

VOXBOX CD5X-3609Mozart ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453(ワルター・クリーン(p)/スクロヴァチェフスキー/ミネソタ管弦楽団1978年)/第20番ニ短調K.466(イングリット・ヘブラー(p)/カール・メレス/ウィーン交響楽団1958年)・・・これもCD断捨離後生き残り5CD組。アルフレッド・ブレンデルの旧録音(第22番25番)ダブっているけれど、LP時代より愛聴しているWalter Klien(1928ー1991墺太利)7曲含んで、これは稀有な価値あるもの。ト長調協奏曲K.453は春の野辺に軽やかなステップを踏み出すような名曲中の名曲、夢見るような第2楽章「Andante」、軽くスキップするように典雅な終楽章「Allegretto-Presto」は美しい変奏曲、やや細身だけど繊細クリアなピアノは絶品。

おそらくは世間で一番人気、情熱浪漫を感じさせるニ短調協奏曲K.466担当はIngrid Haebler(1929-墺太利)の旧録音、やや大味なステレオ初期録音、カール・メレスという洪牙利出身の指揮者も珍しいでしょう。彼女も未だ20歳代、音質印象もあってか濃密な、大きな音楽を作っておりました。

米Period SPLP 510今朝、Koda'ly 無伴奏チェロ・ソナタ 作品8〜ヤーシュ・シュタルケル(vc)(1950年)拝聴。これはハリウッド弦楽四重奏団の自主CD(Dvorak/Smetana)を聴いていたら、余白に収録していたもの。すっかり忘れておりました。噂の第2回め録音、ピーター・バルトーク録音でしたっけ?Janos Starker(1924ー2013洪牙利)26歳の記録、リアルな音質、熱気が迸るような入魂の表現はクールな技巧によって余すところなく支えられる・・・泥臭い民族的粗野な旋律も魅力たっぷり、作品の価値を高める演奏でしょう。

BBC Music Magazine Vol10-12Shostakovich 交響曲第4番ハ短調〜ヴァシリー・シナイスキー/BBCフィル(2000年ロイヤル・アルバート・ホール・ライヴ)・・・幾数十年掛かって苦手意識から抜け出せぬShostakovich、ずず暗く重苦しい第4番は、わかりやすく勇壮闊達な第5番に比べ難解晦渋な印象有。雰囲気風情さておき、これって人気の第5番クリソツだと思います。いくら苦手でもそこは長年聴き続けた成果、細部旋律にかなり馴染んで全貌も徐々に見えて・・・カッコ良い作品!と感じるようになりました。近現代の作品はそれなりの音質+オーケストラの技量必須、その昔旧ソヴィエット辺り劣悪音質で出会ったのがよろしくなかったのか、既に記憶も曖昧です。

Vassily Sinaisky(1947ー露西亜)は現在英国で活躍中?母国でのポストはどれも意外と短命でした。昔から贔屓にしているマンチェスターのオーケストラはけっこう上手いんですよ。ここでもライヴならではの熱気と充実したサウンド、”大きな”作品に相応しい説得力とわかりやすい演奏でした。

DelosBrahms ハンガリー舞曲全曲(Joachim 編)〜サブリナ=ヴィヴィアン・ヘプカー(v)/ファビオ・ビオーニ(p)(2017年)・・・Sabrina-Vivian Hopckerは独逸の若手らしい。余談だけど、この音源にたどり着く前に同作品、ティボール・パウル/ウィーン交響楽団(珍しいだけで昔のモノラル音源を今更聴いても・・・データ廃棄)イヴァン・フィッシャー/ハンガリー・フェスティヴァル管弦楽団のどこかの演奏会ライヴ(哀しいくらい音質がしょぼくて・・・データ廃棄)こちら目の覚めるようなリアルな音質に満足いたしました。誰でも知っている魅惑の泥臭い旋律連続!骨太の音色、たっぷりとした節回しは説得力充分、しっかりとした技巧に支えられて下品に陥りません。

馴染みの管弦楽版も大好きだけど、オリジナルのピアノ4手、そしてこのヴァイオリン・ソロ版のほうが親しみを感じます。Brahmsって管弦楽になると荘厳に、大仰になりがち。おそらく全21曲全曲演奏会、なんて有り得ぬこと、気軽にあちこちお気に入り旋律を摘み聴きすればよろしいのでしょう。

TWCL-4012Ravel ボレロ(1966年)/亡き王女のためのパヴァーヌ(1967年)/スペイン狂詩曲/「マ・メール・ロワ」組曲/道化師の朝の歌(1968年)/「ダフニスとクロエ」組曲第2番(1964年)〜ジャン・マルティノン/シカゴ交響楽団・・・Jean Martinon(1910ー1976仏蘭西)の不幸なシカゴ時代(1963-1967年)の記録はどれも絶品!相性が悪かった?不評だったのがウソのよう。緻密な集中力オーケストラの正確な技量と細部ニュアンスが完成度高く、後年のパリ管との録音より音質も含め、こちらのほうが聴き応え充分と感じました。”お仏蘭西の粋”とはエエ加減なアンサンブルに非ず、ということか。久々のヴェリ・ベスト。

ABCMessiaen トゥランガリーラ交響曲〜岩城宏之/メルボルン交響楽団/原田節(オンド・マルトノ)/木村かおり(p)(1985年ライヴ)・・・たしか、岩城夫妻はMessiaenと交流があったし、木村かおりさんはスペシャリストだったと記憶しております。2009年は待望の生演奏を聴けたし、華やかな宝石箱をひっくり返したような作品は大好きです。小澤征爾(1967年録音当時若手)の精密かつ前のめりの勢いに溢れた演奏も素敵だけれど、こちらヴェテランの余裕、優雅な表現で、音楽の構造が抜群にわかりやすい。二人のソロ(生体験すると理解できるが、実際は多人数の打楽器群が大活躍する)の動きが前面に出ていて、瑞々しくも平易な表現であり、なにより愉しい!けっこういろいろと聴いてきたが、これはヴェリ・ベストじゃないか。オーケストラも絶好調の鳴りっぷり・・・とは「音楽日誌」2010年1月のコメント。

音質確認に久々拝聴したら、リアルなライヴ演奏も賑々しい熱気、一気呵成に全曲聴き通しました。”こちらヴェテランの余裕”というのはちょっと違って、最初の楽章などけっこう前のめりでした。岩城 宏之(1932ー2006)当時53歳、脂の乗り切った頃でしょう。ピアノ(奥様超絶技巧)オンド・マルトノ、そして各種打楽器が明快に存在を主張する瑞々しい優秀録音、管楽器鳴り切ってオーケストラの威力絶好調でした。

”どこが交響曲やねん!”そんなツッコミもネット上で見られる10楽章の長丁場。第4楽章「愛の歌」は静謐官能的な甘い幻想、それ以外はひたすら輝かしい爆発が続いて、日本風諦念とは縁の薄い作品は大好きです。これは豪州初演とか、アマオケ日本初演に立ち会った自分も貴重な体験でした。

(2019年12月1日)

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written by wabisuke hayashi