
駆け足に過ぎ去る秋
当たり前だけど地獄のように暑かった気候は去って、一気に秋となりました。日本の総理大臣は変わってトランプさんも来日したけれど、自分の生活は千年一日の如く変わらぬヒマなワン・パターン。それで良いのですよ。無事是名馬(ぶじこれめいば)。季節の変わり目に体調は微妙、真夏から体重は1kgほど増えているのは汗が出なくなったから?睡眠はちょっと浅い自覚はあるけれど幸い、寝込むような体調の崩れはありませんでした。微妙な足腰の痛みも既に軽快、日々意識して鍛えている成果かな?世の中ではコロナが収まって、インフルエンザが流行っているそう。念のためのワクチン接種は必須、そろそろ予約いたしましょう。
女房殿は平日介護に婆さん(95歳)宅に泊まってタイヘンだけど、健康とそれなり慎ましい節約生活が維持できる経済的余裕はシアワセなのでしょう。久々の銭湯にもささやかな贅沢を感じました。明日より(大好きな)博多へ出掛けて大学OB会〜唐津くんちへ(+見舞い)。皆70歳の声を聞くような世代だから、年々ぼちぼち亡くなったり、病に倒れたり、あまり顔を出さない人は家庭の事情や経済的な問題もあると想像しております。偶然たまたま自分は生涯無煙、お仕事現役ラスト辺りからスポーツクラブに熱心に通って、減量と健康快復に成功しました。ヘルシーな食生活にも気を付けて、酒も自宅では呑(や)らずせいぜい外で週一回弱お付き合いくらい、若い頃みたいにたくさんは呑めなくなりました。
音楽のヲタク話題。
マウスの不調から操作を誤って「Brahms」フォルダ全滅〜でも、人生に時間は限られているから、またぼちぼち音源データファイル再入手して、ていねいに音楽に向き合いましょう。いくつか昔馴染みの音源を失ったのは残念至極、でも、かえってマンネリな精神がいったんサラになってBrahmsに久々、新鮮に向き合っております。昨年2024年HDD一個お釈迦事件にRussia、Shostakovich、French、その他、ごっそり音源ファイル失った時に、既に似たような経験をしておりました。せっかく気に入ったシェーバーを誤って過充電破壊、同じものを注文しました。残念だけどもともと安物、大きな事故に至らなかったことに感謝いたしましょう。自分は性格的にとってもKechi、使えるものはとことん使う、新しいもの珍しいものに飛びつかない。見栄を張らない。品質と価格のバランスをよく検討して買い物(お仕事現役時代の知識が生きている・・・つもり)冷蔵庫の食材は必ず全部消化する!フロの残り湯は有効活用して洗濯に使うのは当たり前、路上のゴミやペットボトルはマメに拾う・・・
・・・ま、気持ちだけ、なんちゃってEco Lifeのつもり。
● 以下、いつもの前月振り返り。せっかく佳き季節になってきたのに集中力が戻りません。
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Gershwin ラプソディ・イン・ブルー(コロムビア・ジャズ・バンド/1976年)/パリのアメリカ人(ニューヨーク・フィル/1974年)〜ジョージ・ガーシューウィン(ピアノ・ロール)/マイケル・ティルソン・トーマス・・・これを初めてFMから聴いた時のショックは忘れられません。病を得て既に引退したMichael Tilson Thomas(1944ー亜米利加)が未だ30歳そこそこ、当時若手イケメン指揮者でした。
「ラプソディ・イン・ブルー」はAmerican Classicの革命的開拓者、最高の名曲。作曲者自身による前のめり快速ピアノロールに驚いて、小さいバンド編成の伴奏をよくここ迄ぴったり合わせたなぁ、驚いたものです。ノリノリの風情はかつてないヴィヴィッドな風情だけど、現在の耳にはソロがちょっと粗いというか、機械仕掛けやかなぁ、仕方がない。それでも唯一無二の個性とノリを感じさせるのはたしか。(13:43)
「パリのアメリカ人」はピエール・ブーレーズ時代のニューヨーク・フィル。亜米利加のお上りさんが大都会・巴里を闊歩する〜そんな心情を多彩に表現されるユーモア。これがノーブルに端正、ゴージャスな素晴らしい演奏。申し訳ないけどバーンスタイン(1958年)より上出来と感じます。(18:34)
以下は1971-1984年音楽監督を務めていたバッファロー・フィルによるGershwinの名曲集。これが痺れるほど洗練されて、陶酔できる世界が広がります。
Oh, Kay!(7:06)Funny Face(5:50)Girl Crazy(5:41)Strike Up The Band(7:07)Of Thee I Sing(4:36)Let'em Eat Cake(バッファロー・フィル/1976年)
ラストはハリウッドの本場、ロサンゼルス・フィルのライヴ。サラ・ヴォーンの渋い声に痺れました。
Promenade (Walking the Dog)/Fascinating Rhythm(サラ・ヴォーン/ロサンゼルス・フィル/1983年/2:54-3:50)■
Bridge 狂詩曲「春の訪れ」/交響詩「夏」/2つの詩/交響組曲「海」〜ジェームズ・ジャッド/ニュージーランド交響楽団(2002年)・・・一般に日本では人気のない英国音楽中、さらに、いっそう知名度薄いFrank Bridge(1879-1941英国)の作品。これが信じられぬほどの爽快雄弁、いかにも英国らしい穏健かつメリハリある風情の名曲が揃いました。James Judd(1949-英国)はこの時期ニュージランド交響楽団の音楽監督を務めて、爽やかなアンサンブルと鮮明な音質を楽しませてくださいました。響きはちょっと薄く軽く、色気も足りないけれど、それが英国音楽に相応しい。時代は色彩豊かに、暴力的なリズムや不協和音の音楽が主流になっていたけれど、なんと保守的に穏健な名曲なのでしょうか。
「春の訪れ」は1927年の作品、時代から考えると随分と保守的な作風でしょう。剽軽とちょっぴり不安な影が入り混じってパワフルな始まり、浮き立つようなリズムに揺れます。中間部の落ち着いて幻想的な風情からの高揚、後半に向けてティンパニ連打も決然とスケール大きく雄弁に効果的。メリハリがあって、演奏会にもほとんど取り上げられないのが不思議なほどの輝かしい名曲。(19:20)
「夏」はきらきら日差しの輝きを感じさせ、静謐に懐かしい風情。やがてホルンや木管、ヴァイオリン・ソロが気怠く、空高く憧憬に充ちて歌います。仏蘭西音楽から色気を抜いたような感じ。(9:48)
「2つの詩」はDeliusを連想させて、そこからさらに脱力させて淡い風情な「Andante moderato e semplice(野外にて)」(6:56)軽快な輝きと勢いにウキウキするようなリズムに乗った「Allegro con brio(わが心の物語)」(4:09)
「海」は1912年の初演。涼やかな海の情景が広がって、デリケートな木管に淡い情感が揺れる「Seascape(海景)」(7:35)ユーモラスな木管の細かい音型、呟くような弦が儚い「Sea-foam(波の花)」(2:33)「Moonlight(月光)」は夜の凪に映る月の光が妖しく広がっていく情景(6:14)「Storm(嵐)」風雲急を告げるティンパニから激しい嵐の情景へ。それも暴力的に至らぬ、壮麗な旋律はいかにも英国音楽の矜持でした。やがてイングリッシュ・ホルンのソロから嵐は過ぎ去って黄昏の情景が雄弁に締め括りました。(5:40)■
Ravel バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲/高雅で感傷的なワルツ〜クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団/合唱団(1988年)・・・十数年前にコメント有。当時ピエール・モントゥー(1959年)を称賛していたけれど、それもしばらく聴いていなくて、きっと音質には不安を予測しております。Claudio Abbado(1933-2014伊太利亜)は胃がんを患ったわりには81歳迄頑張ってくださったのでしょう。ロンドン交響楽団主席/音楽監督在任は1979-1983年意外と短かったのですね。瑞西の精密時計に例えられたRavelの作品はきめ細かくデリケートに華やか。
プレヴィンが鍛え上げたアンサンブルをみごとに継承して、DG録音も目が覚めるほどクリアなもの、しっかりと打楽器の低音アクセントもリアルにかなりの衝撃。仏蘭西風のほんわかセクシー系サウンドに非ず、クール知的に緻密、デリケートだけれど線の細さや弱さを感じさせない。第3部の自在なフルートもクリアに明晰な技巧を誇って、ほんわか曖昧な風情とは無縁、テンポを煽ったり走ったりせず適度なノリと爆発、かなり知的な集中力に異色な「ダフニス」最高。エドウアルド・マータ/ダラス交響楽団も立派な演奏だったけれど、こちらロンドン交響楽団はスーパー・オーケストラですよ。 (3:32-2:35-3:13-0:51-0:56-0:44-2:37-2:54-1:42-1:35-1:36-1:54-3:30/2:52-2:00-1:54-3:31-0:30-2:09/4:49-2:02-4:08-1:02-3:44)
「ワルツ」のほうは生真面目一方でオモロない、とは当時の言い種。今回の印象もちょっと粋と遊びが足らんかも、そんな手応えでした。こちらのアンサンブルも怜悧に素晴らしい。(1:19-1:53-1:32-1:10-1:00-0:44-2:54-3:15)■
Mahler 交響曲「大地の歌」〜カルロ・マリア・ジュリーニ/ベルリン・フィル/フランシスコ・アライサ(t)/ブリギッテ・ファスベンダー(ms)(1984年)・・・時期をあまり置かずに再聴。別途、新たにネットより入手した音源は前回拝聴分よりずっと状態はよろしい感じ。以前確保していた音源の質が印象に影響していたのですね。クリアな響き、急がず慌てず、まったりとして緻密、細部忽せにせぬ、ていねいな描き込み、たっぷりベルリン・フィルの色気と艶、ようやくかつての感激が戻ってきました。
第1楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」は冒頭のホルン、トランペットから解像度際立って艶のあるオーケストラの輝き、ていねいな細部描き込みにがらりと印象は変わりました。アライサのテナーもちょっと線は細いけれど若々しく、モダーンなセンスにデリケートな表現でした。(8:34)
第2楽章「秋に寂しき者」は寂しげなオーケストラは洗練された響き、たっぷり厚みのある弱音、気品を感じさせる女声の落ち着き。(9:47)
第3楽章「青春について」は若々しく爽やかに朗らかな楽章。含羞を含んだテナーも、歯切れのよろしいオーケストラと似合っていることでしょう。(3:17)
第4楽章「美について」蓮の花を摘む乙女はしっとり落ち着いて牧歌的な女声。馬を駆ける若者の勇壮なオーケストラの爆発もクリアに爽快。(7:36)
第5楽章「春に酔える者」はユーモラスな楽章、もうちょっとテナーの余裕が欲しいところ。オーケストラはしっとり響いて明晰、ベルリン・フィルの美点(とくに木管)が際立って美しい。(4:15)
第6楽章「告別」妖しい東洋の諦念に揺れる冒頭木管も明晰な楷書表現。孤高のフルート、ホルンにも痺れるような深みを感じさせて+弦の洗練、ファスベンダーの落ち着いて知的な声も作品風情に似合って、しみじみ感銘をいただきました。(30:30)(2025年11月1日)
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