引退隠居生活手探り一年
きのうもきょうも代り映えしない一日、ましてや一年365日正月休みな身分、それでも2023年新年を迎えると清新な気分に至るものです。日々鍛えて健康に留意していたこともあって幸い、大きな病気もケガなく一年過ごせたことを喜びましょう。烏克蘭では寒さ厳しい新年を迎えていることでしょう。
昨年2022年1月3日に二人目の孫誕生、1月7日が職場最終出勤日でした。あとは大阪へ家探し、転居準備(≒身辺整理/大量荷物廃棄処分)甥夫婦と京都にて引退祝い、そして2月には転居を済ませました。女房殿は(自転車15分)母親の介護、こども食堂のボランティアに通い、夫婦で隔日に市立体育館へ筋トレ鍛錬を欠かしませんでした。映画はシルバー料金もありがたく活用、こんなに観たのも人生初めて。
12月 映画「Dr.コトー診療所」離島の自然風景最高
映画「土を喰らう十二ヵ月」こういった地味渋動きの少ない静かな映画は大好き
11月 映画「そして、バトンは渡された」(テレビ)筋書きが凝って、善人ばかり登場する
10月 映画「南極料理人」(テレビ)幾度見ても捧腹絶倒
映画「七人の秘書 The Movie」女性群が華やかでした
9月 映画「沈黙のパレード」これはたしか2022年最高人気映画
映画「容疑者Xの献身」(テレビ)これは「ガリレオ」の予習。柴咲コウ大好き。
映画「ぶどうのなみだ」(テレビ)これはいまいち
5月 映画「深夜食堂」(ニ週連続テレビ)小林薫の男の色気、多部未華子が可愛い
4月 映画「ラジエーションハウス」人気いまいちだったみたいだけど、個性豊かなメンバー勢揃い。最近評判よろしくない本田翼もエエ感じと思います。
2月 映画「ガメラ 大怪獣空中決戦」(テレビ)これは中山忍のデビュー辺り大阪の激安居酒屋も20回ほど堪能。熊本の息子夫婦孫二人のところにはお宮参り、七五三、二度訪問、京都も二度観光して贅沢な隠居生活を堪能しております。年末に、還暦より医者を目指すドキュメンタリー番組、背筋伸ばして襟を糺して真摯に拝見しました。ささやかでも日々目標を決めないと怠惰に、安易に時は流れ過ぎることでしょう。大志は持ち合わせていないので、2023年もだらだら過ごしそうな予感がします。宿題は3年前の体重水準に戻すこと。
● 前月(昨年)ヴェリ・ベスト、2023年もワン・パターンに同じ繰り返し。
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Walton 交響曲 第1番 変ロ短調(アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団1966年)/ヴァイオリン協奏曲(ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/ウィリアム・ウォルトン/フィルハーモニア管弦楽団1950年)・・・緊迫感漂う交響曲は1935年初演(ハミルトン・ハーティ)二管編成だけどとても立派に大柄に響きます。エイドリアン・リーパーには申し訳ないけど、こちら37歳若き日のプレヴィンの演奏は圧倒的にパワフルな躍動、オーケストラの力量も録音も極上、スケール大きく陰影豊か。第1楽章「Allgro assai」は金管の不協和音咆哮が暗く暴力的、戦争への不安を表しているとか。爆発とデリケートな静謐対比がみごとな緊張感でしょう。この時期の作品としては英国の端正を感じさせて、ティンパニのダメ押しがカッコ良い!(13:50)第2楽章「Presto,con malizia(邪気をもって)」はスケルツォ、剽軽かつ緊張感漂う変拍子リズムは切れ味鋭くノリノリ、ここもティンパニの存在が圧巻。(5:54)第3楽章「Andante con malinconia」ここも不安げに静謐を湛えて、弦と木管の絡み合いは不協和音でも幻想的に甘美な響きは、やがて力強く絶叫します。(11:21)第4楽章「Maestoso - Allegro, brioso ed ardentemente - Vivacissimo - Maestoso(活気があって燃えるように)」はいかにも荘厳に馴染のWalton風情、冒険活劇映画の大団円風活気と憧憬に充ちて勇壮な出足。変拍子でも難解さ皆無、ゴージャスなスケールに満足いたしました。(12:13)最高。
ヴァイオリン協奏曲はハイフェッツ初演(1939年アルトゥール・ロジンスキー/クリーヴランド管弦楽団)音質は良好。ロマンティックに哀愁甘美な魅惑の旋律が続く第1楽章「Andante tranquillo」。ソロは魔法のように浮き立って快速、完璧テクニック。WikiにもあるようにSibeliusに似ていると思います。(9:57)第2楽章「Presto capriccioso alla napolitana」は緩徐楽章に非ず、闊達に目まぐるしい快活な疾走。ここの変幻自在なテクニックもすごい、弾むようなリズムに心奪われました。(5:57)終楽章「Vivace」はソロとオーケストラの泥臭いリズムの掛け合いから、やがて例の如し甘美な甘い旋律が浮かび上がりました。目くるめく表情の変化、スムースなテクニックに心奪われる締めくくりでした。(11:26)1943年の改訂版があるそうで、どこがどう違うのかはわかりません。続けてドン=スク・カン(v)/ポール・ダニエル/イギリス北部フィル(1997年これが改訂版ですか?)も拝聴・・・彼も名ヴァイオリニストだし英国音楽にも一家言ある人だけれど、ハイフェッツの輝かしい快速ソロを経験した耳にはどーもジミに響いて印象はいまいちでした。ハイフェッツが初演、作曲者との録音だからそちらのテンポ設定が正解なのでしょう。(10:53-6:23-12:08)。■本郷和人「日本史のツボ」(文春新書)・・・テレビの歴史番組にお馴染みの本郷先生は自らの”異端の主張”と謙虚に書いていらっしゃるけれど、建前に非ず当時の社会の実態、実利、経済の流れから出発する分析に、いままでの自分の知識の誤り偏りを痛感いたしました。天皇、土地、宗教、軍事、地域、女性、経済、七つのツボを押さえて、文句ない説得力。例えば日本初の通貨は富本銭でも和同開珎でもない、なぜならそれは実際には流通しないものだったから、それは平清盛迄待つことになる。律令制公地公民も建前だけで機能していない、理想だと(←それはそれで大切)。墾田永年私財法はは現実を追認しただけ。ほか、数々の仮説を提示して久々にノーミソの活性化となりました。建前が形骸化して実際に運用していく流れ、というのは現在に続く日本人の個性のような気がする。
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Shostakovich 交響曲第1番ヘ短調〜ユーリ・バシュメット/イタリア放送RAI交響楽団(2009年放送音源)・・・名ヴィオリストであり、日本の勲章ももらっているYurii Bashmet(1953ー露西亜)は烏克蘭侵攻以降の活躍の様子がわかりません。たしかプーチン支持派、残念な話題いったんさておき、このライヴ音源は強烈!音質良好、集中力とド迫力、効果的なテンポの揺れ、陰影豊かな表情の変化、Shostakovichの初期作品を巨大に、しっとり表現して、その雄弁な語り口の説得力は半端に非ず。これは今まで聴いたこの作品の最高傑作。あまりよろしい印象を持っていない伊太利のオーケストラも絶好調でした。とくにヴァイオリン・ソロの瑞々しい響きは特筆すべきもの。35:28。
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Mozart ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216/第4番ニ長調 K.218/アダージョ ホ長調 K.261/ロンド ロ長調 K.269/ロンド ハ長調 K.373〜レナ・ノイダウアー(v)/ブルーノ・ヴァイル/ ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィル(2013年)・・・天衣無縫の作品に天衣無縫の演奏とはこのこと、のびのびと清潔、暖かいフレージングにヴィヴラート控えめ Lena Neudauer(1984-独逸)はこれからの人でしょう。若い頃は軽快にシンプル闊達なこのヴァイオリン協奏曲を好きになれなかったけれど、やがて自在に歌う人の声を連想できるようになりました。アダージョ、ロンドは夢見るように美しい瞬間を体験できて、これは以前よりお気に入り。(第3番8:35-7:10-6:16)(第4番8:19-6:06-7:00)(アダージョ・ロンド7:08-6:45-5:48)
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Shostakovich 交響曲第5番ニ短調〜アレクサンドル・ラザレフ/日本フィル(2017年ライヴ)・・・Alexander Lazarev(1945-露西亜)は日本フィル首席指揮者として2008-2016年在任、種々録音を残してくださいました。Shostakovichの一番人気交響曲は早くから(これのみ)馴染んだということもあって、不遜にも食傷気味に。心置きなく作品を堪能できるようになったのは最近のこと。音質極上、二種のライヴの編集らしい。ここ最近の日本フィルの録音を聴いて、どれもオーケストラの技量に優れ、厚みと色気のある力強い迫力を堪能できます。どの楽章も確信を以てテンポ設定や動きに不自然さ、違和感もなし。苦難から勝利へのBeeやんパターン、第1楽章「Moderato - Allegro non troppo」冒頭はMozart アダージョとフーガハ短調 K.546にクリソツなのは以前より認識して、今回拝聴は第2楽章「Allegretto」にMahler 交響曲第2番ハ短調第3楽章「Scherzo: In ruhig fliesender Bewegung(魚に説教するパドヴァの聖アントニウス)」のユーモラスな影響をはっきり聴きとりました。14:42-5:28-13:12-10:46。
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Giuseppe Tartini(1692ー1770)ヴァイオリン協奏曲集 作品1/第1番ト短調D85/第2番ホ短調D55/第3番ヘ長調D60/第4番ニ長調D15〜ジョヴァンニ・グリエルモ(v)/ラルテ・デラルコ(1996年)・・・イタリア合奏団の創設メンバーであり、来日もしている名ヴァイオリニストGiovanni Guglielmo(?-2017伊太利)の詳細情報がネットより探せません。フェデリコ・グリエルモは息子なんだそう。全CD29枚分の偉大なるヴァイオリン協奏曲全集(Wikiの主たる作品に登場しない!)録音はほとんど忘れられた状態、この作品1の録音年情報も四苦八苦してようやくみつけました。この作品含め初録音が多いそう。モダーン楽器と思うけれど(違ったら恥ずかしい)熟達したアンサンブルとリズム感、しっとりやわらかく明るい美音を誇ります。音質極上。Vivaldiのちょっぴり後世代のヴェネチア出身の人、シンプルに牧歌的なStradella、闊達な躍動を誇るVivaldiとも個性は異なって、忘れ去られるにはもったいない変幻自在なる旋律と陰影は魅力的、ずらり緩急緩三楽章名曲にソロの妙技が光ります(第1番ト短調には第2楽章「Fuga a la breve」が入る)。この魅力は父グリエルモの妙技の成果かもしれません。5:00-2:20-3:22-3:54。7:03-3:07-5:03。5:28-3:11-5:15。8:32-2:46-7:05。
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Smetana 歌劇「売られた花嫁」序曲(1979年)/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版/1977年)/Prokofiev スキタイ組曲「アラとロリー」(1973年)/Bartok 舞踊組曲(1973年)〜ズデニェク・コシュラー/チェコ・フィル・・・Zdenek Kosler(1928ー1995捷克)は67歳であっけ亡くなってしまって、あと10−15年は活躍してほしかった、なんとなくジミな存在だったけれど、久々に活発な演奏を聴いてシミジミそう感じました。弾けるように元気のよろしい「花嫁」序曲(6:42)あまりに聴き過ぎて少々食傷気味だった「ペトルーシュカ」は浮き立つようにテンションの高いこと!オーケストラの調子も音質も極上。後半に行くほど、遊園地の喧騒をたっぷり感じさせてくだるもの。(10:07-4:31-7:05-11:11)硬派に破壊的、時に妖しいProkofievも同様に緻密さと迫力が両立しております。(10:44-7:07-5:41)怪しく重い始まりにやがて激しくも粗野な、ノリノリの勢いと泥臭いエキゾチックな旋律、変拍子がカッコ良いBartok(4:04-2:36-3:17-3:36-1:05-4:37)
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Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)/バレエ音楽「春の祭典」〜ジョゼプ・ヴィセント/アッダ・シンフォニカ・・・これには驚きました。Josep Vicent(1970-西班牙)はADD ASimfonica(西班牙バレンシア地方)の音楽監督なんだそう。ネット系音源やYouTubeに出現するけれどCDは探せず、最近と類推されるライヴ録音年特定はできません。知名度さておき極めて優秀なオーケストラであり、色彩感に優れ、整ったアンサンブル、優れたリズム感にパワフルな推進力、これでライヴだから驚きます。ややオフ・マイクっぽいけれど低音もしっかり効いて優秀な録音、足りないのは粗野に濃い個性でしょうか。これは最近の演奏に共通して感じられる傾向でした。
短い組曲版「火の鳥」はメルヘンに溢れ、編成比較的小さめな三管編成の「ペトルーシュカ」は賑々しい喧騒と彩りに充ちておりました。「春の祭典」もスケール大きく、正確なリズムにスムースなオーケストラの技量・迫力・緊張感切迫感に文句なし。後半第2部「生贄の儀式」に向かうほどアツく金管炸裂、「選ばれし生贄への賛美」〜「生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)」辺りは速めのテンポに勢いMAXへ。優等生的完成度。その昔、初演者ピエール・モントゥーとかヘロヘロのアンセルメとか、彼(か)のやや牧歌的に技術的には危うい演奏を遠く、懐かしく思い出したものです。
(2023年1月1日)
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