ヲタク趣味に思う
早々の梅雨入りにけっこうな雨が続いた5月でした。あと二か月に迫って時間切れ、具体策やら説明説得なきまま思考停止なガースー・組織委員会は五輪強行(思いと願い精神力で乗り切る!)しか頭にないみたい。わが亡き後に洪水よ来たれ!状態か、仮に全世界より人々が集まったら新種のコロナウィルス変異を誘発しかねない、罹患したら自己責任、医療体制は崩壊、経済影響はむしろマイナス?あとは国の借金ばかり残る・・・それはさておき緊急事態宣言継続、ワクチンは少々の混乱なんのその全国全力接種中です。自分にはなかなか案内は届かない。要らん世界的利権の巣窟バブル行事諦めて、ワクチン接種普及に尽力すれば、9月くらいには劇的に個人消費は復活する!かも(とのネット記事を読みました)。
先月は痛風症状を再発してしまって、2回ほどスポーツクラブ断念。久々に通院したら高血圧も指摘されて、なかなか健康体とは云い難い華麗なる加齢、某謎アレルギー症状も悪化、睡眠不如意に月末には微妙に体調がすぐれない日々が続きました。来週に迫った健康診断結果に戦々恐々です。ほか女房殿の6年物スマホ買い替え+より安いキャリアへの変更が大きなイヴェントでした。
一般にはほぼ理解していただけぬヲタク趣味はクラシック音楽(クラヲタという言葉もある)日々、全世界のネットを彷徨って音源を探索ダウンロード、順繰りDVDに焼き込んで保存しております。集めることに熱心過ぎて、聴くことが追いつかない(ようじゃ意味がないけどそれがヲタクたる所以)。かねて熱望していた珍しい音源発見!歓喜して保存、そのまま失念するのも華麗なる加齢症状、再び音源発見!時間を掛けてダウンロード、しかしそれは既に入手済、ダブりであったことに気付くことも再々です。
更に
全部はちゃんと聴いていないから、数年経ってようやく確認、一部データ不良に気付いて(楽章途中で切れるとか(涙))全世界あちこちにある怪しいサイトはたいてい短命、今更気付いても再入手は難しいもの。ちゃんとした音源ファイルでも、もともとの音質や演奏そのものにガッカリしたり・・・嗚呼、ダブっちゃったと思ってファイル廃棄、じつは違うものであったとあとで気付く哀しい事件も・・・名手アラン・シヴィルのホルン協奏曲(旧録音クレンペラー)は誤ってデータ削除してしまって後の祭り。一年ほど探したらネットに再出現・・・ささやかなヲタク趣味の喜びも誰にも理解されないでしょう。
CD最終処分へ断捨離逡巡中。2020年秋コロナへ危機感を日々深めていた頃、自作巨大CDラック最終一段分厳選を残してCDを処分しました(最近二度目)。それから約半年経過、例えば旧PHILIPSバイロイト・ライヴとか、BrilliantのBrahms全集、アルフレッド・ブレンデルのVOX録音集成等々、全部処分するか心は揺れ動きます。日々拝聴すべき音楽はデータファイルにて膨大に保存済、困ることもない。捨てるに忍びなかった自主CDも少々残って、折を見て処分(廃棄)を狙っております。オーディオはカネを掛ければキリがないらしいから、手を出しておりません。なんに限らず夫婦とも執着やら物欲は薄くて、日常身の回り必要最低限のものを残してどんどこ廃棄、そのことで後悔したことはありません。せいぜい季節の旬・美味いもんを喰うことかなぁ、こだわっているのは。いやしいから。
日本人健康寿命平均迄あと10年を切りました。ありきたりの前提だけれど、まず心身ともの健康第壱でっせ、それはあたりまえのこと。
● いつもの前月ヴェリ・ベスト。
■Bartok 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽/管弦楽のための協奏曲〜ジェイムズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団(1989年)・・・栄光のメトロポリタン歌劇場時代1971年デビューから45年間85作品2,500回以上の公演を指揮、そして晩節を汚したJames Levine(1943ー2021年)晩年は病と怪我にも悩まされました。この作品はシカゴ交響楽団の十八番、フリッツ・ライナーを超えられないと信じてきたけれど、先入観抜き虚心に拝聴すれば素晴らしくクリアな音質、オーケストラの技量を万全に引き出した46歳の記録最高。ドキドキするほどの緊張感、リズムはヴィヴィッドに(弦・打・チェレ)色彩豊かに響き渡って(管弦楽のための協奏曲)近現代管弦楽技法の最高傑作をたっぷり、心ゆくまで堪能いたしました。
■Stravinsky in America /星条旗よ永遠なれ/サーカス・ポルカ/頌歌/ロシア風スケルツォ/バレエの情景/12の楽器のためのコンチェルティーノ/アゴン(12人のためのバレエ曲)/グリーティング・プレリュード(ピエール・モントゥーの80才の誕生日のために)〜マイケル・ティルソン・トーマス/ロンドン交響楽団(1996年)・・・レーベルの出口問題か、最近話題忘れられた傑作!音質クリアそのもの。オーケストラがノリノリに上手い(ロシア風スケルツォ)。メインの「アゴン」はこれほどカッコ良い演奏を聴いたことはない。クラウディオ・アバドの後任として首席を務めた1987ー1995年はいまいち印象が薄いけれど、近現代物を演らせたらMTTに間違いがない。この辺り、嗜好のツボですし。
■Dvora'k ピアノ協奏曲ト短調〜ルカーシュ・ヴォンドラーチェク(p)/ウラディミール・アシュケナージ/ベルリン・ドイツ交響楽団(2014年頃?ライヴ)・・・この作品は幾度も聴いて、どーも第1楽章は似たような同じような旋律ばかり繰り返されてオモロない作品やなぁ、そんな不遜な敬遠ばかり30数年経過。昨日、ネットより入手した放送音源を偶然拝聴して驚愕!こんな郷愁に充ちた旋律でしたっけ?Lukas Vondracek(1986-捷克)のピアノは第1楽章「Allegro agitato」からシンプルな寄せては返す歌にしっとり、胸を打つような感銘に襲われました。第2楽章「Andante sostenuto」の牧歌的に落ち着いた味わいも新鮮!第3楽章「Finale. Allegro con fuoco」のリズミカルなローカルっぽい旋律から熱のこもったクライマックスへ技巧の冴えも鮮やか、名曲じゃないっすか! 36:17(楽章間拍手込み)。
■Beethoven 交響曲第1番ハ長調/第3番 変ホ長調「英雄」/第2番ニ長調/第4番 変ロ長調〜ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管弦楽団(1987年)・・・ここ数週間断続的に聴いていたもの。1970年代のロンドン・フィル全集のフレッシュさを称賛して、一番新しいロンドン交響楽団とのライヴはバービカン・ホールの響きが好きになれなかった。こちら当時コンセルトヘボウとの信頼関係も熟成したディジタル録音全集はあまりに安定してオーソドックス、世評も高くて(なんたらアカデミー賞?)それ故にどーも避け気味、拝聴優先順位は後回しでした。細部旋律馴染みの名曲中の名曲揃えて、この時期ハイティンクは奇を衒わぬ正攻法のまま成熟を深めていって静かな説得力充分、満を持してマイルド・サウンドな手兵との全曲録音、どれを聴いても過不足もムリもない納得と安心感信頼感満載。種々いろいろ聴いて最後に残るような演奏って、こんな感じでしょうか。
■Mahler 「5つのリュッケルトの歌」私は快い香りを吸い込んだ/私はこの世に捨てられて/真夜中に/美しさをあなたが愛するなら/「こどもの魔法の角笛」歩哨の夜の歌/だれがこの歌を作ったのだろう/あの世の暮らし/魚へ説教するパドヴァのアントニウス/ラインの伝説/美しきトランペットが鳴り響くところ/高い知性への賛美/「若き日の歌」春の朝 /ハンスとグレーテ/「こどもの魔法の角笛」いたずらっ子をしつけるために/私は緑の野辺を楽しく歩いた〜クリスタ・ルートヴィヒ(ms)/ジェラルド・ムーア(p)(1957年)・・・遅れ馳せChrista Ludwig(1928ー2021独逸)追悼。自分は声楽方面の音楽にはちょっと縁遠いけれど、例外はBach、Mozart、そしてMahler、とくにMahlerはどんな作品にも細部旋律馴染んでお気に入り、それはクリスタ・ルートヴィヒの優しい声と分かちがたく結びついております。交響曲には歌曲旋律が多く引用され、思わぬところで旧知の人と出会ったような感慨有。管弦楽に非ず、ピアノ伴奏だけでも不足を感じたことはなくて、名手Gerald Moore(1899ー1987英国)の配慮ある伴奏、深みのある彼女の声を堪能しておりました。
■Tchaikovsky 交響曲第4番ヘ短調(クリーヴランド管弦楽団1981年)/Prokofiev 組曲「キージェ中尉」(フランス国立管弦楽団1981年)〜ロリン・マゼール・・・わずか2年前にTELARCに同じ第4番を録音して、オーケストラも同じ、なぜ短期間に再録音したのか理由は不明です。この作品を十八番としてベルリン・フィル、ウィーン・フィルとの若い頃の録音も存在します。第1楽章「Andante sostenuto - 」”運命のファンファーレ”から充実したオーケストラがしっかり鳴り切って洗練されたアンサンブル、露西亜風暑苦しい泥臭さとは無縁、音質も極めてクリア。第2楽章「Andantinoー」もウェットになり過ぎないバランス感覚、第3楽章「Scherzo」はやや速めのテンポに、弦のピチカートがぴたり足並み揃えて完璧な技巧。第4楽章「Finale: Allegro con fuoco」頭の全奏がド迫力な切れ味、爽快に鳴り渡って響きに濁り皆無。音質極上、上手いオーケストラやなぁ。当時マゼール51歳気力体力充実していたのでしょう。圧巻の感動が押し寄せました。全集ボックスものに収録されるけれど、意外なほど不遇な、入手困難な一枚。17:18-9:05-5:17-8:42。
Prokofievは仏蘭西のオーケストラ、「キージェの誕生」(3:51)「ロマンス」(4:21)「キージェの結婚式」(3:01)「トロイカ」(3:06)「キージェの埋葬」(5:41)抱腹絶倒のウソ話はしっとり表情豊かにユーモラス。響きの軽さ、色気がまたアメリカのオーケストラとは違った個性、これも音質最高。ここのところ旧ソヴィエットのライヴ辺り精力的に聴いていたので、洗練された響きに耳が洗われるようでした。
(2021年6月1日)
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