長い夏を過ぎて
ようやく8月は夏らしい夏、昨年を彷彿とさせる熱気がやってきました。お盆前後、半休含め断続的にお休みをいただいて、女房殿は大阪に行っていて、ほとんどぼんやり過ごして演奏会は一回、贅沢外食は2回+職場お付き合いが2回、スポーツクラブ+市立体育館トレーニングルームには計29回通いました。嵐の日も、職場焼き肉宴会のあとも、尿路結石発作の合間にも。
あまりビールは好まないほうだけど、蒸し暑かったからけっこう呑みましたよ、先月は。でも毎日は呑まないし、もう意識失うほど大量に呑み続ける体力もありません。体重は辛くも66kg台を維持出来。お仕事はテンション低く最低限(そうは見せないところがヴェテランのワザ)全国各地台風やら大雨に苦しんでも、こちら申し訳なく日々安閑とぐずぐずムダに過ごして、お仕事は苦渋の小さなミス連続、筋トレ+心肺運動は継続して体調は維持してきました。ところが月末に尿路結石発作発症、苦しんだのはほんの3日間(七転八倒は数時間)だし、症状は断続的だからたいしたことはありません。
夏は基本大好きだから、あっという間に過ぎ去るのが常なのに、なぜか長く感じましたよ。盆明け、お仕事では体感9月の秋、実際朝晩気温は下がり気味に過ごしやすくなって、実際はなかなか8月から抜け出せませんでした。長い、なが〜い夏。規則的な日々、これはこれでシアワセな、充実した一ヶ月だったのでしょう。尿路結石の発作以外は体調もほぼ良好。
2019年も残すところ4ヶ月。サラリーマン半引退生活は快速に過ぎていくものですね。先が見えません。
● いつもの先月ヴェリベスト。ほとんど昔馴染ばかり選定となりました。
●Mozart ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466(スタニスラフ・ヴィスロツキ/ワルシャワ・フィル1959年)/Beethoven ピアノ協奏曲第3番ハ短調(クルト・ザンデルリンク/ウィーン交響楽団1962年)〜スヴィアトスラフ・リヒテル(p)・・・1960年前後、一連のDGセッション録音は珍しく音質状態がよろしいのが残っておりました。昔馴染みの一枚、でもちょっと違和感あったんだよなぁ、ずっと。久々の拝聴は力強い集中力、ヤワなニュアンス云々に非ず、全身全霊鍵盤に打ち込む壮絶、テクニックのキレに悶絶しましたよ。上手いとかヘタとか味わいとか、そんな水準じゃない。両曲とも文句なし硬派デモーニッシュ、ソロのマジックにオーケストラも煽られたように見事な伴奏であります。
●Sibelius 交響曲第1番ホ短調/交響詩「フィンランディア」〜ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(1982年)・・・前日の新録音に違和感有、今や貴重品な旧録音全集CDを棚より取り出しました。((c)(p)1984直輸入西独逸製CD標準小売価格3,600円!→中古500円入手)これは我が貧者のオーディオとの相性か、20年後のDG録音より解像度メリハリしっかりした音質、テンション高い演奏は記憶通り、”リアルな音質に粗野な迫力に充ちたもの”、独墺系緻密なサウンドとか、亜米利加の馬力あるオーケストラとも異なる、荒々しくも飾らない誠実一路な推進力に胸を打たれます。これぞ文句なしヴェリ・ベスト。交響曲全曲再聴したいくらい。有名過ぎてほとんど聴く機会を失った「フィンランディア」にも久々、胸を熱くしたものです。
●三浦 佑之 「古事記を読みなおす」(ちくま新書)・・・ぐずぐずと読了が進まなかった一冊も、往復3時間にてしっかり読了(途中居眠り込み)。官製の色濃い「日本書紀」に対してこちら、切り捨てられた古(いにしえ)の伝承の名残があるとのこと。万世一系が大好きな日本人だけど、じつは大和政権の前に栄えたであろう出雲地方(+越など日本海文化圏)の強い影響、歴史を反映していて、誰でも知っている数々の寓話(海彦山彦、因幡の白兎とか)もそう。その微に入り細を穿つ著者の分析、反対論も含め先人に対する対する謙虚な姿勢にも頭が下がります。更に稗田阿礼云々と掲載される「序文」存在そのものにも問題提起をしておりました。久々!ノーミソ刺激を受けたなぁ。
●Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(1971年)・・・数日前の生演奏に感銘有、そしてマゼール晩年のライヴに失望・・・大好きな作品に再トライしなくては!これはCD時代に入って最初に入手した全集より、それは当時一番安かったから。そしてMahler拝聴のリファレンス(参照の基準)となりました。もう25−30年前でっせ。自分が若く貧しくCDが高価であった時代、誠実に粘り強く音楽と向き合っておりました。久々の拝聴は、造ったところのない音質、飾りのない表現、ザラリとしたサウンドのオーケストラは素朴な躍動に充ちて、たっぷり力強い、昔の感慨は蘇りました。アンサンブルが粗いワケじゃないのに、緻密とか神経質とか無縁な世界に心奪われました。日々ネットより現役世代の音源を求めて、結局これが原点、美しい作品に目覚めた瞬間を思い出させるものでした。
●Mussorgsky/Ravel編 組曲「展覧会の絵」〜エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(1959年)・・・かつて駅売海賊盤を愛聴して、やがて処分したみたいで棚中に残っておりません。いつでもネットから入手できるわい、油断していたら、これがなかなか出現しないもの。なんせオーケストラの威力が物を云う作品、このオーケストラの技量から類推して彼(か)の感慨はカンチガイだったんじゃないか・・・昨日、ようやくネットより発見して念願の再聴。これが気持ちやや遅めのテンポ、堂々たるスケールと色彩に溢れた素晴らしい演奏!.mp3/320kbpsの音源データでも音質は優秀と理解できて、17年前の感動はウソじゃなかった。
かつて”録音のマジック”とか”実演はヘロヘロ”とか酷評され、たしかに彼の代表的録音であるStravinskyは21世紀の水準から考えると、リズムやら細部演奏技術がそうとう危ういのも事実(でも、意外と好き)しかし、BeethovenとかBach、Sibeliusとか、彼のレパートリーらしからぬ録音はいずれ驚くほど生き生きとして、得意の仏蘭西系音楽も雰囲気はたっぷり豊かでした。大切なのは個性ですから。
●Rodrigo セレナード協奏曲(ナンシー・アレン(hp))/田園協奏曲(リサ・ハンセン(fl))/英雄的協奏曲(ホルヘ・フェデリコ・オソリオ(p))〜エンリケ・バティス/ロイヤル・フィル(1980-85年)・・・じつはこの前にBarber/Copland/Gershwinのピアノ協奏曲を聴いて、どれもお気に入り作品、演奏も音質も悪くないのに音楽がノーミソに入らぬ感じ、こちらに変えてようやく納得いたしました。いっしょにしちゃいけんけど、Villa-Lobos(伯剌西爾)こちらRodrigo(西班牙)どちらも哀愁の旋律+個性あるリズムは大好き、「セレナーデ協奏曲」は幾度か聴いていて、アランフェスを連想させる風情がハープの繊細な音色に変わって堪能。木管が静謐に語り合う「田園協奏曲」は軽妙な雰囲気、堂々たるスケールを誇るピアノ協奏曲はJorge Federico Osorio担当。たしか墨西哥出身?亜米利加を拠点に活躍するピアニストだったかと。これは夏の音楽やなぁ、過ぎ去りつつあるけど。
●Mozart ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218/第5番イ長調 K.219〜ミシェル・オークレール(v)/マルセル・クーロー/シュトゥットガルト・フィル(1961年)・・・Michele Auclair(1924ー2005仏蘭西)は1960年代には(おそらくは事故のため)演奏会より引退しておりました。録音はあまり多くないけれど、残された記録はどれも絶品!このMozartも明るく力強く、神経質の欠片もない、表情豊かに変幻自在、朗々と歌って、我らがヴォルフガングの愉悦性をたっぷり堪能させてくださいました。こんなヴィヴィッドな演奏はしばらく聴いたことがない。
(2019年9月1日)
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