2007年12月倉敷美観地区

年末に一年の疲れが溜まって


 月並み、陳腐な表現だけど、一年はほんまに速い。ヒドい一年?それなりの前進はあったのか、お仕事は大トラブル(社会事件絡み天変地異問わず)連続、日常お仕事はそれなり習熟して、職場内外馴染んだけれど、もう年齢的に新しい知的興奮を得ることはムリなのかも、ちっぴり諦め気味でもあります。3月にインフルエンザに倒れつつ、ぐずぐず体調は維持して12月へ。現在”やや風邪症状”ぎりぎり土俵際っぽく、ここで踏み留まって、辛くも年末迄乗り切りたいもの。マウス腱鞘炎、ドライ・アイ、胃腸もやや不調〜できるだけ毎日ストレッチ+(ちょろ)ウォーキングは欠かしませんから。冬、夜明け前の澄んだ星空が美しい。(今朝は残念、雨模様)

 物欲は日々消え去って、とくべつ欲しいものはないんです。日常生活、音楽生活、ネット生活にも不足はない。おいしいものを時々喰いたいけど、ほんまは元気健康、お腹が減っていること、親しい人といただくことが一番のご馳走、そのことはよう知っております。天変地異災害は多く発生し、現在も継続中、自分が当事者にならなかったのはほんの偶然、被害者の労苦を思い遣りつつ、自分の幸いを噛み締めましょう。

 10月に発した無線プリンタ不調に始まって、とうとう通常LAN接続もアウトに至って、Fonルーターを交換いたしました。現在我が家にあるノートパソコン、タブレットPCは(すべて格安)合計5台、うち2−3台は辛くもつながって”電波はやや弱まった”(≒故障)状態だったのでしょう。ルーター交換を思いつくまで2ヶ月、1,200円(税送料込)の大出費をようやく決意・・・せいぜいそんなもんでっせ。音楽音源入手はもっぱらネットより、CDは久々に購入いたしました。聴くべき在庫はたっぷり残っている・・・

 毎年12月の目標。Handel オラトリオ「メサイヤ」/Bach 「クリスマス・オラトリオ」、そしてBeethoven 交響曲第9番ニ短調「合唱付き」を揃えて聴きたい・・・できればBach 「マタイ受難曲」も。10年位前は生演奏もちゃんと聴いていたけれど、ここ数年は自宅でもまともに全部聴けていない・・・正しい日本人として「第九」は年末に聴くべきなんでしょう。かつては演奏会に行くのが当たり前、すっかり不精になって、もう出掛ける意欲、元気も残っておりません。せめて、時節にあった美しい音楽をしっかり拝聴するつもり。

 今週末には甥の結婚相手ご両親にご挨拶、長岡への旅行が待っております。先月母親伴って、岩国の息子のところに遊びに行ったのが遠い昔のよう。正月をどうするか、逡巡中であります。

 先月のヴェリ・ベスト。

DG 4746002Beethoven 交響曲第3番変ホ長調「英雄」/第4番変ロ長調/第7番イ長調〜ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1962年)・・・パブリック・ドメインだし、良質な音源はネットより入手済、経緯や技術的云々に疎いリスナーは、なんやら高品質テクノロジーを駆使した音源(所詮.mp3)を再入手、放置しておりました。これが(SACDならぬiPodでも)目の覚めるようにクリア、オーケストラの質感、厚み、各パートの存在感、惚れ惚れするほど美しい音色を堪能いたしました。かつて聴いていた韓国製駅売海賊盤(音質なんのその!魂で聴け、と)の記憶を嘲笑うかのように印象一変!かつてメジャーの代表、権威権力の権化として嫌っていたカラヤンも半生記を経、冷静に拝聴すれば颯爽としたリズム、バランス感覚有、カッコ良さ際立ってみごとであります。細部、時にリズムが微妙にズレるのもリアル、華やかな印象はローター・コッホ(ob)の明るく浮き立つような存在なのでしょう。フルートもホルンも痺れるほど深く、美しい。

基本、古楽器の素朴粗野、軽妙なリズムのリズムのキレを愛するけれど、Beethoven 作品にカラヤンをリファレンス、スタンダートと認めるに吝かに非ず。子供の頃より食傷気味に拝聴してきた名曲中の名曲を新鮮に再発見いたしました。オーディオ環境改善には縁のない生活だけど、”より佳き音源を求めて往年の巨匠フルトヴェングラー幾種入手!”みたいなキモチ、ちょっぴり理解できました。

IMP DPCD 1019Mahler 交響曲第8番 変ホ長調〜ウィン・モリス/シンフォニカ・オブ・ロンドン/New Philharmonia Chorus/London Bruckner-Mahler Choir/Ambrosian Singers/Orpington Junior Singers/Highgate School Choir/Finchley Children's Music Group/Joyce Barker, Elizabeth Simon, Norma Burrowes, Joyce Blackham,Alfreda Hodgson, John Mitchinson, Raymond Myers, Gwynne Howell(1972年)・・・珍しい音源でしょ。拝聴三年ぶり、ウィン・モリス(1929-2010)はMahler に名演奏を多く残して、経歴を見ると合唱畑の人なんだな。油断すると阿鼻叫喚混沌混迷の渦に巻き込まれる作品、音質も良好、声楽扱いの上手さ、解像度の良さ、バランスに驚かされます。オーケストラは指揮者が寄せ集めた団体(数枚の録音有)に技量の不足を感じさせず、ゆったりとしたテンポ設定にリキみなし(第2部は66:20!)よう歌って細部、各々の声部を明快に、ていねいに美しく再現して巨魁なる作品の魅力を余すところなく表現して下さいました。

久々、ワケわからん(風)大曲!たっぷり、堪能いたしました。LP時代に聴いていた交響曲第2番ニ短調「復活」のみ、音源を探せません。CDになっていないのかな?(コメント抜けたけど、Mahler 交響曲第9番ニ長調〜ウィン・モリス/シンフォニカ・オブ・ロンドン(録音情報不明)も聴いておりました・・・バランスの良さ、よう歌って美しいのはいつも通り。)

EMI 0946 3 40238 2 5   11枚組 総経費込4,000円ほど  Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ガリー・ベルティーニ/ケルン放送交響楽団(1990年)・・・同じ旧EMI系のレーベルなのに、テンシュテットとは天と地ほど異なる鮮明な音質。あわててネットを探ってみたらちゃんとSACDになってましたね、こちらフツウのCDでも仰け反りましたもの。細部明晰な描き込み、適正中庸なテンポ設定、各パート際立つ美しさ、一糸乱れぬアンサンブルの集中力、縦線の整い方、キレ、鳴り切って芯のあるオーケストラの響き、恣意性を感じさせぬ旋律の歌・・・粘着質な詠嘆に非ず、贅肉脂肪分を削ぎ落とした”浪漫の欠片もない”演奏にも非ず、ほとんど理想的バランス。ややウケ狙い的作品(というか売れ筋「アダージエット」含んで、ウケ狙い的演奏も多いのか)をここ迄新鮮に聴かせて下さったのも、久々の経験でした。

RCA  R32C-1003処分済Bartok 管弦楽のための協奏曲〜フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団(1955年)・・・写真のCDは(モントゥー/北ドイツ放送交響楽団の「幻想」に続き)2枚目入手だったはず、とっくに処分してネット音源→自主CD化しておりました。大好きな作品、しかも30数分というお手頃なサイズ、CDも種々いっぱい出ていろいろ聴いております。でもね〜同じ結論、オーケストラの輝かしさ、上手さ、テンションの高さ、飾りの少ないストレート系の表現+作品に寄せる燃えるような情熱+時代を感じさせぬ鮮明な音質、作品が作品だからその辺り効果は顕著。どこも凄いけど、とくに第5楽章Finale(Pesante - Presto)の縦線の合い方には唖然とするばかり。

warner 4044012Stravinsky 三楽章の交響曲(1962年)/バレエ組曲「プルチネルラ」(1963年)〜オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団・・・先日、アラン・ギルバートによる繊細、美しい演奏にすっかり目覚めた作品也。この世代(フルトヴェングラー辺りも)が意外と同時代の作品紹介に熱心であって、クレンペラーにもけっこう録音は残っております(Stravinskyは実演機会少なかった由)。ゆったりとしたテンポ設定、じっくり噛み締めるような味わい溢れて、軽妙腰のカルい演奏に非ず。しかし鈍重でもない、オーケストラは上手く、合奏能力は高いもの(固有の色を出し過ぎない)。乾いてクール素っ気ない風情があって、別に濃厚浪漫に揺れるワケでもなし。三楽章の交響曲は劇的に重く、響き混濁して、ああこの作品苦手と思っていたけど、このクレンペラーはベース出汁はしっかり、色付け味付け明快でも塩分控えめの料理みたい。「プルチネルラ」にはいっそうその感を深めました。ホグウッド辺り(これも大好き)とは対極にあるような、ゆったり優雅な(どこかとぼけたような)味わいに充ちてお見事でした。音質も良好。

(2014年12月1日)


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written by wabisuke hayashi