2014年8月広隆寺

充実した夏、過ぎゆく夏


 昨年2013年転居して初体験のご当地の夏には苦戦いたしました。京都大阪の夏もたいがい厳しかったけど、こちらの暑さはひとしお・・・慣れぬ土地に転居して夫婦ともすっかり体調を崩しました。(昨年夫婦とも7と8の倍数)ことしは昨年ほどの気温に至らず、全国あちこち天候不順、被害が出るほどの豪雨もありました。体調はずいぶんと改善、エアコンを使う回数も少なかった。

 20148月岐阜金華山麓前年上高地の清涼に癒やされたけど、ことしは宿の確保に失敗して、お隣岐阜・長良川へ〜風情ある街、岐阜城金華山を目指したけれど、筆舌に尽くしがたいほどの豪雨に出会って全身ずぶ濡れ・・・奥美濃地鶏の親子丼(昼食)は絶品!夜のホテル・バイキングも上々、おみやげもなにも買わなかったけど(駅構内のスーパーにあったピーナツかぼちゃには未練有)、ホテル同宿の家族の様子も暖かくて、けっこう思い出になりました。ご近所(通勤圏)だし、また再訪いたしましょう。

 満福寺こちら名古屋岐阜方面には大学時代の親しい先輩が計5人、一年でもう5回ほど?呑んだかも。職場ではヴェテランでも大学時代の先輩との関係では一生後輩、若手、パシリ、可愛がってもらっております。毎年京都にて開催されるOB会は少々気分は重いんだけど、諸先輩との関係で絶対サボれない・・・勝手知ったる大阪(馴染みの呑み屋にて痛飲!喰い慣れた家庭料理も美味かった)、京都の寺社仏閣意地で回ってきましたよ。前年大きな被害があった嵐山の復興も確認したかったし、以前女房殿が(喪中と)訪問を渋った天龍寺(みごとな庭園)にも行ってみたかった。素朴な嵐電も大好き、途中で思い立って太秦下車、広隆寺の半跏思惟像にも待望の初対面を果たしました。

 写真は昨年に引き続いて訪問した萬福寺。改装なった美しい平等院にも二十年ぶり?お隣の博物館に見応え有。

 諸先輩、親しい同輩の充実した生き方に深く感じるところがありました。皆、もう引退世代だからなぁ、健康第一は前提、もっと日常生活、人生を愉しまないと・・・エエ夏休みでした。

 先月音楽ヴェリ・ベスト。せっかくのオーディオ部屋エアコン導入もあまり使う機会はありませんでした。

BRILLIANT 93761  35枚組総経費込5,400円ほどMozart ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453 〜アルフレッド・ブレンデル(p)/パウル・アンゲラー/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団(1961年)・・・第1楽章伴奏から溌剌躍動、ブレンデルのピアノも(グルダばりに)参入しております。我らがヴォルフガングに駄作なし、それを前提にト長調協奏曲K.453は別格の魅力〜こどもたちが春の高原に駆け出すような〜無垢な喜びに溢れます。パウル・アンゲラー(Paul Angerer1927-?)は墺太利の人、ヴィオラ(ダ・モーレ)の録音もあったような?後年ネヴィル・マリナーとの録音も知情意バランスのとれた美しいものだったはず。ブレンデル30歳の録音は、基本その(知情意バランス/きらきら美音方面に非ず)路線+若々しい勢いのあるもの。おそらくアンゲラーの表現意欲も手伝っているのでしょう。オーケストラは管楽器の音色など素朴で飾り(色気も)ない、それがMozart に似合っていると感じます。音質にもさほどに不満を感じない(懐かしいVOX録音/コロムビア・ダイヤモンド1000シリーズ)。

Valery Abisalovich Gergiev、1953-Mussorgsky/Ravel 組曲「展覧会の絵」/Stravinsky バレエ音楽「火の鳥」(1910年版全曲)〜ヴァレリー・ゲルギエフ/ウィーン・フィル(2000年ライヴ)・・・この人は時代の寵児なのでしょう。1953年生まれだから、世代的にもこれから。マリンスキー劇場の芸術監督は1988-既に四半世紀、ロンドン交響曲に加え、マゼール後のミュンヘン・フィルの首席指揮者就任予定とのこと。そんな薀蓄さておき、ほとんど(もちろん録音)聴いていない指揮者の一人、ロンドン交響楽団とのMahler をちょっぴり聴いて、優先順位から外してしまいました。この音源はネットから入手したもの、「展覧会の絵」は力んだり、特別な入れ込みを感じさせない、流れよく仕上げて颯爽としたバランス演奏であります。ウィーン・フィルは美しく、強靭なメリハリ、さりげないニュアンスにも欠けない完成度。露西亜出身(オセチア人)濃いヒゲから連想して、もっと濃い伝統露西亜風爆演系かな?と思っていたけど、意外とオーソドックスなんですね。「展覧会の絵」は後半に行くほど感興は高まって、アツくなっていく・・・後半どんどこアツくなって、タメが凄い!大太鼓?ズドンと地鳴り響いて微妙に遅れるんです。アンサンブルやサウンドに艶があるのに、風情は粗野なんです。なかなかエエもん聴きました。*この件BBSに情報有。「キーウの大門」の大太鼓のズレですが、古い録音の時代から多くの演奏はここをずらさないのが普通ですが、ブージー&ホークス社のこの録音以前の出版譜では、譜面とおりに演奏するとゲルギエフのようになります。ブージー版は、オーケストラ全体が2分の3拍子で書かれている中で、大太鼓パートのみは2分の2で書かれているので、忠実に演奏すると大太鼓が微妙にずれます。とのこと。

EMI CZS5692352de Falla 交響的印象「スペインの庭の夜」(アルド・チッコリーニ(p)/エルンスト・アルフテル/フランス国立放送管弦楽団1953年)/4つのスペイン小曲/Fantasia Baetica(レオポルド・ケロル(p)1952年)/クラヴサン協奏曲(フランク・ペレグ(cem)/ジャン・ピエール・ランパル(fl)/ピエール・ピエルロ(ob)/Robert Gendre(v)/ジャック・ランスロ(cl)/ロベルト・ベックス(vc)1956年)・・・「スペインの庭の夜」って子供の頃から幾度聴いて馴染み、真夏の湿っぽい漆黒の夜といったイメージ、なのに凄い名曲!とは感じなかった粗忽者。ところがチッコリーニの手に掛かるとモノラル録音なんのその!華やか軽妙妖しい雰囲気溢れて、ちょっと他では聴けぬ粋な風情に驚きました。作曲者愛弟子であるアルフテルの技量もあるのかな?レオポルド・ケロル(1899-1985スペイン)というピアニストも初耳、哀愁のリズムを刻む小品集に心奪われ、クラヴサン協奏曲(実体は室内楽)のモダーン繊細かつ前衛的な響きに感銘深い・・・

Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調〜スヴャトスラフ・リヒテル(p)/ロリン・マゼール/パリ管弦楽団(1969年)・・・交響曲連続聴きは少々ツラいけど、なぜかこの巨大長大な協奏曲は別格、若い頃からのお気に入り作品でした(出会いはルービンシュタイン1958年)。これは著名な音源なのに未聴、一連のマゼール追悼の意味を込めて入手したもの。もともとリヒテルのファンでしたし。音質状態整って、興が乗った時のリヒテルはほんまに素晴らしい〜強靭、濃厚、漆黒、重心は低く、魂を揺さぶられるような詠嘆に溢れます。数ヶ月前拝聴したギレリスはとても好印象(曰く、リヒテルと異なって、叙情的、情熱的(恣意的?)表現とは一線を画した、バランス感覚抜群の完成度、と)、こちら”重さ”を予想して敬遠していたもの。聴き手の精神的な問題もあるのか、入念に濃い味付けもしっかり受け止めて、これぞ浪漫!といった手応え充分。最近の嗜好はギレリスだけど、昔馴染みのリヒテルもさすが強烈な技巧に圧倒されました。

(2014年9月1日)


●歴代「近況」保存分●最新の「近況」
2014年8月● ●2014年7月● ●2014年6月● ●2014年5月● ●2014年4月● ●2014年3月● ●2014年2月● ●2014年1月● ●2013年12月● ●2013年11月● ●2013年10月● ●2013年9月● ●2013年8月● ●2013年7月● ●2013年6月● ●2013年5月● ●2013年4月● ●2013年3月● ●2013年2月● ●2013年1月● ●2012年12月● ●2012年11月● ●2012年10月● ●2012年9月● ●2012年8月● ●2012年7月● ●2012年6月● ●2012年5月● ●2012年4月● ●2012年3月● ●2012年2月● ●2012年1月● ●2011年12月● ●2011年11月● ●2011年10月● ●2011年9月● ●2011年8月● ●2011年7月● ●2011年6月● ●2011年5月● ●2011年4月● ●2011年3月● ●2011年2月● ●2011年1月● ●2010年12月● ●2010年11月● ●2010年10月● ●2010年9月● ●2010年8月● ●2010年7月● ●2010年6月● ●2010年5月● ●2010年4月● ●2010年3月● ●2010年2月● ●2010年1月● ●2009年12月● ●2009年11月● ●2009年10月● ●2009年9月● ●2009年8月● ●2009年7月● ●2009年6月● ●2009年5月● ●2009年4月● ●2009年3月● ●2009年2月● ●2009年1月● ●2008年12月● ●2008年11月● ●2008年10月● ●2008年9月● ●2008年8月● ●2008年7月● ●2008年6月● ●2008年5月● ●2008年4月● ●2008年3月● ●2008年2月● ●2008年1月● ●2007年12月● ●2007年11月● ●2007年10月● ●2007年9月● ●2007年8月● ●2007年7月● ●2007年6月● ●2007年5月● ●2007年4月● ●2007年3月● ●2007年2月● ●2007年1月● ●2006年12月● ●2006年11月● ●2006年10月● ●2006年9月● ●2006年8月● ●2006年7月● ●2006年6月● ●2006年5月● ●2006年4月● ●2006年3月● ●2006年2月● ●2006年1月● ●2005年12月● ●2005年11月● ●2005年10月● ●2005年9月● ●2005年8月● ●2005年7月● ●2005年6月● ●2005年5月● ●2005年4月● ●2005年3月● ●2005年2月● ●2005年1月

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi