夏の終わり
毎日ぼんやり過ごしても、いつの間にか秋の風、2017年も残り4か月となりました。月並みだけど「光陰矢の如し」。
継続雇用激安サラリーマンは精神的にラク、苦手としていた(するほうもされるほうも)人事考課とは無縁のお気楽な日々となりました。手間の掛かる若い相棒への世話も、かなり落ち着いてきましたよ。いくら「激安」でも、もっと条件の悪いサラリーマンは世間にいくらでも存在するし、こちら老後への蓄え準備も既に終了、今のところ女房殿の稼ぎもしっかりしているから、生活云々の心配もありません。
職場5人の20歳代独身、先週は長良川の鵜飼いとか、焼き肉に行って「牛タンを生で喰いそうになった」とか、フットサルの試合に参加したり、リレーマラソンに出ませんか?とか誘われたり(んなことできるはずないやろ!)元気、日々愉しそうやなぁ、息子世代(より下)を毎日、眩しく眺めております。若いなりに悩み苦しみ焦りはあるんでしょう。自分もそうだったし。
10年ほどCD処分を続けて、CDラックを大中小4本→大1本に集約、4年前迄使っていた20数年ものスピーカーをようやく処分したり、身辺整理も進みました。一番大切なのは心身ともの健康、身体のほうは週3-4回夜のスポーツクラブ+ちょっぴりずつ減量継続中。謎のアレルギー症状に洟水鼻詰まり咽の不調に睡眠不如意はもう2年ほどか、今月20日には大学病院にて皮膚病からくる?関節炎の精密検査があります。ノーミソのほうはお仕事現役(のつもり)だし、柔軟性やら見聞を広げて機能が落ちぬよう気を付けております。
学生時代一番影響を受けた3歳先輩(名古屋在住)が軽い脳梗塞を発症入院にはショックを受けました。そういえば奥様が急に入院で来られない、そんな先輩も。毎年夏の終わり恒例の京都にて某OB会、最長老92?93歳だっけ、欠席だったのも時代の区切りを感じたものです。北海道の親父は91歳、いつでもお仕事中断して駆け付けられるよう心の準備をしておきましょう。
毎年必ず一度は訪問する、愛する京都。なんせ18-22歳一番多感な世代を過ごした街ですから。古臭い銭湯に入り、諸先輩同輩と呑み喰い語り合い大笑い。華頂山知恩院に参拝し(糖質ダイエット中禁断の)ラーメンを喫したり、夏の名残を惜しみました。今年2017年2月にパソコンを交換以来どーもネット環境がぱっとせんという悩みを抱え、ヤフオクにてPLC機器を激安入手(送料込1,400円弱)一気に改善したり・・・佳き8月でした。
● いつもの先月のヴェリ・ベスト。
●Ravel バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全曲)/バレエ音楽「ジャンヌの扇」Ravel 「ファンファーレ」/Pierre-Octave Ferroud(ピエール=オクターヴ・フェルー1900-1936)「行進曲」/Ibert「ワルツ」/Roman=Manuel(ロマン=マニュエル1891-1966)「キャナリー」/Marcel Delannoy(マルセル・ドラノワ1898-1962)「ブーレ」/Roussel「サラバンド」/Milhaud「ポルカ」/Poulenc「パストゥレイユ」/ Auric「ロンド」/Florent Schmitt「慈善バザーのワルツ」〜ジョン・アクセルロッド/フランス国立ロワール管弦楽団(2012年)・・・John Axelrod(1966-)は亜米利加出身の中堅、オーケストラは1971年創立のロワール・フィル(ピエール・デルヴォーの記憶も印象的)が1996年国立ロワール地方管弦楽団と改名したんだそう。先日リヨン管弦楽団が上手くなったことに驚いたけれど、こちらも同様、仏蘭西の雰囲気個性をたっぷり残しつつ(冒頭のホルンの柔らかさ)「マ・メール・ロワ」のメルヘンなデリカシーたっぷり堪能いたしました。ケチ臭く組曲じゃなくて、ちゃんと全曲堪能したいもの。
問題は「ジャンヌの扇」、いままで「ファンファーレ」しか聴いたことがない珍しい全曲バレエ音楽。ジャンヌさんの委嘱であちこちの作曲家がちょっとずつ共作(というかオムニバス)していたんですね。初耳作曲家はいちおう日本語読みと生没年を入れておきました↑。これが小粋な風情に溢れて、ときに元気良すぎる作品多彩に続いて愉しいもんでっせ。音質も極上。
●Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調(アンドラーシュ・シフ(p))/Bartok 二つの肖像(コーリャ・ブラッハー(v))/組曲「不思議なマンダリン」〜イヴァン・フィッシャー/ベルリン・フィル(1998年ライヴ)・・・これは演奏音質とも強烈なライヴ音源。フィッシャー兄弟の演奏に失望したことは一度もないし、手兵のブダペスト・フェスティヴァル管弦楽団も立派なオーケストラだけど、ベルリン・フィルの豊かな厚み、艶は桁がちゃいまっせ。協奏曲の冒頭ホルン、木管ソロもゾクゾクするほどエエ音で鳴っておりました。シフは例の如しベーゼンドルファー?落ち着いた雰囲気に滋味深い音色(テクニックが安定しているのは前提)が練り上げられた弦に溶け合います。涙が出るほど高貴なヴァイオリン・ソロが聴ける「理想的なもの」、そして「醜いもの」〜「マンダリン」の暴力的なド迫力に打ちのめされました。19分の組曲版なのが残念至極。
●Sibelius 交響曲第2番ニ長調〜渡邉暁雄/日本フィル(1962年東京文化会館)・・・一昨日拝聴した第7番収録は杉並公会堂、こちら東京文化会館は1999年改装前、デッドな響きに奥行き潤いが足りないけれど、やはり優秀録音なのでしょう。Sibelius一番人気の交響曲は熱演!北欧の旅情漂う名旋律は入魂の力強さ、旋律表現そのもは詠嘆に朗々と歌ういったものに非ず、むしろ要らぬ飾りを除いて決然としたフレージングであります。各パートは充分に力量を発揮して金管の爆発もお見事、第3楽章「Vivacissimo − Lento e suave − attacca」に於ける、弦の細かいパッセージも1962年の日本でここまで!といった感慨深い完成度であります。凄いぞ!渡邉暁雄さん(1919-1990)。
●パブリック・ドメインに至って待望のネット音源入手可能になったものから、Sibelius 交響曲第7番ハ長調〜渡邉暁雄/日本フィル(1962年)・・・荒涼たる一気呵成な幻想曲である第7番は中学生以来のお気に入り作品。LP時代所有していた一枚(第1番だったか?)は再録音だったから、史上初のステレオ全集録音は初耳、杉並公会堂での録音担当は若林俊介さんのワン・ポイントらしい。あまりビットレートの高くない.mp3でも優秀録音は確認可能です。東京オリンピック前、未だ世間は「運命」「未完成」な時代にSibelius全集を取り上げて、それは資料的価値に非ず、現役演奏として技術的アンサンブル、完成度になんの不満もありません。正規CD復刻されてますか?忘れ去られるにはもったいほどの感銘をいただきました。
●Debussy 交響的素描「海」/バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)〜グスターボ・ドゥダメル/ロサンゼルス・フィル(2013年ライヴ)・・・次世代への巨匠確定な若手は1981年生。あわててベルリン・フィルに行かなくても西海岸のオーケストラのほうが体質に合っていると思います。(2009年より音楽監督)シモン・ボリバル・ユース・オーケストラとの録音は元気があって、技術的に整っても”味が足りない”印象有、これは人気を物語る完成度の高さ(編集はしているのでしょう)。明晰な「海」もなかなかなものだけど、長大なるメルヘンなバレエ音楽「火の鳥」のわかりやすいこと!繊細であり、低音がよう効いた会場の美しい残響(ウィルト・ディズニー・ホール)に心奪われる美しい演奏。1960−70年台の演奏に馴染んだこちら(いつの間にか)オールド・ファンには驚愕のサウンド洗練、全世界どんどこオーケストラは上手くなる・・・
●Rodrigo アランフェス協奏曲〜ジークフリート・ベーレント(g)/ラインハルト・ペータース/ベルリン・フィル(1966年)・・・これは廉価盤LPが懐かしいヘリオドール1000シリーズ?だっけ。初耳。Siegfried Behrend(1933ー1990)は早く亡くなったから現在では音源入手困難か。ベルリン・フィルがRodrigoの伴奏というのも珍しいこと。これがかつて聴いたことのない骨太かつしっかりとした構成を感じさせるソロ、オーケストラは文句なく美しく雄弁、誰でも知っている「Adagio」哀愁の変奏曲の説得力!次のCastelnuovo-Tedescoを続けて聴かないのが根性なしやなぁ・・・
●Mahler 交響曲第6番イ短調〜パブロ・ゴンザレス/カタルーニャ国立バルセロナ交響楽団(2011年1月23日ライヴ)・・・Pablo Gonzalez(1975-)は西班牙期待の俊英でしょう。放送録音をネットより入手したもの→自主CD化。大掃除整理整頓中再発見して久々、じっくり拝聴いたしました。驚くべきは音質リアル鮮明なこと!そしてオーケストラの技量、熱気溢れる推進力。たっぷりとした豊かな響きの厚み、迫力、ものものしくなり過ぎぬバランスな中庸テンポ、緩徐楽章である「Andante moderato」は第2楽章に配置、ここの爽やかな歌は天国的でしょう。かつての記憶ではオーケストラの技量問題(アンサンブルが粗い?)を気にした記憶有〜あれは幻だったのか。怪しい威圧感に敬遠気味だった作品に久々、好ましく集中できました。
(2017年9月1日)
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