岡山にて

今年の秋は速いぞ


 昼間はけっこう気温は上がるけれど、朝晩の涼しいこと。例年の残暑は何処?素直な秋が到来しております。

 週2回、真面目にスポーツクラブに通ってサボらず、しっかり汗をかいて、それなり体調維持出来。2ヶ月ほど前?左側奥歯上下、突然染みるようになって2回ほど歯医者に行ったけれど解決せず、その後予約が取れずに、ま、とにかくシュミテクト(知覚過敏にはこれ!)にて日々磨いておりました。少々お高い歯磨き粉が効いたのか、それともストレスやら精神的な問題か?ここ最近、あまり症状が気になりません。あとは耳鼻科再挑戦やな、尼崎時代はご近所に名医がいたんだけれど。ドライ・アイとマウス腱鞘炎は相変わらず、それと減量必須。

 先月賞賛した若者達のブログは毎日のように眺めて感心しているけれど、ちょっと読み疲れてきました。曰く偉そうに「悲観論」を繰り出す「卑怯者」に気をつけろ。

 〜これって、28年前に別居で出て行った母親を連れて実家(山口県周南市鹿野)に日帰りで帰省、押し寄せるノスタルジアに吐きそうという記事に対する厳しい批判なんですね。趣旨は傍観者ぶっているヒマがあったら田舎を動かしてみろ!と。でもね、「押し寄せるノスタルジア」記事にけっこう感動しました。すべての人が前向きなハズないじゃん、諦めて、もうな〜んもできんけど、妙に懐かしく、甘美に後ろ向きな思い出にひたる〜それも良いんじゃないかな。自分が「卑怯者」だから?うん、おそらくそうなんだけど、年齢のせいもありますよ、それを言い訳に逃げちゃいけんが。

 いずれ、尖った(少々耳に痛い)ご意見は大切に拝聴いたしましょう。学ぶことはいっぱい有。一般的にはマイナスなもの、マイナーなもの、社会的に弱い人、不便な田舎にチャンスや希望を見出す姿勢には共感しますよ。求めて炎上させる人、理不尽なツッコミを入れる人はビョーキだから気にしない、仲の悪い人とムリして和解する必要はない、そんなヒマはない、とか。数日前のニュース番組だっけ?隣国とは仲良くする必要はない、成熟した国家は「とにかく喧嘩しない」ことを旨とすべき(英国と仏蘭西を見よ)それに似ていると思います。

 こちら新興衛星都市には新しいロードサイドなチェーン店ばかり、美味い伝統食とか珍しい喰いもんにはさほど期待できない。だから地方名産グルメ記事はうらやましいですね。おそらく、ご当地転居2年半余、まだまだ研究探索発見が足らんだけかも。なんせ自家用車がなくて行動範囲が狭いですから。

 もうひとつ(「音楽日誌」にも言及したけど)「過剰に収集すると使わなくなる」〜これは、多く所有することが=シアワセに非ずということやろなぁ。あまり説教臭いのはキライだけど、あるものをムダなく使う、少々の不便を愉しむことが大切なのでしょう。

 

 先月のヴェリ・ベスト。珍しくBeeやんの交響曲全部聴きました。

半村良「どぶどろ」(扶桑社文庫)・・・読み始めたら連環のない人情話短編の寄せ集め?登場人物の風体をテレビ時代劇風に想像しつつゆっくり読んでいたら、ラスト長編「どぶどろ」にようやく主人公”この字の平さん”(銀座の実質岡っ引き)登場、前の逸話がぜんぶ繋がって、悲劇的な救いのない結末へ〜読み応えありました。田沼時代後を舞台にした時代小説の傑作也。

*Chopin ピアノ協奏曲第2番ヘ短調〜レギーナ・スメンジャンカ(p)/ヴィトルド・ロヴィツキ/ワルシャワ国立フィル(1959年)・・・昔から(知る人ぞ知る)著名な音源・・・スメンジャンカに昨今の種々演奏に見られる、キラキラ華やかな技巧にはちょっぴり足りないけど、それがなんなんだ。優しい揺れ、歌、リズム感(第3楽章 「Allegro vivace」に於ける躊躇いがちのマズルカ)。豪快にばりばり弾き進んだり、スカッとキレ味テクニックとか、そんな世界とは別次元の(やや地味系)味わいに、聴き手はココロ揺さぶられるんです。

CCSSA28309Brahms ハンガリー舞曲第14番ニ短調/交響曲第1番ハ短調/ハイドンの主題による変奏曲〜イヴァン・フィッシャー /ブダペスト・フェスティヴァル管弦楽団(2009年)・・・もしかしてここ数年、目の覚めるほど音質鮮明なBrahms の交響曲を聴いたのも久々、このオーケストラびっくりするくらい上手い(対向配置)。第1楽章提示部繰り返しは当たり前、センスはモダーン、リズムに重さはなくやや速めのテンポ、細部明晰と厚みある響きが同居します。旧態とした暗鬱な重厚さを強調せず、基本姿勢はクール、微に入り細を穿つニュアンスに富んで、弦のちょっぴりポルタメント風テイストも泣かせますねぇ。”ハイ・バリ”を名曲と感じさせてくださったのも初体験、昔馴染みの”ぶらいち”のヴェリ・ベスト也。

懐かしいLP時代のデザインMussorgsky/Ravel 組曲「展覧会の絵」/ボレロ〜ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1965/6年)・・・LP時代懐かしい音盤、CD時代以降は聴いていなかったかも。【♪ KechiKechi Classics ♪】に載っているのはフィルハーモニア管弦楽団との録音(1955年)でした。記憶ではあまりに手慣れ、ムーディな雰囲気満載に反発、ボレロも元気が足りない(おそらくミュンシュの情熱演奏が念頭にあったはず)→ところが幾星霜、オーケストラの分厚いセクシーな響き、どこにも力みのないエッチな語り口に魅了されました。ボレロも上手いなぁ、オーケストラが。この辺りがカラヤン/ベルリン・フィルの最盛期か。

CCSSA30710Beethoven 交響曲第4番変ロ長調/第6番へ長調「田園」〜イヴァン・フィッシャー/ブダペスト・フェスティヴァル管弦楽団(2010年)・・・先日Brahms の新鮮さに驚いた記憶有。こんな新しい録音続けて聴くなんて、すっかり贅沢になっちまったな。なんせネットからあっという間に拝聴可能なので。オーケストラの優秀さ、バランスの良い鮮度表現〜どのパートを主張させるのか、一番効果的なのか明確な指示、楽譜のことには疎いけど「田園」最終楽章ヴァイオリンの主題がソロに置き換わったり種々趣向満載。テンポは中庸、テンポの動きにも抑制と矜持有、落ち着きはあってもリズムあくまで軽快、響きはクリア、センスは洗練モダーン、粋であります。小学生の時から聴きすぎて、食傷気味だった「田園」はなんと美しいこと。

Octavia Exton KJCL-6 Beethoven 交響曲第3番変ホ長調「英雄」(弦楽五重奏版)/「エグモント」序曲/「プロメテウスの創造物」序曲/「フィデリオ」序曲(以上弦楽四重奏版)〜エンシェント・コンソート・プラハ(1999年)・・・仰け反りました。毎日できるだけ多くの音楽を聴いて、最初っから最後迄文句なし!なんてことは滅多になし。音楽の素の骨組みがリアルに表出され、もちろん管楽器の色彩やらオーケストラの厚み、打楽器などで強化された迫力皆無。それでも昔馴染みの作品、ノーミソ中でそれを理想的に補っているのか、溌剌躍動に充ちた理想的な「英雄」が鳴り響きます。少人数のアンサンブルになれば当然テンポは速めに、キレのよいクリアなサウンド。古楽器らしいですね、一気呵成にラスト迄拝聴中、そのことに気付きませんでした、というか、そんなことを意識させぬ新鮮さ。子供の頃の無垢な感性を失って以来、Beeやんの序曲にこれほどの新鮮な感銘をうけたのも久々、ほとんど初めて。イロモノに非ず。

(2015年10月1日)


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written by wabisuke hayashi