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石の上にも懲役4年〜2016年の終わりに


 クリントンさんが負けても、朴さんが苦境に陥っても、女房殿の風邪のほうが心配、こちら日常の生活は淡々と過ぎて2016年ラストの月となりました。ここしばらく家庭のキカイ関係が次々アウトな件、引き続きプリンターの番となって、中古激安類似品をオークション入手しました。(HP PhotoSmart 6510/2,296円税送料込)じつは(インクカートリッジ)扱い上の問題で前機種はちゃんと生きていることは後で判明。ちゃんと印刷されないといった小さなトラブルのクリア(OSアップデートによるバグ)もノーミソの佳き刺激でっせ。

 2016年の某調査によると(ジモティには申し訳ないが)名古屋は一番魅力のないところらしい。4年前2013年、馴染みの大阪(住居は尼崎)より異動辞令を受けた時にはショックでしたよ。周りもびっくりしたみたいで「希望したの?」との質問攻め、んなハズないやろ!いざ転居した街は長久手市(全国住みやすい街No.2とやら/全国もっとも若い市民平均年齢37.7歳とか)妙に殺伐とした新しい街と感じたのは、自分の心象風景の反映だったのか。外食しても、スーパーで惣菜を買っても口に合わない(この件は女房殿合意)夏は異様にに暑く、冬はとことん冷える・・・更に、職場運営・文化の違和感+華麗なる加齢+ストレスに体調を一気に崩したものです。

 ご当地に転居が決まって女房殿と家探しをしに初訪問、その時、不動産屋さんから「何年くらいのご予定ですか?」と訊かれ、女房殿は「4年!」と即答したものです。自分は「懲役4年やなぁ」とシミジミ嘆息した記憶もあります。4年経ったら定年退職、どこか西国の温かいところ、喰いもんのおいしいところに退却しようと心に決めておりました。

 石の上にも4年。2年目2014年くらいから職場の違和感の要因を理解できるようになり、3年目2015年にはすっかり自分のお仕事ペースになりました。女房殿が60歳も近いのに、ちゃんとしたお仕事に就いたのもおおきな生活の変化、それでも今年2016年1月時点では「あと一年で辞める」意思は変わっておりませんでした。一年先輩が継続雇用を希望して、周りを嘆かせているのを目の当たりにして、自分は若い人に迷惑を掛けたくないな、と。

 心境の変化は、新しい若い上司が赴任して、職場運営の違和感を理解して体制変更をしてくださったり、30数年ぶり!職場の「基本的システム置き換え大作業」の職場窓口に指名されたり、上司が「あてにしてまっせ」(人員定員は削減される一方なので、即戦力は維持したい)と温かい言葉を掛けてくれたり、ま、社会的にも継続雇用が当たり前になってきた流れもあるのでしょう。

 ぼちぼち継続雇用を意識するようになって、それを前提のお仕事+生活スタイルに変えていった2016年でした。毎週数回、スポーツクラブに通って身体も鍛えてますよ。じつは「 基本的なシステム置き換え大作業 」にはビビッて、新しい仕組みに自分はついていけないんじゃないか、ノーミソ柔軟性を失って使いこなせないかも、そんな不安もありました。9月に新システム稼働、以来3か月使いこなして幸い、おそらくは職場内自分が一番使いこなしている状態に至りました。

 先日、某ネット記事の「継続雇用」関連記事に「自分の立ち位置、謙虚な心構えが大切。パソコンがフリーズして、おーいなんとかしてくれ!エラソーに叫んでも嫌われるだけ」とありました。うむ、まさにその通り。ま、一世代前に比べて年齢は80%計算=60歳だったら48歳換算とのことだから、そう思ってがんばりましょう。職場でパソコン関係のトラブルや質問があれば、たいていワタシのところに相談がありますし。実際は「シン・クライアント」(デスクトップの実態はクラウドに有)だから、できることは少ないけれど。

 数日後に人生ラストの「ボーナス」をいただいて、来年度からは時給となります。土日祝日全部休み(有休は持越し)残業基本不可、出張もなし(ほんまはそうでもないけど、行きたくもない)もうお金じゃない、幸い無借金無財産家計、あるだけで質素に暮らす術は身に付けました。女房殿も浪費家に非ず、むしろ節約趣味の夫婦であります。風邪大流行!インフルエンザも大流行!しても、自分はいまのところセーフな歳の末也。

いつもの前月のヴェリ・ベスト。出不精な自分が2回も演奏会に行ってきました。

Membran Wallet 233362Dvora'k 交響曲第8番ト長調/Brahms 交響曲第3番ヘ長調〜ジョージ・セル/コンセルトヘボウ管弦楽団(1951年)・・・英DECCAはモノラル時代から音質優秀。コンセルトヘボウのふっくらあたたかみのある響きを堪能可能です。LP時代からお気に入りでした。たかも(今回CDボックス500円入手の決め手になった収録)。Dvora'k 交響曲第8番はその後CBS、EMIと録音して、ジョージ・セルの十八番(おはこ)だったんでしょう。久々拝聴した「新世界」は思わぬ硬派、速めのテンポに引き締まった印象だったのに対して、こちら歌心に溢れて懐かしい旋律をしっかり活かした演奏は(三種)どの演奏も変わらない。第1楽章 「Allegro con brio」から懐かしさいっぱいの郷愁と大爆発、第2楽章「Adagio」の安寧と情感の高まりのバランス、第3楽章「Allegretto grazioso - Molto vivace」はとろりとろけてDvora'k最高傑作の甘美な泣き、第4楽章「Allegro ma non troppo」力強い変奏曲と悠々たるチェロの響きに心奪われました。最高。

Brahmsも同様、第3楽章 「Poco allegretto」は遣る瀬ない甘美(隠微?)な官能は最近聴いた同作品中No.1の出来。この2曲はCD一枚分黄金の組み合わせですね。

ERATODukas 交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」(1991年)/序曲「ポリュークト」(1992年/以上フランス国立放送新フィル)/Debussy バレエ音楽「おもちゃ箱」(Andre Caplet編/1981年/バーゼル交響楽団)〜 アルミン・ジョルダン・・・Armin Jordan(1932-2006)は往年の瑞西の指揮者、けっこうな録音が残って日本じゃあまり人気出なかったかもしれません。売れ筋「魔法使い」さておき、微妙に知名度の低い作品を組み合わせて、なかなか凝った一枚也。なかなか良さ気、繊細、小粋な感じはあるけれど、なんせ「ファンタジア」以来の人気作品を筆頭にして、もっとデーハーな雰囲気に馴染んでおりました。「ポリュークト」は初耳、甘美しっとり静謐な風情の名曲でした。さっぱりとしたWagnerみたいな感じ。「おもちゃ箱」は(聴く機会の少ない)バーゼル交響楽団、例の如しの神秘のサウンド+ユーモラスな世界は緻密に表現されて、けっこう上手いオーケストラですね。

 Delos DE3278Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」〜ジェームス・デ・プリースト/オレゴン交響楽団(2000年)・・・James DePreist(1936-2013)は亜米利加の指揮者、人種問題、障碍(ポリオの後遺症)乗り越えて活躍された方の音源は初耳?オレゴン響音楽監督在任は1980-2013。ほとんど話題にならぬ録音、ネット上での数少ない論評を拝見しても、特別な評価をされておりません。「ハルサイ好き」な自分としては久々、快哉を叫びたいような素晴らしい演奏に出会った気分。オーケストラが驚くほど上手い、音質は自然な定位、奥行き、時に低音の迫力も充分、不自然にデーハーな効果を強調したものに非ず。流れは良いが細部を曖昧に流さない、ムリムリな個性を強調しない自然体(じわじわとアツくなる)表現も、好感を以って拝聴いたしました。

DG 138766Haydn ピアノ・ソナタ第44番ト短調/Chopin バラード第3番 変イ長調/Debussy 前奏曲第1巻〜第2曲「ヴェール(帆) - Voiles」/第3曲「野を渡る風 - Le vent dans la plaine」/第5曲「アナカプリの丘 - Les collines d'Anacapri」/Prokofiev ピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調 作品84「戦争ソナタ」〜 スヴィアトスラフ・リヒテル(p)(1961年)・・・若いころは Sviatoslav Teofilovich Richter(1915-1997)が好きだったけれど、ここ最近若い現役優先して拝聴機会減っておりました。協奏曲は別として、ソロ・アルバムにはこんなオムニバスというか、好き勝手な録音をしていたのだな。これが暗く、深く、重い、流れの良いHaydnから絶品!思わず引きこまれて、次のChopinは少々色気不足だとしてもDebussyの妖しい雰囲気+硬質なタッチ+スケールに打ちのめされました。彼の前奏曲第2巻は全曲揃うけど、第1巻はたしかまとまっていないはず。まったく異なる風情の硬派Prokofievへ続けて違和感なし。彼の技巧の冴えは、いかにも鋭く、スムースに弾いてます!的印象に非ず、もっと深遠な味わいに充ちて、これはほんまに貴重な遺産に間違いない。

Ion Marin(1960-羅馬尼亜→墺太利)Mahler 交響曲第8番 変ホ長調〜イオン・マリン/デンマーク国立(放送)交響楽団/DR VokalEnsemblet/DR KoncertKoret/Kammerkoret Camerata/Lille MUKO/Kobenhavns Drengekor/Anne Margrethe Dahl (s)/Inger Dam-Jensen(a)/Mihoko Fujimura(a)/Andrea Pellegrini(a)/ Ditte Andersen(a)/Nikolai Schukoff(t)/Johan Reuter(br)/Attila Jun(b)(2009年ライヴ)・・・2011年にネットから入手した音源也。音質上々。藤村実穂子さん参加してますね。Ion Marin(1960-羅馬尼亜→墺太利)はライヴが音源がたまたまネット上に出現した、みたいな水準に非ず、このままCDで発売してもおかしくないほどの(表現音質)完成度。やや遅めのテンポ、じっくり細部描き込んで、響きは混沌に至らない。声楽の扱いがみごとであって、大規模管弦楽(+オルガン)との交通整理もわかりやすいバランス感覚。オーケストラも上手いですよ。第1部 賛歌「来れ、創造主なる聖霊よ」に前のめりの咳いた威圧感なし、響きはあくまで爽やかでした。第2部「ゲーテの”ファウスト 第二部”から最後の場」は美しい旋律連続!スケール大きく、各場面の描き分け表情付けもていねいに、やがて圧巻のクライマックスがやってきます。聴衆の拍手も熱狂的。

(2016年12月1日)

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written by wabisuke hayashi