夏
6月は祝日が一日もなくて、順調に梅雨らしい梅雨、そして気温も上がって区切りよろしく土曜がラスト。あっという間に終わってちゃんと夏がやってきました。若い頃は夏が好きだったなぁ、現在でも冬より好きなのは北海道の厳しい冬を知っているから。ご当地名古屋(近郊)の猛暑は噂以上、2013年3月末にこちらに転勤転居してその年の夏に敗北、夫婦して夏バテ、ダウンして寝込んだもの。もう丸5年以上過ごして定年退職を迎え(いちおうそのまま)継続雇用の現在に至っております。職場まで徒歩3分ほど、逆方向に徒歩3分のスポーツクラブと契約したのは2015年7月、以来丸3年週数回の鍛錬継続して、なんとか、辛くも華麗なる加齢症状に抗がっております。
先月は平日夜契約16回!お休みしたのは一度だけ(職場呑み会参加)定額4,500円(税抜)だから安いもんでっせ、これで大浴場でもあれば文句ないんやけど・・・規則正しい生活と云うか、変わり映えせぬ日々と云うか、毎日それなりに面白く、マンネリでもあります。60歳定年前年はもうお仕事辞めるつもりに日々悩んで鬱々「これから先どーする?」〜結果的に安易に継続雇用希望して(お給料のみ下がって)それ以外、ほとんどお仕事水準テンションも変わらぬ生活、矛盾を先延ばしにしたのみ。地域密着型のお仕事再就職に成功した女房殿も、あまりの激務に来春にはお仕事を辞める決意を周囲に伝えております。大阪に一人暮らしの母親が心配なんです。
微妙な体調不良はここ数年継続、それでも現状生活にも困らず、息子が独り立ちした10年ほど前よりそれなり慎ましい生活、身辺整理を継続させております。たまたまあちこち転勤も続いて、持ち家もなし(若い頃にマンションは処分済のまま)老後の住まうところ、生活のあり方も見えておりません。欲しいものはないなぁ、なにも。できるだけ美味しいものを食べるのが希望、美しい音楽、見聞の幅を広げる読書、テレビドラマは現状で充分堪能しております。今月「近況」のネタがない、いえいえ毎日の「音楽日誌」だってネタ切れの愚痴連続、商用ブログと異なってアクセス解析など意識的にしなければわからない【♪ KechiKechi Classics ♪】、せめて”話を盛る”ことをしないのがぎりぎりの矜持。”インスタ映え”させるために生活を変えるのは本末転倒でしょう。
ネタ切れでも愛用のパソコンの前に座れば、すらすらと上記3パラフレーズくらいは書けて、文章執筆も趣味のひとつ、ノーミソ鍛錬なのでしょう。今日も暑くなりそうだ。
● 先月のヴェリ・ベスト。”云々月間”は止めて、日々思いつきの音楽拝聴に戻ってしまいました。
■ R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」/「ドン・ファン」/「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」〜ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1972-73年)・・・棺を蓋いて事定まるとはこの人のこと。”巨人カラヤン卵焼き”とかつて云われ(ウソ)生来の天の邪鬼性格であるワタシは現在でも連敗に溜飲を下げる”アンチ・ジャイアンツ”、若い頃は”アンチ・カラヤン”だったのも酸っぱいブドウだったのでしょう。最晩年の枯れた風情に耐えきれず、”カラヤンはフィルハーモニア時代迄が最高!”と意気がってみても、彼(か)の音質に耐えられません。1960ー70年代の鼻持ちならぬ勢いと色気こそ、今となっては懐かしいもの。10年後に再録音有。
世評を検索してみると音質云々言及があって(期待ほどじゃないとか)その辺りこちら縄張りの外。デーハーな作品をギラギラするような威力あるオーケストラが文句なく爆発して、”味わい系称賛”もちょいと虚しくなるほど。心身ともに元気だったら、こんなわかりやすい演奏が快感に決まっている!カラヤンのR.Straussは断片的に聴いてきて、こうしてまとまった音源を聴くと馴染みの作品旋律に”一聴、彼の個性”がはっきり表出、そのわかりやすさ、各パートの個性的な音色(とくに管楽器)に惚れ惚れいたしました。
■Grieg 組曲「ホルベアの時代より」/2つのノルウエイの旋律(ロツベルグ(v))/Emilia Amper(1981-)アブレジェ(arr.J.L.Rusten)(アムベル(ニッケルハルパ))/Gjermund Larsen(1981-)ディプロム(ラーシェン(フィドル))3曲〜オイヴィン・ギムゼ/トロンハイム・ソロイスツ(2009年)・・・ノルウエイのアンサンブルはムターと「四季」を録音しておりました。(未聴)ネット情報によるとノルウェーの古都、トロンハイムの音楽院の弦楽器奏者たちにトレーニングの場を提供することを目的として1988年、ビャルネ・フィスクム(リーダー)が創設した室内オーケストラ、とのこと。
躍動する「ホルベア」、これは大好きな擬バロック風作品、トロンハイムの(おそらく)若者たちは技巧的に文句なし、もちろんアンサンブルも優れていても、表層を整え洗練された美音に非ず、ザラリとした触感を以て”勢い”重視、懐かしい旋律をたっぷり堪能いたしました。注目は後半、Emilia AmperとかGjermund Larsen、初耳。これが泥臭い民族的な旋律リズムに溢れて(もちろんKhachaturianとはお国も個性も違うのは当たり前)nyckelharpaとかフィドル(洗練されない響き?なヴァイオリン)の粗野な音色の魅力と相まって、きっと北欧の伝統的な音楽に基づいているのでしょう。最高。
■Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ダニエレ・ガッティ/ロイヤル・フィル(1997年)・・・かなり以前より気になって、拝聴機会がなかった若い頃(36歳)の録音。旬の伊太利亜人指揮者Daniele Gatti(1961ー)は現在コンセルトヘボウの首席、このオーケストラでMahlerが振れなかったらお話になりまへんで。これはロイヤル・フィルのパワフルな金管を活かして、ドキドキするほど躍動感に溢れた演奏、テンポの揺れタメも爽やか、重くならぬ若者らしいパワフル個性全開。官能的な第4楽章「Adagietto. Sehr langsam(非常に遅く)」にも清潔感がありました。往年のRCA録音はお見事、現在入手困難なCDでしょうか。それなりボリュームを上げて堪能いたしました。お気に入り作品中のヴェリ・ベスト。
■Mozart クラリネット協奏曲イ長調K.622(イギリス室内管弦楽団)/クラリネット五重奏曲イ長調K.581(東京クヮルテット)〜リチャード・ストルツマン(cl) (1990年)・・・名人Richard Stoltzman(1942ー)は未だ現役、来日もしているみたいです。RCA音源はぼちぼち復活して、これも現役。東京SQは皆若い!第1ヴァイオリン・ピーター・ウンジャンは腕を痛めて指揮者に転身して・・・みたいな話題のずっと以前の記録。吹き振りの協奏曲は遅めのテンポ(とくに第2楽章「Adagio」)に細部ニュアンスを込め表現の幅も豊かなクラリネット、諦観に充ち、平穏清明な境地に至った稀代の名曲を色彩感さえ感じさせてお見事。室内楽は陰のように寄り添う弦楽が華やかなソロを引き立てて、クラリネット作品の最高峰を実感させて下さいました。
■Bartok ピアノ協奏曲第1番/第2番/第3番〜アンナ・ヴィニツカヤ(p)/マレク・ヤノフスキ/ベルリン放送交響楽団(2016年ベルリン・フィルハーモニー・ライヴ)・・・Anna Vinnitskaya(1983-)は露西亜出身の若手、別嬪はんやなぁ、意識して彼女の演奏を聴いたのは初めてかも。これはネットから入手した音源、音質良好。硬派暴力的サウンドが快感な名曲3曲揃えた演奏会、美しく瑞々しく豊かな音色と技巧で聴かせてくださる快演。ド・シロウト印象ではリズムと色彩のみ、旋律を感じさせぬ?第1番にリリカルな民族的な”歌”をしっかり感じさせてくださいました。金管のみ華やかな伴奏に始まる第2番第1楽章もきらきら輝くよう。平易穏健にわかりやすい第3番も同様・・・すっかり気に入ってネット上で彼女の音源を探しているところ。ヤノフスキの伴奏が充実して凄いんです。いくら盤石の鉄板演奏でもゲザ・アンダ/フリッチャイは半世紀以上前でっせ、こんなステキな若手が名曲に新たな光を当ててくれることに感謝。
(2018年7月1日)
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