安宅神社境内

「輪」から「冠」(コロナ)へ


 2月は最悪の月となりました。これをパンデミックと呼ぶのでしょう。次々と伝染っているのはわかるけれど、新型コロナ・ウィルス自体の典型的な症状経過〜快癒への道やら研究解明は進んでいないような?亡くなったのはご高齢、抵抗力が弱っている方らしい。いずれ急激な広がりに種々イヴェントやら集まりは中止へ、我が職場のお別れ会もなくなるほどの自粛ムード、小中学校も休校指示となりました。先行きの見えぬ不安に、風評被害も蔓延して、なにより経済的な影響が大きい。五「輪」景気のはずが「冠」(コロナ)のせいで散々な情勢へ、いまさらだけど春節のインバウンドを受け入れた(経済利益を優先した)政府の判断が誤りだったのでしょう。初期のせき止めディフェンスに失敗。

 ・・・てな話題はどこにも載っていて、不安だけど自分はいまのところセーフ、元気だけど、お仕事にぼちぼち影響が出て商品調達需給バランスが崩れつつあります。職場はチームでお仕事回しているから、小さいお子さんのいらっしゃるスタッフ女性が休めば、体制上も問題が出ることでしょう。時あたかも人事異動時期、なにもなくてもタイヘンなんすよ、3月はどーなるのか。明日からの新しい一週間お仕事サイクル開始に緊張しております。

 可能な限り夜はスポーツクラブに鍛えるのが健康の基本。花粉症以外体調はよろしいですよ。2019年8月瞬間風速65kg台を出してから減量は半年間停滞、2020年に入って博多、小松と美食の旅連続、停滞→増加に転じて68kgに接近、概ね+1-2kg状態に至っております。ここ数年鍛錬の成果、既にハラは出腹状態に非ず、しかし、鏡を見ると体重増は微妙な贅肉増にて事前予測可能です。どこから改善着手しようかな?まず間食をあきらめるか、それとも新たなトレーニング強化を検討するか。

 やはり寒い時期は減量は難しいのかもね。コロナ・ウィルス騒動さておき、春から夏を減量のチャンスとしましょう。暖かくなればインフルエンザみたいに収束するのか、なんとかオリンピック・パラリンピックに間に合ってほしいものです。かなり危うそう。

 いつもの前月ヴェリ・ベスト。ちょっと音楽に対してスランプ気味でした。

Brilliant BRL92132Beethoven ピアノ協奏曲第1番ハ長調/第2番 変ホ長調〜エミール・ギレリス(p)/クルト・マズア/ソヴィエット国立交響楽団(1967年ライヴ)・・・Emil Gilels(1916ー1985露西亜)三種目の全集はライヴ、練習なしで・・・見てきたようなコメントはあながち法螺に思えぬほど、スリリングにアツい、凄い演奏でした。音質は旧ソヴィエットの正しき伝統を受け継いで粒も粗い、バランスもよろしくないけれど、そんなこと忘れさせてくださること請け合い。”鋼鉄のピアニスト”とは重厚長大産業華やかな時期の安易なキャッチフレーズだけど、強靭な打鍵はまさに”輝かしい鋼鉄”。ユーザーレビューには「ピアノが壊れるほど」とあったのも一理あるコメント、馴染みの初期ピアノ協奏曲はひたすら熱く、客演したマズアも煽られて必死に食らいついて、まさに一期一会的壮絶な仕上がり。アンサンブルはかなり粗いけどね。残り3曲も聴きたくなったけれど、日常座右に置いて〜といった記録に非ず。

WernerTchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調〜ジョージ・リー(p)/ヴァシリー・ペトレンコ/ロンドン・フィル(2019年)・・・見た目東洋系らしい若者によるピカピカの新録音。昔懐かしいクライバーンとか、リヒテル辺りさんざん聴き込んだ馴染みの作品、よほどのことがないとフツウに感じる不遜な聴手であります。これは久々に新鮮な感動押し寄せる爽やかな演奏、テクニックの鋭さは表層にとどまることなく、冒頭衝撃のホルン・ユニゾンに呼応する力強いピアノ和音、勇壮かつ美しい旋律を心ゆくまで堪能いたしました。ヴァシリー・ペトレンコのバックも充実して、なんせ音質がよろしい。ロンドン・フィル客演時の成果かな?若い世代の活躍は嬉しいものです。

PHILIPSShostakovich 交響曲第12番ニ短調「1912年」〜オハン・ドゥリアン/ゲヴァントハウス管弦楽団(1967年)・・・Ogan Durjan(1922ー2011以色列)はよう知らん指揮者だけど、この作品は「音楽日誌」登場わずかに二度目、サイト内検索したら6年ほど前にハイティンクを聴いておりました。第1楽章「革命のペトログラード」/第2楽章「ラズリーフ 」(湖の名前)/第3楽章「アヴローラ 」(巡洋艦の名前)/第4楽章「人類の夜明け」、27:32ー15:02(ネットより入手した音源はLPの裏表でしょう。本来は続けて全曲演奏される)。人気のない作品らしいのは、当時の権力に阿(おもね)った内容故か、わかりやすい旋律が続くのも第4番に於ける硬派な前衛性と比べて、安易な大衆性狙いと思われたのかも。

この音源はのちにCD化されているけれど、LP廉価盤ユニヴェルソ・シリーズにて発売された”幻の音源”なんだそう。この頃のカペルマイスターはヴァーツラフ・ノイマン、先日聴いたMahlerよりオーケストラはずっと上手く聴こえます。信じられぬほど音質は鮮明クリア、わかりやすい旋律はいっそう明晰に、第3楽章ラストあたりの打楽器乱舞も迫力たっぷり、作品の魅力をたっぷり引き出す立派な演奏。

SONY SICC30550Classic Tchaikovsky 白鳥の湖/Rachmaninov ピアノ協奏曲第2番第2楽章/Lucio Dalla「カルーソー」/Bach 管弦楽組曲第3番「G線上のアリア」/Tchaikovsky バレエ音楽「くるみ割り人形」より「パ・ド・ドゥ」/Mozart クラリネット協奏曲「アダージョ」/Chopin 夜想曲ハ短調/ Macani 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲/Yiruma 「リヴァー・フロウズ・イン・ユー」/Handel 歌劇「リナルド」より「涙の流れるままに」/James Last 「孤独な羊飼い」/Mozart ピアノ協奏曲第21番第2楽章/Bolodin 弦楽四重奏曲第2番〜第3楽章「夜想曲」/Puccini 歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」/Mozart レクィエムより「涙の日(ラクリモーサ)」/Barber 「弦楽のためのアダージョ」/Saitn-Saens 「白鳥」〜ステファン・ハウザー(vc)/ロバート・ジーグラー/ロンドン交響楽団(2019年)・・・Stjepan Hauser(1986-)はクロアチア出身のチェリストなんだそう。こうしてメジャーレーベルから録音が出るくらいだから、欧州ではきっと人気なんでしょう。たっぷり豊かな美音を聴かせてくださいます。こういった”寄せ集め”は嫌いじゃないが、隔靴掻痒に至る可能性もあります。しかも中低音楽器、華やかさに欠けるんじゃないの?そんな心配をよそにロンドン交響楽団というゴージャスなバックに、これってオリジナルか!(じつは「白鳥」のみ)じみじみココロ震わせる深い甘美、至福の時間が過ごせる素晴らしい一枚!どれも知った名旋律ばかり、一番気に入ったのは”River flows in you”、Yirumaって「冬ソナ」の音楽を担当した人らしい、メドベージェワさんが使ったんだそう。題名は知らなくても誰も馴染み、映画音楽かな?と思っておりました。

Melodiya 74321198402Shostakovich 交響曲第4番ハ短調〜キリル・コンドラシン/モスクワ・フィル(1962年)・・・その逆にここ最近急激にお気に入り度を深めているShostakovich、若い頃最終的にLPを諦めたのは Kirill Kondrashin(1914ー1981露西亜)による全集「第2番にキズを付けた」事件でした。正直なところ、その頃のノーミソでは(第5番以外)歯が立たんかった。この第4番なんて難解の極み、ところが幾星霜を経、”怪しい作品”はここ最近連続聴きするほどのお気に入りに至りました。先日ゲルギエフのすっきりとした演奏にも感じるところがあって、コンドラシンこそ真打ち!みたいなユーザー・レビュー言及発見、しっかり再聴すべき時機到来を自覚いたしました。

賞賛礼賛世評の中、”音質さておき”という声は常に前置きがあって、なんせ旧ソヴィエットの1962年。結果的には最終楽章部分金管大爆発辺り、響きは混濁する以外、それなりに聴ける音質でした。第1楽章「Allegretto poco Moderato - Presto」の呻くように重苦しい歩みは骨太筋肉質に表現され、初演者の矜持なのかとても作品がわかりやすい。そして第2部「Prest」のモウレツなスピード、テンション、弦のアンサンブルの素晴らしさ、初演直後の演奏とは思えぬ完成度、オーケストラの技量指揮者の統率に文句はありません。第2楽章「Moderato con moto」途方に暮れたスケルツォも説得力抜群。第3楽章「Largo - Allegro」フィナーレは葬送行進曲からシニカルな風情満載、やがて静かに収束し、長大なるコーダで爆発的な躍動がやってきて、静かに終焉を迎える・・・わかりやすく説得力抜群。

平易平明な第5番ニ短調もここ最近、心安らかに楽しめるようになったけれど、作品としてはこちらのほうがずっとオモロいでっせ。

ELAN CD82412Rachmaninov ピアノ協奏曲第3番ニ短調〜サンチャゴ・ロドリゲス(p)/ポール・アンソニー・マックレー/レイク・フォレスト交響楽団(1994年ライヴ)・・・Santiago Rodriguez(1952-玖馬→亜米利加)はこの作品を十八番(おはこ)として別途録音をしておりました。世の中には知名度さておき、凄い実力派ピアニストはいるもんでっせ、けっこうネットで絶賛の記事が検索できます。数年前のセッション録音以上にライヴの感興溢れて、しっとりとした歌心とモウレツな技巧を駆使して突進する熱血熱狂の対比、作品の価値を存分に引き出す凄演!オーケストラがナニだし、ライヴ故の前半のラフさは散見されても中盤〜後半へ向け、手に汗握り、息を呑んで聴き入る集中力。15:33ー10:23ー13:54。他、幻想的小品集 作品3、前奏曲5曲分収録されて、これも濃厚甘美な旋律たっぷり堪能させてくださいました。最高。音質もかなり良好。

(2020年3月1日)

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written by wabisuke hayashi