暮れ行く八方塞がりの一年
温かかった11月も終わり、連日のコロナ感染過去最高値更新、医療機関逼迫、年末商戦はもう期待できないでしょう。年末年始帰省、旅行もままならず自粛ムード、こちらもちろんどこか出掛ける予定はありません。
2月に初孫のお宮参りに小松の安宅住吉神社にお参りしたら、今年は八方塞がりとのご神託。その時期既にコロナは話題になっていて、自分と女房殿のみならず、やがて日本中が八方塞がりへ、特にお仕事が苦しかったのは3月4月5月くらいだったかななぁ、GWもほとんどお休みなし、特需対応大苦戦連日、スポーツクラブ営業中止に体調管理もままなりませんでした。前年度の残念な新人相棒は一年で東京に異動して、次の相棒も未だお仕事に慣れぬまま在宅勤務は一人孤軍奮闘、日々緊急事態に四苦八苦しておりました。居酒屋に酒の提供は夜7時までといった時期があって、6時50分にご近所激安激マズ焼き鳥屋チェーン店に飛び込んで、一杯だけ呑んだビールが久々に美味かった!精神的閉塞感はかなりのものでした。
前年2019年に相次いで亡くなった札幌の両親、本来であれば一周忌と初盆なんだけど、コロナの影響に身動きできず、兄に花を送って済ませました。幾度か北海道往復に利用したエア・アジア・ジャパンも秋には倒産しました。
6月に営業担当している取引先の物流移転、システム変更を辛くも乗り切ったら、相棒もお仕事に慣れてきて、スタッフさんへの実務処理委託も開始、営業対応外出は不可(電話メールのみ)徐々にヒマになりましたよ。ユルい在宅勤務は継続して、職場の仲間と呑みに行くことは難しいけれど、休みに女房殿と馴染みの居酒屋に出掛ける頻度はあまり変わりませんでした。一度だけこっそり、相棒の歓迎会をしたけどね。女房殿は月に一週間から10日ほど大阪滞在、老母(90歳)の様子見に出掛けて(11月には腰の手術有)これは現在も継続中、俄か独居(やや)老人生活にも慣れました。50-80問題に非ず、60-90問題でっせ。
6月末に久々東京出張有、その直後に情けない痛風症状発症して2-3週間激痛に七転八倒しました。それ以外は膝がちょっぴり痛むくらい、健康維持出来。コロナ引き隠り中、頑張って40日間ご近所一周走ったけれど体重は+2kg、やがて6月にスポーツクラブ再開して夏には辛くももとに戻したものです。65kg台はここから数か月変わっていなくて、減量努力踊り場状態へ。10月にはこどもの頃から気になっていた前歯の矯正を決意、保険適用じゃないのでその支払いはなんと!五拾萬圓以上、ものすごい贅沢に目が眩みつつ、余生に歯並び噛み合わせを正常化させて健康を期待して処置中です。
8月末には息子一家熊本に転勤、お嫁さんの実家には近くなったけれど、こちらからは遠くなって初孫の成長は動画で眺める程度。転居時に大阪の婆さんに曾孫(3人目)の顔を見せられたのは親孝行でした。
10月に大学諸先輩と酒席再開、ほどなく学生時代一番親しかった先輩が亡くなったとの知らせが届いて享年66歳、早過ぎる別れを悔やみつつ、それをネタにまた集まって呑んだものです。お仕事前年度は事前調整からイレギュラー対応、実務処理すべて自分一人で乗り切ってきたのに、現在は発案と方向性スケジュールを示す程度。あとはすべて任せて時々点検したり、相談があれば動く程度だからヒマ、引退への精神的覚悟を固めた頃に東京本丸人事部より来年度継続雇用契約変更連絡有。現状は誰でも例外なくヴェテランはフラットな扱い、ま、ぼちぼちやってよ、的扱いから(人によっては)本格戦力化(しかも70歳迄働ける!)趣旨とのこと。なんや微妙やなぁ。女房殿は既に2019年お仕事完全引退、老母90歳のことで頭はいっぱい、この先どーするの!日々厳しく問い詰められても明快な返答、身動きさえできない。
世間はコロナ感染蔓延激増第3波真っ最中。会食中、飲食以外は都度マスクせよ、ってそりゃムリでっせ。そんなこんな八方塞がりつつ一年は粛々、あっという間に暮れていくのでした。
● いつものワン・パターン、前月のヴェリ・ベスト。
■Schumann ピアノ協奏曲イ短調(ヴィトルド・ロヴィツキ1958年)/序奏とアレグロ・アパショナート ト長調(スタニスラフ・ヴィスロツキ1959年)/ノヴェレッテ ヘ長調 作品21-1/トッカータ ハ長調 作品7(1959年)/森の情景 作品8(1956年)〜スヴィァトスラフ・リヒテル(p)/ワルシャワ国立フィル・・・幾度聴いているお気に入り、前回は3年前拝聴。ラストはモノラル、他1950年代ラスト辺りのDGステレオ録音は優秀録音。ピアノ協奏曲はマタチッチ盤(1974年)より音質はよろしい感じ。甘さを排した硬質なタッチ、強靭なテクニックと集中力、Sviatoslav Richter(1915ー1997露西亜)はレパートリーを厳選して、玉石混交のライヴ音源多数、正規録音は少ない人でした。気紛れに変幻自在な旋律溢れる名曲は、一気呵成な勢いと熱気に充ちて種々録音の中で光を放っておりました。静謐なソロ作品の幻想的雰囲気も凄い、というか、これが刷り込みでした。
■Tchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調〜ウラディミール・ホロヴィッツ(p)/ジョージ・セル/ニューヨーク・フィル(1953年ライヴ)・・・凄いよ!その噂はかねがね、幾度か聴いていた記憶もある(ある意味)著名な記録。ホロヴィッツは幾度もカーネギーホールに登場していて、今回拝聴の音源は記憶よりずっと音質はよろしい感じ。その鬼神の如きテクニックの冴えはほとんどアクロバティック、ジョージ・セルの集中力も激アツそのもの。
もう一発。■Rachmaninov ピアノ協奏曲第3番ニ短調(1941年ライヴ)/Tchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調(1940年ライヴ)〜ウラディミール・ホロヴィッツ(p)/バルビローリ/ニューヨーク・フィル・・・これは音源存在さえ初耳。心配された音質水準はそれなり支障なく聴けるものでした。評判のよろしくなかったバルビローリのニューヨーク時代の記録(1936-1941年)。Rachmaninovは作品のイメージを変えてしまうほどの超絶集中力と技巧の冴えに唖然。14:31-8:41-11:17。Tchaikovskyだってソロの凄みは変わらず、オーケストラはトスカニーニやジョージ・セルより叙情性が勝ってテンポはやや遅め、いかにも彼らしい表現であります。19:01-6:20-6:15。少々のミスタッチ云々は一期一会の記録だから気にならない。
■深夜覚醒。テレビを付けたらザ・ローリング・ストーンズ「ハバナ・ムーン ストーンズ・ライヴ・イン・キューバ2016」放映中、痺れました。ミック・ジャガー73歳でっせ、そのパワー鍛え上げた肉体(←2019年には心臓の手術を受けたとか)チャーリー・ワッツが無表情に重いリズムを正確に刻むのも凄みがあって、キース・リチャードのギターも滅茶苦茶渋い!ロン・ウッドってフェイセスですよね、皆パワフルなカッコ爺ばかり。うらやましい。
■Faure レクイエム〜ルイ・フレモー/モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団/フィリップ・カイヤール合唱団/ベルナール・クルイセン(br)/ドゥニス・ティリェス(boysprano)(1962年)・・・Louis Fremaux(1921ー2017仏蘭西)の傑作録音はフル・オーケストラ版。誰でも知っている天国的に美しい作品旋律、瑞々しく豊かな残響、しっとり敬虔、透明清廉な風情に充ち溢れて、種々聴いてきた演奏中これは最高の神々しさ。ほかいくつか管弦楽録音を聴くと”上手いオーケストラじゃないな”、なんて不遜な感想を抱いたけれど、声楽も含めどこにも不満を感じさせないもの。音質も極上。
■Beethoven ピアノ協奏曲第3番ハ短調 /第4番ト長調〜メルヴィン・タン(fp)/ロジャー・ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(1988ー89年)・・・これは10年以上前?衝撃を受けた演奏。一概に古楽器と云っても種々個性有、Melvyn Tan(1956−新嘉坡)の力の抜け方、柔らかさには驚いたものです。硬派に力強いハ短調協奏曲、優しく華やかなト長調協奏曲、いずれもデリケート、そっと囁くように柔和な表情に表現されて、この個性は唯一無二の価値と感じました。
■Bruckner 交響曲第9番ニ短調〜朝比奈隆/大阪フィル(1976年4月22日神戸文化ホール)・・・神々しくも深淵な作品、遅めのイン・テンポ厳守、激情にテンポを煽ったりすること皆無、精一杯の咆哮、深い呼吸、間、どっしりとしたリズムに感銘深く受け止めました・・・とは2年前の感想。前年の第7番著名な聖フローリアン・ライヴには深い感銘を得て、これは最初のDisques Jean-Jean全集より。オーケストラの技量やら仕上げの粗ささておき、素朴さむき出し誠実な演奏に胸を打たれる出色の完成度!その根性はしみじみ胸に染みましよ。この間D-R-デイヴィスとかマリオ・ヴェンツァーゴ、アイヴァー・ボルトンなど、21世紀の全集録音からいくつか聴いたけれど、どれも整ったアンサンブルに広がる虚しさ・・・聴き込みが足らんのか。
(2020年12月1日)
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