新型コロナ・自粛・中止・身動きできぬ引き隠り生活・不況の足音
自分がささやかに関わっている商売でも”引き隠り需要”対応に日々苦しんでおります。大きなイヴェントは開催できないから、それに関連するお仕事は全滅、外食関連の方々も同様でしょう。タクシーもバスもあかんでしょうね、新幹線の乗客も半分くらい、海外空港便も激減、観光関連は皆アウト。2月に孫のお宮参りをした安宅住吉神社にて、ことしは”八方塞がり”との御神託伺ったけれど、今や世界全体がそんな感じ。女房殿は大阪の老母の様子を見に行くこともできません。
もし仮に、自分が前年の若い相棒を育成できなかった忸怩たる思いを抱えたまま引退を決意して、この3月末に引っ越し転居をしていたらエラいことになってましたよ。たった今、大人しく逼塞して、身体を鍛えて、罹患して周りに迷惑を掛けぬこと、世間のウィルス禍が収まるのを待つしかない。職場も臨戦態勢、在宅勤務(テレワーク)も初めて経験しました。(しばらく継続するでしょう)一部元気な若者たちは繁華街の夜の街を謳歌して”自分は大丈夫”〜そんな日本古来の伝統的発想を引き継いでいたけれど、志村けんさんの急逝にはかなりショックを受けたことでしょう。自分はたまにこぢんまりとした居酒屋を愉しみにしていて、ただでさえ世代交代、今回の事件にとどめを刺されて廃業が相次ぐかも。伝統は途切れてしまって、別の新しい価値観は広がるでしょうか。大地震・原発事故でもあまり変わらなかったように思うから、期待は薄いかな。
昨年秋大量にCDを一気処分して、さらに最終処分へ〜そんな目論見は外れました。もう売れなくなって、この俄に発生した不況では更に状況は悪化することでしょう。商売で云うところの”売れ筋”の意味合いが変わってしまって、なんせ”引き隠り需要”ですから。(あまり意味のない)トイレットロール騒動はちょっぴり状況治まってきたのか?麺類とかホットケーキが激売れしているのは、たった今現在(長い)春休みだから?買い溜めたら、次は買いませんよ、欲深い業者は不良在庫を抱えますよ、きっと。
・・・って、4月・春なんだけどなぁ。じょじょに暖かくなって新しい仲間が職場にやってきても、なんか鬱々と気分晴れんなぁ、フツウ桜が咲いて、気分も浮わついて・・・いつもだったらそんな時期のはず。新型コロナとは長く苦しい戦いになるらしい。スポーツクラブも先月途中2週間営業自粛、市立体育館はずっと閉まったまま、体重増傾向継続中、これも長い戦いでっせ。
● 前月ヴェリ・ベスト。たっぷり音楽に集中できました
■Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ガリー・ベルティーニ/ケルン放送交響楽団(1990年)・・・ Gary Bertini(1927ー2005以色列)のMahler最高、ちょうど日本バブル期に完成した全集は、種々乱立する録音中屈指の仕上がりでしょう。この時期WDRのオーケストラ技量アンサンブル、音質も最高、ベルティーニの細部仕上げ、テンションの高さ、切れ味は爽快なほど。第3楽章「Kraftig, nicht zu schnell.(力強く、速すぎずに)」に於ける金管の躍動、味わい深い音色、馴染みの第4楽章「Adagietto. Sehr langsam(アダージェット 非常に遅く)」に於ける弦のセクシーなこと!ラストまで充実したサウンドに久々、馴染みの作品に満足を得ました。
■Rimsky-Korsakov スペイン奇想曲/歌劇「金鶏」組曲/「ロシアの復活祭」序曲/Borodin 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」〜アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団/合唱団(1956ー59年)・・・昔聴いてましたシリーズ、懐かしい音源。社会人となってさっさと結婚したけれど、未だLPは高くてCDもぼちぼち出始めた贅沢品。一生懸命カセット・テープでFM放送エア・チェックしておりました。そしてこの「だったん人の踊り」の壮麗な響き、みごとな合唱の盛り上がりに心震わせた記憶も鮮明。その当時と寸分違わぬ感動をたっぷりいただきました。Stravinskyの師匠筋にあたるRimsky-Korsakov(1844ー1908露西亜)の管弦楽技法は多彩、異国情緒豊かな「スペイン奇想曲」最高、あまり調子はよろしくなかったらしい時期のロンドン交響楽団も絶好調でしょう。なによりMercury録音のリアルさに驚くばかり・・・
■Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ジョン・バルビローリ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1969年)・・・これも昔なじみの音源やなぁ。久々十年スパン以上の拝聴に痺れました。昨日EMI録音に嘆いたけれど、これは極上の音質。まったりと舐め尽くすような丁寧な旋律味付け、たっぷりとした浪漫表現に歌ってセクシー、激高したり咳いて走ることはありません。このオーケストラ特有の清冽クリアな響きも似合って、種々聴いてきたこの作品の最高峰演奏、ヴェリベスト。
■ Frescobardi(1583-1643伊太利亜)チェンバロとオルガンのためのトッカータとパルティータ集 第1巻よりPartite 11 sopra l’aria di Monica/Partite 12 sopra l’aria di Ruggiero/Partite 6 sopra l’aria di Follia/Corrente Prima/Corrente Seconda/Corrente Terza/Corrente Quarta/Balletto I Corrente e Passacagli/Balletto II e Corrente/Balletto III Corrente e Passacagli/Partite cento sopra Passacagli/Capriccio Fra Jacopino sopra l’aria di Ruggiero/Capriccio sopra la Battaglia/Balletto e Ciaccona/Corrente e Ciaccona/Capriccio fatto sopra la Pastorale〜ロベルト・ロレジャン(cem/or)・・・CD2枚目。ラストの作品のみオルガン、ほかはチェンバロによるもの。チェンバロオルガンによる作品といえば大Bach(1685-1750独逸)のイメージ、音楽史的専門知識はないけれど、当時の音楽先進地・伊太利亜の100年先輩、古臭い印象はまったくなくて、こちら厳格な構成より自在な歌を感じさせる愉しい旋律が連続いたします。このボックス発売は2011年、自分が若い頃にはFM放送教養番組的なものしか聴けなかった音楽は、身近なものになりました。
■Shostakovich 交響曲第10番ホ短調〜エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1976年ライヴ)・・・カラヤンが唯一取り上げていたShostakovich、世間では最高傑作!との呼び声も高いもの。そして本家本元唯一無二の評価も高いEvgeny Mravinsky(1903ー1988露西亜)の録音は、その音質故に避けておりました。これは一般に云われる優秀録音に非ず、リアルな臨場感抜群のライヴでした。若い頃から幾度かトライして挫折、それは第1楽章「Moderato」ズズ暗く静謐な風情に聴手の集中力が付いていけなかったから。これがムラヴィンスキーの手に掛かると異様に厳しい集中力に説得され、胸に染みる恐ろしさ。(22:05)一気呵成快速なスケルツォである第2楽章「Allegro」のテンションの高さ、縦線をピタリ合わせるオーケストラの技量の凄さ(4:00)不気味かつ途方に暮れた第3楽章「Allegretto」に於けるホルンは、Mahler 交響曲「大地の歌」の「大地の哀愁に寄せる酒の歌」に影響を受けたものとか(10:57)第4楽章「Andante - Allegro」静謐に延々と怪しい開始から(ここも「大地の歌」を連想)やがて軽快軽妙快速な躍動がやってきて、これが妙に明るいのも不気味。オーケストラの威力は文句ない迫力、激しい爆発。(11:08)けっして難解晦渋とは思えぬ魅惑の作品と理解できました。ムラヴィンスキー恐るべし、Shostakovichに開眼。
■Mahler 交響曲第8番 変ホ長調〜サカリ・オラモ/王立ストックホルム・フィル/オルガ・パシチニュク(s)/アヌ・コムシ(s)/ハンナ・ホルゲルソン(s)/クラオディア・マンケ(a)/マリア・ステイフェルト(a)/マティ・テュリ(t)/アンダース・ラースーン(br)/トゥオーマス・プルシオ(b)/エリク・エリクソン室内合唱団/ミカエリ室内合唱団/カペラ・カタリナエ/ストックホルム・モテト合唱団/ウィーン少年合唱団/アドルフ・フレデリクス少年合唱団(2010年3月10日ストックホルム・ライヴ)・・・先月ヤニック・ネゼ=セガンの新しい録音に入り込めなかった作品にリベンジ。Sakari Oramo(1965ー芬蘭土)は現在ストックホルム・フィルとBBC交響楽団の首席、働き盛りの世代。MahlerやらR.Strauss辺り、多弁饒舌多彩巨魁な旋律サウンドの全貌に馴染むのには時間と慣れが必要です。専門家の分析によると、全2部の構成もちゃんと交響曲の体を成しているととのこと、こちら市井のド・シロウトにはカンタータにしか聴こえません。(第2部「ファウスト」開始はたしかに静謐な緩徐楽章っぽいけれど)これはストックホルムに於ける一連のMahler Festivalのライヴ、音がダンゴに混濁せず、各パート明晰、パワフル剛力なオーケストラじゃないけれど充分力強く、合唱団細部迄(大人と少年合唱団の違いもはっきり)聴き取れるのは会場の優秀な響き+オラモの技量なのでしょう。祝祭的な賑々しい風情とスケール、細部描きこみがバランスして、作品たっぷり堪能いたしました。23:49-59:28(拍手含まずにカウント)。
Bruckner 交響曲第7番ホ長調〜セルジウ・チェリビダッケ/ベルリン・フィル(1992年シャウシュピールハウス・ライヴ)・・・Bruckner交響曲全集のリファレンスはギュンター・ヴァント/ケルンとして、例えばロベルト・パーテルノストロの残響豊かなライヴ、他種々多様に聴いていて、Sergiu Celibidache (1912ー1996羅馬尼亜)晩年の微速前進もたっぷり堪能しております。27:35-30:25-12:10-15:34。彼(か)の優雅な交響曲、最初2楽章のみ既に1時間に迫る激遅演奏!ケンカ別れしたらしいオーケストラとはひさびさの邂逅、この演奏直後のFM放送はカセットにエア・チェックして幾度、仰け反って驚いた記憶も鮮明です。やがて映像化音源化され、怪しげ海賊盤も出現いたしました。世評では”オーケストラがチェリのテンポに共感していない”との手厳しい声もあって、やや余所余所しいのは、38年ぶりの客演ですから。”微速前進表現マジックはやがて化けの皮が剥がれる”との評価もあったけれど、どの作品にせよ安易に流すことを許さぬ細部彫琢に自分は作品の新しい価値を見出したものです。
この作品のキモは美しい第1楽章「Adagio」、ここだけで30分超えます。“Sehr feierlich und sehr langsam”(非常に荘厳に、そして非常にゆっくりと)との指示だから、纏綿と舐め回すように、んもうとことん!描き込んで「ハース版1944年」?クライマックスには打楽器の爆発が待っている・・・天上から降るようにセクシーなフルートはエマニュエル・パユかな?長丁場たっぷり最後まで堪能いたしました。
(2020年4月1日)
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