諸行無常
秋から冬へ、8月の殺人猛暑は夢のようにすっかり忘れられた季節がやってきております。ことしは台風少な目、それでも全国あちこち豪雨被害はあったことでしょう。コロナ新規感染線は微増状態とか。年末に向け、欧米の感染者激増は心配です。
昨日朝一番に哀しい連絡有。大学の2年先輩、一番親しく影響を受けた人。50歳位で一番出世して、やがて鬱病を発症、早期退職しておりました。こちらに7年ほど前転居してから幾度か呑んで、学生時代の思い出話をしたものです。昨年11月に会ったのがラストになりました。5月に胆嚢にガンが発見され、その時点では手遅れであったとのこと。亡くなったのは9月、来年1月の富山の旅お誘いの連絡をしたら報告があったらしい。奥様は悲嘆に暮れてあちこち連絡する気持ちの余裕もなく、未だ納骨も済ませていないとのこと。
一番大切のは生命、健康であるのは当たり前、って、昨年亡くなった両親は定命と得心しても、66歳逝去はあまりに早い。人生この先まだまだ楽しいことがありましたよ。2週間後に「偲ぶ会」(という名目のいつもの呑み会)有。
こちらいよいよ前歯矯正開始、事前予告以上の大出費を嘆いても、病気じゃないから保険適用外、仕方がない。2ー3ヶ月掛かるとか、食事以外は常にマウスピース着用必須、透明樹脂は目立たないし職場ではマスク着用だから誰も気付かぬことでしょう。噛み合わせが改善されれば体調に変化はあるのか。日々身体の鍛錬はちょいと手抜きしつつサボったのは一日のみ、25日/31日真面目に継続中、体重は65kg台なんとか、辛くも維持出来。先月は一週間ほど”やや風邪”症状、これを悪化させずに乗り切ったのも日々鍛錬の成果でしょう。
種々お仕事上の苦難やトラブル対応が続いても、それは人生ほんのスパイスのうち。荒業駆使請負型のお仕事を平準化、実務委託も進めてなるべく若い相棒やら優秀なスタッフさんに任せるようにしてヒマ、それでもなかなか休めぬのがつらいところ。在宅勤務はもう飽きました。職場の雰囲気は和気藹々と人間関係よろしく、こちら時間はあってもカネがないのは半引退身分ならでは、どこにも出掛ける気も出ません。大阪の婆さん(90歳)は脊柱管狭窄症の手術を無事終えて現在リハビリ中、女房殿は月1/3ほど大阪に滞在して本日帰宅予定、にわか独居(やや)老人生活もすっかり板につきました。
職場の若い連中は相次いで”Go To”あちこち旅行に出掛けました。こちら自宅(在宅勤務)出勤、スポーツクラブ、市立体育館、稀に馴染みの居酒屋、狭い徒歩生活圏内に逼塞しております。新しいテレワーク!とか地方へ脱出!というのも現実ぼちぼちみえてきて、話はそうカンタンに進みそうにない。一部の卓越した技量にOA環境と在宅に適したお仕事限定、逆に”職場にいてもいなくてもよい人の話題”と揶揄の声もあります。新人は在宅ではお仕事身に付かんでしょう。不安定雇用契約の人が切られればお仕事がない、ただの在宅になりますし。それでも紆余曲折しつつお仕事の在り方は変わっていって、職場に長く滞留して+夜はお付き合いという時代じゃないかも。
来年1月に大学の先輩と富山へGo To、温泉風大浴場付きホテルを予約しました。ちょうど一年前、博多にクエを喰って以来の贅沢、コロナ大騒動が始まってから初めての旅行となります。その前に亡くなった先輩の追悼酒席か。
● 前月のヴェリ・ベスト。睡眠不如意が多いと集中力を失いがち。
■Tchaikovsky 交響曲第6番「悲愴」〜エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1960年)・・・第4番はほんま凄い演奏でした。これも同じく駅売海賊盤にて拝聴。馴染みの肌理の粗い音質はある意味優秀録音、オーケストラのサウンドを忠実に再現しているのでしょうか。ほとんど驚異的なオーケストラのアンサンブル+強靭な金管の炸裂、ときに決然とした疾走、間、クールな抑制、どこをとっても次元の異なる完成度!露西亜風と云えばそうなんだけど、もの凄く厳しく、そしてカッコ良い!古今東西星の数ほどある憂愁の名曲「悲愴」だけど、これは幾度聴いてもヴェリ・ベストの感慨に至ります。
■Schumann クライスレリアーナ/幻想曲 ハ長調 作品17〜クララ・ヴュルツ(p)(2001年)・・・華やか(だけではない、陰影もある)でキラキラ輝くようなタッチであり、甘美に揺れる心情を余すところなく表現して下さって、こちら充分満足であります。しっかり芯のあるピアノの響き・・・とは13年前のコメント。気紛れな浪漫派揺れ動く心情甘い旋律は、室内楽やピアノ・ソロがよう似合う、そう思いますよ。Klara Wurtz (1965-洪牙利)はメジャー・レーベルさておき、Brilliantに数多く録音して、どれも演奏音質とも立派な成果を上げておりました。
Schumann ピアノ協奏曲イ短調/ウィーンの謝肉祭の道化〜クララ・ヴュルツ(p)/アリー・ヴァン・ベーク/北西ドイツ・フィル(2001年)・・・古今東西老若男女数多くの録音が世に出ている協奏曲。指揮者もオーケストラも知名度は薄いけれど立派な演奏、瑞々しいピアノを引き立てて名曲を堪能いたしました。
■Stravinsky 管楽器のためのサンフォニー(1947年改訂版)/カンタータ「結婚」(オルフェウス室内アンサンブル/グレッグ・スミス・シンガーズ)/交響詩「ナイチンゲールの歌」(コロムビア交響楽団)〜ロバート・クラフト(LP発売は1974年)・・・この時期CBSはピエール・ブーレーズを大々的に売り出したせいか、冷や飯を喰っている感のある一連のRobert Craft(1941-亜米利加)音源、現在NAXOSから出ているものとは別物です。これが最高!音質はよろしいし、アンサンブル声楽も技量抜群、ファンキーな管楽器アンサンブルからソクゾクするほど新鮮(8:35)野蛮な祭礼である「結婚」はクール冷静にリズムを刻んでじわじわ興奮を高めます(22:10-10:35)。「ナイチンゲール」のオーケストラは西海岸?破天荒な爆発にオーケストラは充分な切れ味(19:45)この辺りが自分の嗜好のツボやなぁ。
■Dvora'k スターバト・マーテル(悲しみの聖母)〜ズデニェク・コシュラー/スロヴァキア・フィル/合唱団/マグダレーナ・ハヨーショヴァー(s)/ヴィエラ・ソウクポヴァー(a)/ヨゼフ・クンドラーク(t)/ペテル・ミクラーシュ(b)(Opus原盤1970年代の録音)・・・知名度は薄いけれど、これは哀愁に充ちた美しさ極上の旋律連続、相次ぐこどもの死への思いが投影されているとか。LPを諦めてCDを買い出した1990年前半、マルコ・ムーニ(Marko Munih)/リューブリヤナ放送交響楽団/合唱団にて愛聴していた気に入り、CD1枚だったから抜粋だったのでしょう。どんな演奏だったか記憶もないけれど、旋律は細部しっかり覚えております。もちろん言語意味理解不明、何語なのかも知らんけど(ラテン語ですか?)深い敬虔と甘美な哀しみは、極東亜細亜名古屋郊外賃貸マンションの一室にもしっかり響き渡る・・・
第1曲「悲しみに沈める聖母は」(20:09)ー第2曲「誰が涙を流さぬものがあろうか」(10:46)ー第3曲「いざ、愛の泉である聖母よ」(7:21)ー第4曲「わが心をして」(9:06)ー第5曲「わがためにかく傷つけられ」(5:31)ー第6曲「我にも汝とともに涙を流させ」(6:35)-第7曲「処女のうちもっとも輝ける処女」(7:09)ー第8曲「キリストの死に思いを巡らし」(6:49)-第9曲「焼かれ、焚かれるとはいえ」(6:31)ー第10曲「肉体は死して朽ち果てるとも」(8:21)。足の長い豊かな残響快く神々しく、技量充分な管弦楽声楽そして声楽ソロもバランスよく溶け合って素朴、いかにもDvora'kらしい多彩な旋律は長時間飽きさせません。至福の時間が過ぎました。
■R.Strauss 交響詩「英雄の生涯」〜ロリン・マゼール/クリーヴランド管弦楽団/ダニエル・マジェスケ(v)(1977年)・・・偉大なるジョージ・セルの後任として首席在任は1972ー1982年、40歳代気力体力充実した頃、ディジタル録音が本格化する辺りでした。体調イマイチな聴手(=ワシ)を鼓舞するような勇壮なカッコ良い作品、優秀なオーケストラの技量を活かしてごりごりとパワフル、一気呵成に聴かせてくださいます。バイエルン放送交響楽団との再録音(1996年)より直截、ぎらぎらとした勢いを感じました。
(2020年11月1日)
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