うすら寒い日々に人生の先行きを考える
1月は日本海側、豪雪に相次ぐ悲惨な被害がありました。お仕事にも影響有。緊急事態宣言は続いております。今月2月いっぱいは延長されるとか。一ヶ月を振り返って、体重は+1.5kg、それ以外は前月「近況」と似たような述懐となります。新しい洗濯機と冷蔵庫交換が大きなイヴェントだったかな、家電も使い手と同じように寿命がやってきます。
一年前の「近況」を見ると未だコロナは深刻化せず、大学の諸先輩と博多の旅行を楽しんだり、2月には初孫との対面、お宮参りなど済ませておりました。美味いもんを喰ったり呑んだり、のんびり温泉など浸かって、やがて来るべき悲惨な、身動きできぬマスク生活など想像もできなかった。先のことはわからぬものですよ。
今月はサラリーマン地域間異動発令有、職場の仲間も数人動くことでしょう。職場トップは既に交代、そして一か月後には新しいメンバーがやってきます。自分もいよいよ完全引退目指して、お仕事もプライヴェート生活も整理整頓、始末すべきタイムリミットが迫っております。昨年優秀な息子世代が相棒としてやってきて、自分のお仕事役割はずいぶんと減りました。そしてコロナ蔓延だから、ますます日常身動きが取れない・・・精神的には後ろ向き、すっかりやる気萎えております。
着々と”次”を準備している引退世代知り合いに比べて、自分は身体鍛錬健康意識のみ、ほかはな〜んもせず、とうとう残された時間は一年、比較的ご近所に住んでいる大学時代の親しい諸先輩は基本、故郷に留まって地域に愛着もあることでしょう。町内会長を務めたり、立派な家を構えて地域に根付いた生活をしております。そして昨年秋に亡くなったり、奥様が寝たきりで介護に付きっ切りという方もいらっしゃる。
物欲は少なくて、夫婦ともに節約家(≒ケチ)だから細々とした生活に当面、経済的に困ることはありません。それでも先月みたいに相次いで洗濯機、冷蔵庫(22年物)が逝ってしまうこともあることでしょう。あとは新しい生きがいをどう見つけるか、これが大きな宿題です。再就職して一人前に稼ぐなんて、若くて元気のある人でもお仕事不如意な時代に、シルバー世代(=ワシ)は難しいでしょう。自分にはなんの特技もありませんし。ノーミソ柔軟性を失い、要らぬ経験に頭が固くなって傲慢、口だけ達者でも身体は動きません。もう42年も働いているから勘弁してよ、そんな思いもあります。
じつは身分的にはもう6年、70歳まで働くことは可能、それはそのままここに居住継続することを意味して、大阪の婆さん(90歳)のことも心配です。オリンピックの先行きは不明だけれど、できれば半年ほどでワクチンも行き渡って、秋くらいには落ち着いた社会にならんでしょうか。熊本の孫にも会いに行きたいもの。
● いつもの前月ヴェリ・ベスト。
■Brahms 交響曲第1番ハ短調(ウィーン・フィル1972年)/大学祝典序曲(ベルリン・フィル1967年)〜クラウディオ・アバド・・・Claudio Abbado(1933ー2014伊太利亜)30歳代若い頃の録音。勝手な言い種だけどBrahmsの交響曲は少々食傷気味、こちら4曲各々異なるオーケストラを起用した旧録音は思いっきり新鮮、溌剌としたテンション溢れました。良いなぁ、この作品特有の重い威圧感少なめ、元気があって華やかに爽やか・・・ベルリン・フィルとの後年の録音は聴いておりません。「大学祝典序曲」は常識的でオモロない印象。
■Mozart ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調K.482/第23番イ長調K.488〜マルコム・ビルソン(fp)/ジョン・エリオット・ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(1983-88年)・・・ピアノ・ソロの前にガーディナー率いる古楽器オーケストラは、涙が出るほど充実しております。単に素朴とか、柔らかい響きというんじゃなく、メリハリ+リズムのキレ、スケールに於いて目が覚めるほどの鮮度と迫力。立派な古楽系のMozart 協奏曲は数多く存在するが、オーケストラの水準の高さは頭を抜いておりました。ちょっとチープなフォルテピアノの音色は、耳慣れたヴォルフガングの旋律を切り口新鮮に響かせます。けっこうテンポも揺れるし、しっとりよく歌うんソロなんだけど、後ろ向きの浪漫とは別世界・・・とは11年前のコメント。明るく前向きな変ホ長調協奏曲K.482第3楽章「Allegro」は映画「アマデウス」の朝帰りの場面ですよ。イ長調協奏曲K.488は”我らがヴォルフガングに駄作なし”大原則を前提に最高傑作、第2楽章「Adagio」の甘い浪漫に痺れます。この全集録音ももう一世代回って、それでもヴェリ・ベストな古楽器演奏と思いを新たにしました。
■Mahler 交響曲第5番 嬰ヘ短調〜フランク・シップウェイ/ロイヤル・フィル(1996年)・・・ロイヤル・フィルは絶好調。艷やかなサウンドに鳴り切って(とくに金管)なんせ音質がよろしい。歴史的録音の個性も尊重しつつ、近現代大編成効果的な管弦楽法は音質が物を云いますよ。 Frank Shipway(1935ー2014英国)は知名度低いけれど、彼の録音を聴いてガッカリしたことは一度もありません。13:16-15:32-17:42-12:27-14:44。
■Mahler 交響曲第4番ト長調〜ジョージ・ショルティ/コンセルトヘボウ管弦楽団/シルヴィア・スタールマン(s)(1961年)・・・駅売海賊盤以来17年ぶりネットより拝聴。この人は明晰かつ強面な切れ味、推進力を誇る人、旧録音は音質も良好、コンセルトヘボウのマイルサウンドとの相性もよろしく、田園的牧歌的美しい作品の完成度は高いもの。もともとは第3番の流れであったらしい第4楽章「Sehr behaglich(非常に心地よく)」は安寧の天国の歌、Sylvia Stahlman (1929-1998亜米利加)の声は理想的と感じました。
■Stravinsky バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)/ロシア風スケルツォ/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)〜パーヴォ・ヤルヴィ/シンシナティ交響楽団(2002年)・・・Paavo Jarvi(1962ー愛沙尼亞)シンシナティ時代40歳代の録音(首席在任2002ー2011)。比較的編成の小さい(と云っても三管)版を集めて、演奏はすこぶるヴィヴィッドに熱気を感じさせるもの。「ロシア風スケルツォ」はわずか5分弱、牧歌的な小品はリズムがいきいきとして愉しさいっぱいの演奏が続きました。
■職場の(Web)掲示板に「リモートワークでよくある問題」〜これが正鵠を射て曰く(1)同僚から情報を得るため多くの時間と労力が必要になる。至近にだれかいれば、すぐ訊けるのに、メールなどではなかなかニュアンスが伝わりにくい場合がある(2)雑談ができず孤独を感じる。苦しんでいるのは自分だけじゃないか、そんな疑心暗鬼に駆られるもの(3)集中力の維持の欠如・・・そうかぁ、自分だけじゃなくて、一般的な事象だったんですね。
■Ravel 歌曲集「シェヘラザード」(アンネ・ソフィー・フォン・オッター(ms))/クープランの墓/亡き王女のためのパヴァーヌ/古風なメヌエット/Debussy 神聖な舞曲と世俗的な舞曲(リサ・ウェルバウム(hp))/噴水/フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード(アリソン・ハグリー(s))〜ピエール・ブーレーズ/クリーヴランド管弦楽団(1999年)・・・一切のムダを削ぎ落として自ずと浮かび上がる作品の真髄。色気。女声の妖しい風情も完璧、抑制されたアンサンブルは緻密洗練を極め、オーケストラの技量の凄さを実感させるもの。こどもの頃「春の祭典」にて出会って以来、Pierre Boulez(1925ー2016仏蘭西)には常に衝撃の連続でした。
■Mussorgsky/Ravel 組曲「展覧会の絵」〜ズービン・メータ/ロサンゼルス・フィル(1967年)・・・改めて真面目に再聴。パワフルに前のめり、飾りの少ないストレート系演奏は神経質細部丁寧な仕上げに非ず、英DECCAのマルチマイク録音はこの華やかな作品には(我がecoオーディオ環境にも)効果的でしょう。オーケストラの技量は充分なんだけど、のちの様子とは異なる微妙な粗さ?雑味?逡巡なき大胆さは西海岸明るく瑞々しいサウンド、最終盤「バーバ・ヤーガ」の爽快なる疾走から「キーウの大門」に至るカタルシスの素晴らしさ!お気に入りの作品を久々、文句なく堪能いたしました。
(2021年2月1日)
●歴代「近況」保存分●最新の「近況」
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